自らフィードバックを求めにいく

2024.04.05
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
「自分だけでは自覚できない弱点や成長余地に気づくこと」「他者からの見え方を理解すること」などのためには他者からのフィードバックを得ることが重要です。

例えば、新しい会社や部門など新たな環境に入ったとき、その環境に適したふるまいをできているかどうかは自分だけでは判断できません。このとき、上司や先輩からのフィードバックで環境に即した行動に適応することが重要です。

例えば、自分では積極的で行動的なタイプだと思っていたが、実は他者から見ると比較的消極的で控えめに見えていたとして、この状態は他者からのフィードバックを得なければ自覚しにくくなります。

そして、フィードバックは受け取ることを待つだけではなく、自らフィードバックを求めにいくことも大切です。この記事では、自らフィードバックを求める「フィードバック探索行動」について整理します。

フィードバック探索行動とは?

フィードバック探索行動(Feedback seeking behavior)とは、自己成長や学びを促進するために、他者からのフィードバックを積極的に求め、受け取るような行動のことです。

フィードバック探索行動の利点

フィードバック探索行動には以下のような利点があります。

自己成長

スキル・スタンス・行動など、自分自身が知らないことや、把握できていなかったことを他者目線で教えてもらえることで、自己の成長につなげる材料を得ることができます。
特にフィードバックは踏み込んだ内容になるほど伝えにくい側面があるため、本人からフィードバックを求めてくれると伝えやすくなる側面があります。

組織貢献

所属している組織における貢献について、自分の行動や成果を他者目線で教えてもらえることによって、ズレがある場合に把握し、補正するきっかけを得ることができます。裏を返すと自分が価値があると思って行っている行動や成果が思ったより大きな貢献ではない場合もありますし、逆に自分はそれほど重視していなかった成果が大きな価値につながっていることもありえます。

関係構築

人に頼られることは大抵の場合、嬉しい事であり、フィードバックを求めて頼ると結果として頼る人と頼られる人の間の信頼関係が強化されやすくなります。また、自分の課題を改善するために他者に協力を得る姿勢に対してポジティブな印象を持たれやすくなるでしょう。

また、人は不明点を推測で埋めるため、関係性が薄いとはからずもネガティブな連想をされることがあります。普段の関わりからポジティブに認識されていれば、不明点が発生したときも「あの人なら何か事情があるのだろう」とポジティブな解釈をしてもらいやすくなります。

このケースについては以前公開したこちらの記事を参照ください。

フィードバック探索行動の方法

フィードバック探索行動には以下のような方法があります。

フィードバックリクエスト

 メンター、上司、同僚、部下などからのフィードバックを直接求めます。具体的な質問やテーマを設定し、意見を集めます。フィードバックスキルは人によって異なるため、相手のフィードバックスキルが高くない場合もこちらの質問力で補うことができると理想です。フィードバックのポイントはSBI法で語られるものが典型です。

SBI法は、Situation/Behavior/Impactの頭文字をとったものです。これらの要素について、

  • Situation - フィードバック対象の状況を伝えること
  • Behavior - フィードバック対象の振る舞いを伝えること
  • Impact - フィードバック対象の振る舞いがもたらした影響を伝えること
という感じでフィードバックを伝えます。相手からもらった情報に不足があれば、SBI法の観点を満たす情報を得るために相手に質問をして情報を引き出すとよいでしょう。

自己評価との対比

自己のパフォーマンスを客観的に評価し、自己評価と他者のフィードバックを照らし合わせます。様々な会社で行われている評価制度における自己評価にはフィードバック探索行動としての意味もあるわけです。

フィードバック探索行動の注意点

フィードバック探索行動をするうえで2つの注意点があります。
  1. 信頼関係
  2. 適任選定

1 信頼関係

相互に信頼できる関係がなければ、踏み込んだフィードバックを得にくくなります。関係性が浅かったり、マイナスの印象がある場合、率直なフィードバックをするのに心理的な障壁が大きくなります。また、受け入れる自分としてもあまり関係性がよくない相手からのフィードバックは受け入れにくくなります。

そもそも一緒に仕事をするうえで信頼関係は大切なものですが、自己の成長機会にも影響するわけです。

2 適任選定

 フィードバックをもらう場合、その質は相手のフィードバック力に依存します。例えば、相手がフィードバック力が低く
  • 攻撃的なメッセージの伝え方をしてくる
  • 問題を曲解し、明後日の方向の意見を伝えてくる
  • 自分の考えへのこだわりが強く、正解を押し付けてくる
などの特徴があった場合、自己の成長につながるどころか意欲の低下や誤った選択につながります。

そのため、一定のフィードバックの質が見込める相手を選ぶ必要があります。例えば

  • フィードバックの内容がSBI法のポイントを抑えていること
  • フィードバックに関わるお題を明確にする掘り下げをして、理解を深めてからフィードバックをしてくれること
  • フィードバックされる側の感情や多忙さなどの状況を踏まえてくれること
  • フィードバック量を重要な最小の量に調整してくれること
などをしてくれるような人が好ましいでしょう。

まとめ

自らフィードバックを求める「フィードバック探索行動」について整理しました。

人の成長は本人の中だけで完結するほどシンプルではありません。特に、マインドや振る舞いや他者からの見え方に関しては自分だけでは気づきにくい部分があるため、積極的にフィードバック探索行動を増やしていく必要があるでしょう。

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