OpenAIのブランドガイドラインが公開されたので読んでみた

2023.04.26

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2023年4月24日付けで、OpenAI社がブランド利用のガイドライン(brand guidelines)を公開しました。サービス名の命名などにも関わる重要な情報なので、ChatGPTを利用したサービスを検討している企業は要チェックな内容となっています。

私もざっと読んでみたので、本文を要約しつつ解説を入れてご紹介していきたいと思います。

概要

ChatGPTなどOpenAI社のサービスを利用する際に、文言上でどのように記載するべきか、またロゴなどのアセットをどう使用するべきか、など、ブランドの利用に関する情報を全般的に記載したガイドラインとなっています。具体的には下記の項目があります:

  • Language(文言上の利用ガイドライン)
    • API
    • Plugins(プラグイン)
    • Models(モデル)
    • Non-partnerships(パートナー以外の利用)
    • Content attribution(コンテンツの帰属について)
  • Assets(アセットに関するガイドライン)
    • Logos(ロゴ)
    • Spacing & sizing guidance(ロゴのスペーシング/サイジングのガイダンス)
    • Things to avoid when using our logo(ロゴ利用で避けるべき事項)
  • Press releases(プレスリリース時のガイドライン)
  • Mark usage terms(マーク利用規約)
  • Contact(連絡先)

上記のように、大項目として「Language」と「Assets」があります。 Languageの各項目ではそれぞれポリシーの記載に加えて、「Do」と「Don't」の例示が紹介されています。意訳するならば「従うべき例(良い例)」「避けるべき例(悪い例)」というべきでしょうか。この例は英語での文例で、日本語に訳すと若干ニュアンスが失われる可能性があるため、この後の紹介では原則としてこれらの文は原文(英語)のまま紹介することにしたいと思います。

それでは、実際の内容を読んでいきましょう。

ガイドラインの内容(Languageのみ)

それではガイドラインの内容を紹介していきたいと思います。 すべて訳すと長くなってしまうので、要約しつつ説明していきます。また、ガイドラインの中でも特に重要と思われる「Language」すなわち 文言に関するガイドラインのセクションのみ、ここではご紹介することにします(「Assets」セクションで紹介されているロゴの利用ガイドラインなども重要ではあるのですが)。

要約については、上述のように「Do」「Don't」の例は基本的に英文そのまま記載するほか、訳語が適切か筆者が自身がないものについては言語を参考としてカッコ書きで併記しています。この点あらかじめご了承ください。

API

原文: https://openai.com/brand#api

「API」の項目は、GPT-4、ChatGPT、DALL-Eを利用したプロダクトをリリースしている顧客に向けた内容で、「OpenAI社のテクノロジー」「自社とOpenAIとの関係」を説明するためにどのような文言を用いるのが良いかのガイドラインです。

重要な点としてはOpenAI社について言及する際には、OpenAIがAIの研究・開発企業であることを明記してほしい旨が記載されていることかと思います。 また、GPT-4、ChatGPT、DALL-Eの各モデルの紹介文が記載されています。私の英語力ではちょっと読み取りにくいのですが、おそらくこうした各モデルを利用していることを紹介する際に参考すると良い文例なのかと思います。たとえば「Powered by ChatGPT」の文面(の訳文)は以下の通りです:

Powered by GPT-4。GPT-4は、OpenAIの最も高度なAIシステムで、Aは幅広い一般知識とドメイン専門知識を提供し、自然言語による複雑な指示に従うことができ、難しい問題を正確に解決することができます。

そして、この項目でおそらく利用企業にとって最も重要なのは、OpenAIのAPIを利用したプロダクトを説明する際のDo/Don'tの例示の記述でしょう。それぞれ、以下のようになっています。なお文中の「Meowlytics」は、プロダクト名の例となります。

  • Do(従うべき例):
    • Meowlytics powered by GPT-4
    • Powered by
    • Built on
    • Built with
    • Developed on
    • Developed with
  • Don't(避けるべき例):
    • MeowlyticsGPT
    • Meowlytics with GPT-4
    • Meowlytics AI by OpenAI
    • ChatGPT-powered Meowlytics

「〜GPT」という命名がDon't(避けるべき例)に記載されていることが重要といえます。 また、「with GPT-4」「by OpenAI」などもDon'tに含まれています。 このガイドラインが「自社とOpenAIとの関係の説明」についてのものである、ということを鑑みると、「OpenAI社がそのプロダクトに強く関与している」と誤認される可能性のある記述を避けさせたい、という意図に基づく例示かと思われます。「Do」の例にある「〜 powered by GPT-4」ならば、「GPT-4を利用したプロダクトである」ことがより明確であるため、こちらを推奨する、ということでしょう。

Plugins(プラグイン)

原文: https://openai.com/brand#plugins

プラグインのガイドラインは、命名についての規則のみが記載されています。 重要な点は、(自社の)会社名またはプロダクト名を最初に記載し、その後にOpenAIもしくはモデル名を記載するという点で、OpenAI社やモデル名(およびサービス名?)を先頭にしない、という点です。後述のように例示とこの説明に若干ズレがあるように思えるため、原文を念の為引用しておきます。

When referring to plugins, please use the term “plugin” rather than other names. Your company or product name should appear first, followed by OpenAI or the model. Please do not lead with OpenAI or the OpenAI model name.

また、Do/Don'tの例示は以下の通りです。文内の「BarkBytes」はさきほどの「Meowlytics」同様プロダクト名の例となります。

  • Do(従うべき例):
    • BarkBytes plugin for ChatGPT
    • BarkBytes ChatGPT plugin
  • Don’t(避けるべき例):
    • BarkBytes plugin for OpenAI
    • BarkBytes plugin compatible with ChatGPT
    • BarkBytes plugin works with ChatGPT
    • BarkBytes plugin integrated with ChatGPT

ガイドライン側の記述では「OpenAI」は後に記述すれば良い、と書いているのですが、こちらではその例は「Don't」に入ってきています。どちらが正しいのかは分からないのですが、現状ではプラグイン名で「OpenAI」と記載することは避けておいたほうが良さそうです。 それ以外の「Don't」の例では、「compatible with ChatGPT」「integrated with ChatGPT」のように、OpenAI社のサービスと密接に関連している(統合されている/互換性があるなど)と誤認されることも避けるべきと読み取れます。

Models(モデル)

原文: https://openai.com/brand#models

モデルのガイドラインでは、OpenAIの各モデルについて参照(or 言及。原文は"reffering")する場合に従うべき事項を記述しています。

  • Do(従うべき例):
    • 適切なモデル名を参照する: GPT-3, GPT-4, ChatGPT, DALL-E
    • 必要であれば、日付ベースのバージョンのモデルを参照する: GPT-4 14年3月版
    • 総じてOpenAIモデルを指す場合は、"OpenAI technologies"(という記述)を使用すること。
  • Don’t(避けるべき例):
    • モデル名を間違えない: Chat GPT, ChatGPT4, GPTChat
    • エンジンクラスは使わない: Ada、Babbage、Curie、Davinci、GPT-3.5-turbo。
    • エンジン名を使わない:text-davinci-003
    • 特定のモデル名の代わりに「OpenAI」という名称を使用しない

Don'tの「モデル名の使い方を間違えない」の例示、「Chat GPT」は、間にスペースが入っているため間違い、ということですね。筆者のPCの環境では、原文ではちょうどスペース部分で改行されていたため最初どこが間違いか分からなかったのですが、コピペしてみて間にスペースが入っていることに気づきました。

Non-partnerships(パートナー以外の利用)

原文: https://openai.com/brand#non-partnerships

この項目では、公式なパートナー以外が自社とOpenAIの関係を示す場合の文言の制限が記載されています。具体的には、“collaborated with,” “worked with,” “partnered with,”といった記述は公式パートナーでない場合は利用できません。文内の「Pawtopia」はこれまで同様プロダクト名の例です。

  • Do(従うべき例):
    • Pawtopia is building with OpenAI
    • The Pawtopia product was developed with GPT-4
  • Don’t(避けるべき例):
    • Pawtopia collaborated with OpenAI
    • Pawtopia worked with OpenAI
    • Pawtopia partnered with OpenAI

Content attribution(コンテンツの帰属について)

原文: https://openai.com/brand#content-attribution

この項目では、OpenAIのモデルを利用して生成されたコンテンツの帰属の記載について記述されています。これらのコンテンツについて帰属(attribute)の情報を記載する必要はありませんが、記載したい場合は以下に従うと良い、ということでDo/Don'tが例示されています。

  • Do(従うべき例):
    • Written with ChatGPT
    • Caption written with ChatGPT
    • Created with DALL·E
    • Image created with DALL·E
  • Don’t(避けるべき例):
    • Written by ChatGPT
  • Caption written by ChatGPT
  • Created by DALL·E
  • Image created by DALL·E

Mark usage terms(マーク利用規約)

原文: https://openai.com/brand#mark-usage-terms

「Mark usage terms」は「Language」セクション外にある項目ですが、重要であるため併せて紹介してきます。 マークの利用の規約となりますが、ここでいう「マーク(Mark/Marks)」は、OpenAI社の商品またはサービスを識別する名称、ロゴ、アイコン、デザイン要素など、さまざまなものが該当する旨記述されています。

この「マーク」を利用する規約は下記となります:

  • 顧客は本ブランドガイドラインで許可された場合にのみ、OpenAIのマークを使用することができる
  • OpenAIが付与する許可は、非独占的(OpenAIが他者に与えることができる)かつ非譲渡的(顧客がそれを譲渡することができない)
  • OpenAIは本ガイドラインを更新することがあり、顧客は合理的な時間内に変更に従わなければならない
  • OpenAIは、顧客によるOpenAI社マークの使用を確認し、必要に応じて変更を要求することができる
  • OpenAIは、いつでも顧客へのOpenAI社マークの使用許可を終了させることができ、顧客は速やかにその使用を停止しなければならない

おわりに

以上、公開されたブランドガイドラインでも重要な「Language」セクションの内容について簡単にご紹介しました。 サービス名やサービスについての説明など、多岐に渡って重要な記載が多く含まれたガイドラインであることが分かるかと思います。 解説で指摘したように、若干不明な点もあるのですが、今後ガイドラインは継続してアップデートされていくと思いますので、企業としては注視していく必要がありそうです。

この情報がOpenAI社の利用を検討されている各企業の方の参考になれば幸いです。

ではでは。