開発者がJSTQB Advanced Level テストアナリスト試験に合格しました #JSTQB

JSTQB Advanced Level テストアナリスト試験に合格しました。勉強のコツはとにかくブラックボックステストの設計技法を手になじませることです。私は寄り道しまくりました。遠回りこそが俺の最短の道だった。
2024.04.25

こんにちは。AWS事業本部モダンアプリケーションコンサルティング部に所属している今泉(@bun76235104)です。

みなさんテストの設計していますか?

私はモダンアプリケーションコンサルティング部という部門で自身も手を動かしながらも、お客様が気持ちよく開発を手の内化していただくことをモチベーションに働いています。

そのため、改めてテストについて体系的に学習しようと思い、以前よりJSTQB 認定テスト技術者資格を受験していました。

今回は「テスト設計技法も学習して良いテストが書けるようになりたいな」という思いから、JSTQB認定テスト技術者資格 Advanced Level テストアナリストを受験しました。

無事に合格できましたので、開発者(寄り)の私としてどのように学習をしていったかなどのコツを記載したいと思います。

この試験専用の総学習時間は40時間くらいではないかと思います。(これまでの積み重ねは含めていません)

勉強方法

今回の勉強の方針

遊びながら楽しくテスト設計技法を学ぶ」という方針を最初に決めていました。

私は開発者としての経験が長いため、テストやQAを生業にしている方に比べてテスト設計の経験が少ないのは明確です。

とにかく気になったことは寄り道して、気分転換に開発をしながら、楽しく勉強を続けていくことにしました。

Step.1 まずはISTQBのサイトで問題の傾向を把握

楽しんで勉強をすすめるためにも、まずは旅の道筋を把握することにしました。

ISTQB Exam-Structure-Tablesには、シラバスのどの単元で何点分の問題が出題されるかが記載されています。

この資料を見ると、Chapter3のブラックボックステスト技法の分野だけでも4割強の問題が出題されることがわかります。

ということで、シラバスに書いてある以下のような技法を学習できるように書籍を読みながら実際にテスト設計をしていきました。

  • 同値分割法
  • 境界値分析
  • デシジョンテーブル
  • 状態遷移テスト
  • クラシフィケーションツリー
  • ペアワイズテスト
  • ユースケーステスト
  • どういうときにどのテスト技法を使ったらよいかを腹落ちさせる

Step.2 手を動かしながら学べる書籍で学習する

以下の書籍を購入して、ブラックボックステスト技法を学習しました。

なお、この試験の学習以前に読了していた本もありますが、あらためて読み直したりしていました。

ソフトウェアテスト技法ドリル【第2版】 テスト設計の考え方と実際

こちらの書籍です。

以前に読了していたのですが、改めて読み直しながら手を動かしました。

上に記載するブラックボックステスト技法のことも学びつつ、著者の秋山氏が「こういうときに特に使える」という意見を書いてくれている名著です。

以前、書籍の紹介記事を書かせていただいています。

ソフトウェアテスト技法練習帳 〜知識を経験に変える40問〜

こちらの書籍です。

こちらも以前に読了していたのですが、改めて読み直しながら手を動かしました。

問題を解く側面が強く、まさに「知識を経験に変える」のにピッタリな本でした。

出てくる問題の題材もゲームっぽい身近なものを用意してくれていて、楽しく学ぶことができました。最高です。

Step.3 シラバスを読みながら遊ぶ

次にJSTQBが公開してくださっているシラバスを読みながら遊ぶことにしました。

テスト設計技法などは上記の書籍で学習していたのですが、当然ながら他の項目でも半分ちかい出題があるので、しっかり読み込みながら気になることを調べていきます。

Zennのスクラップにまとめていく

シラバスをただ読むのでは(私の場合)頭に入ってこないので、「これは心に残ったぞ」という部分をZennのスクラップにまとめていきました。

ただテストを受けるだけでなく、受験結果をブログやLTで発表することを意識しながらメモしていきました。

この学習は「アウトプットするならここはこういうふうなことが面白そうだな」と意識できるので、より自分ごととして考えやすくなるというメリットがあります。

私自身も初めての試みでしたが、非常に楽しく学習できました。

思い切って寄り道する

さらに、シラバスを読みながら「これって人間がしなくても楽できそうなことあるよね?」という部分を見つけて、生成AIを使って遊んでいました。

はっきり言ってこれをしても、テストアナリストの試験にはほぼ関係ありません。(そもそも重要度が高い単元ではないです)

ですが、寄り道するついでに生成AIのことを少しだけ学べて、おまけにLTとして登壇する材料になりました。

テスト技法を学ぶ以前に私はITエンジニアなので、この学習意欲や楽しもうとする心は大事にしていきたいなと考えています。

なお、最短でテストに合格する必要があるときにはさすがにしないと思います。多分。おそらく。

Step.4 本番に近い問題を解く

公式のサンプル問題を解く

ISTQBのサイトから、サンプル問題(英語)をダウンロードできます。

このサンプル問題には「この問題はN点」ということも記載されているので、どこを重点的に学習しないといけないかおさらいになります。

私はとある事情で英語を学習していきたかったので、英語のまま解いていきましたが、非常に時間がかかったので日本語に翻訳してから解くほうがよいかもしれません。

非公式問題集を解く(留意点あり)

JSTQB Advanced Level テストアナリスト 試験対策問題集を購入して、学習しました。

日本語で解けるので非常にありがたいのですが、一部の単元はおそらく古いバージョンのシラバスを元に作成されているため、留意が必要です。

とはいえブラックボックステスト技法の問題はそのまま使えると思いますし、一部記載内容が古い問題も最新シラバスの内容に置き換えることで学習には使えると思います。

私は以下のように留意しながら問題を解いていました。

  • 最新のシラバスに記載がない問題にはマークをつけて考え方だけを学ぶ
  • 非公式問題集では品質特性に対する記述内容が ISO/IEC 9126-1 に基づいているが、最新のシラバスでは ISO/IEC 25010 に基づいているので注意
    • 公式シラバスの最後の付録(8. 付録A)に対応表が記載されています
    • こちらを参照しながら、例えば「機能性」→「機能適合性」、「合目的性」→「機能適切性」と置き換えることで学習に使えると思います

秋山氏のNoteを読む

書籍でもお世話になっている秋山氏が「ALTAのテキストをつくろう」というテーマでNoteにたくさんの記事を公開してくださっています。

サンプル問題を解きながら、特に自信がなかった単元などを読みながら学習させていただきました。いつもありがとうございます。

いつ結果がでたのか

私の場合4/20に受験して、4/25に結果の連絡がありました。

公式情報にも受験から2週間以内と記載されているため気長に待ちましょう。

なお、私の場合結果が気になって1時間おきくらいにテスト結果を確認していましたが、メールが来てからでないと結果ページに反映されなかったので、「連絡がまだなだけで実はもう結果がでているかも!」とやきもきするよりも他のことに気を回したほうが良いと思いました。(笑)

受験した感想

以前受験したテストマネージャの試験が3時間であり、今回は2時間なので「いけるだろ」と思っていたのですが、かなりギリギリに解き終わりました。

やはりブラックボックステスト技法の問題で、テストケースを考える問題があるため、時間配分を間違えると大変なことになると感じました。

ただ、時間をかけて学習をした分「こうやってテスト設計できるのか」と自分の知識を確認しながら、体系的にテストについて学べるのは非常にありがたかったです。

「開発者だけど短い時間で効果的なテストを書きたい」

「生成AIがすごい時代だからこそ、どんな観点でテストを書くべきか、出力されたコードが正しいのか評価したい」というモチベーションがある方にもおすすめの試験だと感じました。

ぜひ、興味がある方は挑戦してみてください。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。