もうこれで怒られない!テキスト、スクショ、SNS埋め込み等の引用マナーまとめました
昨年のキュレーションメディア炎上や、いま話題の企業による“無断引用”を理由とした検索結果の削除申請騒動。そういった諸問題を眺めながら、書き手として外から情報を引っ張ってくるルールとマナーについては十分に気をつけておくべきことだと思ってやまない今日この頃です。このDevelopers.IOおよび運営元のクラスメソッドにとって記事のクオリティ向上は社内の課題。そのためには引用についての正しい知識を得ることも必要だろうということで、調べた内容をDevelopers.IOにて社内共有します。
あと可能な限り引用ルールに則った形で情報を並べていきます。
まずは心に刻もう「引用」の大前提
最初に、ゴールデンルールとして、日本の著作権法上で定義されている引用についておさらい。さっそく文化庁のWebサイトに著作権のコーナー内の「著作物が自由に使える場合」というケースを「引用」します。
他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合、すなわち引用を行う場合、一般的には、以下の事項に注意しなければなりません。
他人の著作物を引用する必然性があること。 かぎ括弧をつけるなど、自分の著作物と引用部分とが区別されていること。 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。 出所の明示がなされていること。(第48条)
各項目について見ていきます。
他人の著作物を引用する必然性がある
これはまさに上の「著作物が自由に使える場合」のこと。今回の記事で適正な引用を考える上で、まずはきちんとしたソースから著作権に関する情報を引っ張ってくる必要があるだろうということで。
かぎ括弧をつけるなど、自分の著作物と引用部分とが区別されている
で、外からネタを引っ張ってくるにはその区別をハッキリさせようぜというのがふたつ目の条件。これに関してはカギカッコもできるのですが、Developers.IOは記事中にタグが打てるし、SEO的な観点からも引用部分をblockquoteタグを囲っておきたいです。
SEO云々ってやつは「他サイトのコンテンツを引っ張って記述することで、ロボットが重複コンテンツとみなして低評価を付けるらしいよ、だから自サイトおよび先方への配慮として区分けしようね」というものです…が、昨年ほぼ公式発表筋で「そこはGoogle見てないよ」という発言があったようですね。
引用をblockquoteタグで囲っても重複コンテンツ対策にはならない(2016年1月4日)|海外SEO情報ブログ
自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確
主従関係については、単純に引用したものと自分の書いたものとのボリュームの天秤です。例えば「こんないい話がありました。」という一文のあとで何十行も外部サイトの文章を引っ張ってきて、最後に「いかがでしたか?感動した方はシェア!」と付けただけという構成のまー地獄みたいな記事を見かけることもままあります。そういうふうに記事の体裁だけ作ればOKなんてこと絶対になくて、ボリュームでもって自分のオリジナルの記事だということをアピールしましょう。
出所の明示がなされている
Webからの引用であればblockquoteで区切った引用箇所に付随する形、または文末にまとめて記載するなどして「引用した部分のソースはどこからなのか」をハッキリさせましょう。
以上の4条件を必ず守り、かつクローズドな場所ではなく公に出ているものに対して引用は行いましょう。それをクリアしないと、下記のような笑えない笑い話みたくなります。
昔サイトのすみっこに「♪おーねすてぃー」って書いてたらJASRACの人に「これは著作権料徴収の対象になりますね」って言われたことある(実話)
— 大山卓也 (@takuya) 2017年2月3日
ビリー・ジョエルの有名曲のひとつ「Honesty」についての著作権管理団体からのツッコミです。いきなり怒られるとビビりますが、正しい知識を持ってアクション&対応すれば万事解決だと思います。
例外:国が発行する著作物
上記の原則とは別で、公的機関の発行物はOKというルールも存在します。国や地方自治体、独立行政法人などの団体が作成した資料に関しては個別の転載が禁止されているものは除いて著作権法で使用が認められています。
国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
出典:著作権法 第三十二条第一項二号
画像、スクショ、外部サービスなど、テキスト以外の引用はどう?
前章では主にテキストの話題でしたが、他のものについてもルールがあります。画像は?スクショは?そして外部サービスの貼り付けは?といったものを調べました。
画像・写真
まず絶対にいけないのが、ほかのサイト(外部サーバー)に置かれている画像をimgタグで引っ張ってくる行為です。ではそれをダウンロードして自サーバにアップし、前述の引用の条件に沿って掲載元を明示したり必然性を持っていたりするのは?というところですが、そこも微妙なところ。WEBマスターの手帳にて行われた中野秀俊弁護士へのインタビューの中で「画像はそこだけ(画像自体)で完結しているという部分があるので、引用は記事とかにしか判例がないものなので」(ブログ記事での画像使用で気をつけるべき著作権と肖像権|Youtube。1:18あたり〜)という発言があります。既成事実となりうる判例、すなわち裁判での公的なジャッジが乏しく見解が分かれそうですが、グレーならやらぬが吉。自らの記事で正しく説明しきりましょう。
スクリーンショット
では画像単独ではなくスクリーンショットならばどうか。こちらに関してはテキストコンテンツや紙の出版物には条件を満たす形での引用が可能と言えるでしょう。また、技術記事の中で使用することが不可欠な操作画面のスクショに関しても細心の注意を。必然性のある使用を心がけることや出典がわかるような記載(アプリ名やページ名、WebサービスならURLも添えたい)をきっちりやりましょう。
なお、引用=条件を満たせば著作者の許諾なしで可能な行為ではありますが、企業やサービスによっては利用範囲を規定しているところがあるため、可能な限り守っておきたいところです。例えばマイクロソフトの「スクリーンショット」の項目はこう。
マイクロソフト製品の起動画面、開始画面、「スプラッシュ スクリーン」、またはベータ リリース製品や正式にリリースされていないその他の製品の画面を使用することはできません。(以下略)
また、Googleマップは地図の埋め込みを歓迎していますが地図そのものをスクリーンショットとして使用することは禁止しています。使用前に各サービスのコーポレートサイトやヘルプなどは見ておきましょう。
外部サービスの埋め込み
埋め込みということで、ちょっと引用から横道に逸れますが、外部サービスのAPIを使った埋め込みについても。Slideshare、Twitter、Instagram、Facebookなどなどの埋め込みに関しては、各社APIを使うことで各サービスのコンテンツを記事中に埋め込むことが可能です。例えばTwitterに関しては登録ユーザーのツイートが他社媒体に載ることへの同意がアカウント登録時に求められています。
ユーザーは、本サービス上にまたは本サービスを介してコンテンツを送信、投稿または表示することによって、当社があらゆる媒体または配信方法(既知のまたは今後開発される方法)を使ってかかるコンテンツを使用、コピー、複製、処理、改変、修正、公表、送信、表示および配信するための、世界的かつ非独占的ライセンス(サブライセンスを許諾する権利と共に)を当社に対し無償で許諾することになります。このライセンスによって、ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります。ユーザーは、このライセンスには、Twitterが、コンテンツ利用に関する当社の条件に従うことを前提に、本サービスを提供、宣伝および向上させるための権利ならびに本サービスに対しまたは本サービスを介して送信されたコンテンツを他の媒体やサービスで配給、放送、配信、プロモーションまたは公表することを目的として、その他の企業、組織または個人に提供する権利が含まれていることに同意するものとします。
その一方で、投稿されたもの=著作物の権利はユーザーにあるいうこともInstagramやSlideShare運営元のLinkedInの利用規約などでも明記されていますので、貼付時はユーザーへの配慮と必然性の見極めを忘れずに。API経由でも記事内における本文と引用部分の主従関係は上記「引用」からビタイチ変わらずなのでそこもお気をつけください。
他者の知的所有権を尊重し、それに違反するコンテンツが掲載されていないプラットフォームの提供を目指しています
長くなりましたが、以上が引用にあたってのガイドライン的な内容です。適切な手法と引用元への心配りとで物事をスムーズに進め、楽しい引用ライフをお過ごしください。