LINEが開発したブロックチェーン – LINE Blockchainで出来ること

2023.11.06
自分はブロックチェーンゲームが好きです。今回はLINEが開発しているブロックチェーンである、LINE Blockchainについて調べてみました。実際の活用事例や特徴について紹介します。

LINE Blockchainとは

LINE BlockchainはLINEグループが開発している独自ブロックチェーンです。 LINEグループは、独自暗号資産「FINSCHIA (旧LINK)」の発行や、NFT総合マーケットプレイス「LINE NFT」の運営、LINE Blockchainの開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」の提供などを行なっています。

何ができるの?

実際にLINE Blockchainを活用している事例を紹介します。

「ゲーム」
LINE Blockchainではブロックチェーンを利用したゲームの開発を行うことができます。

  • 資産性ミリオンアーサー
  • 資産性ミリオンアーサーはスクウェア・エニックスが運営しているNFTゲームです。無料で始められ、手に入れたNFTデジタルシールをLINE NFTで売却、購入できます。

  • STEPN(開発中?)
  • move to earnとして有名なSTEPNの開発元も、LINE Blockchainを活用したサービスの提供を目指すと発表しています。

「NFT」
LINE Blockchain上ではNFTの発行ができます。

  • デジタル景品
  • こちらの事例では、LINE上でアンケート回答者にNFTトレカを配布するキャンペーンを行っていました。 NFTトレカを獲得したユーザーのLINE公式アカウントブロック率は、LINEプロモーションスタンプで獲得したユーザーよりも低かったようです。

  • NFTの販売、無料配布
  • LINE NFTでは、NFT無料配布機能があり、企業側が開発工程を踏まずに簡単にユーザーへNFTを配布することができます。 LINE NFT上でNFTを無料配布する事例があったり、LIFFアプリから(LINE NFTを通さず)NFTを配布するといった事例もあります。

「その他」

  • aFan
  • aFanはLINE Blockchainを基盤としたSNSサービスです。ユーザーはクリエイターとお互いにFANCOというサービストークンを贈り合うことができます。

  • リンクサイン(linksign)
  • リンクサインはAI・ブロックチェーンを利用した電子契約サービスです。

ちなみにLINE NFTでは、一般の個人クリエイターが自由に一次販売をすることはできません(二次流通は誰でも可能)。LINE NFTの関連サイトにも、「法人のお客様向け問い合わせ」と書いてあるので一次販売は企業や法人向けのようです。

FINSCHIA

LINE Blockchainのブロックチェーンメインネットを「FINSCHIA(フィンシア)」と言います。

  • LINE以外の組織やユーザーが利用しやすいように名称変更
  • 以前はLINEグループの独自暗号資産はLINK(LN)という名前でしたが、現在はFINSCHIA(FNSA)という名前に変わっています。またLINE Blockchainのウォレットについても、以前はLINE BITMAX Walletという名前でしたが、現在ではDOSI Wallet(ドシウォレット)に統合されています。

    仮想通貨やウォレットの名前が変更されユーザーは少し混乱しそうですね。ですが、FINSCHIAをLINE以外のいろんなパートナーにも利用してもらいたいという意図からリブランティングを目指して名称を変更したようです。

    LINE Blockchain Developers

    LINE Blockchainでの開発をするには、LINE Blockchain Developersという開発プラットフォームを利用します。ブラウザ上での画面操作によりブロックチェーンサービスの開発をしたり、REST APIを使ってブロックチェーンとのやり取りを行えます。
    通常のブロックチェーン開発と比べ、ブロックチェーンノードの構築、スマートコントラクトの作成、新しい開発言語の習得などが不要になります。ブロックチェーン開発自体、複雑で難しいですが、LINE BlockchainはGUI上で操作できる分敷居が低くなっていると思います。

    テストネットは無料ですが制限があります。

    • TestnetでのAPIコール150,000回
    • テストユーザー最大100人

    テストネットでも開発には申請が必要ですが、自分が個人利用の目的でテストネットの申請を出したときは半日程度で利用できるようになりました。

    メインネットは、利用用途に合わせて料金プランが変わります。Mainnetの利用にはLINE社への問い合わせが必須ですが、APIコール数や技術サポートのオプションについても相談に乗って頂けるようです。

    DOSI Wallet

    LINE Blockchain上で発行されたトークンやNFTは、DOSI Wallet(ドシウォレット, 旧Bitmax Wallet)で管理できます。LINE NFTで購入したNFTやFinschiaのテストネットで発行したNFTも管理できます。
    一方で、仮想通貨のFINSCHIA(FNSA)はDOSI Walletで管理できないため注意が必要です。誤ってDOSI WalletのNFTアドレスへFNSAを送信すると資産が復元できなくなります。LINE BITMAXで保有しているFINSCHIAの数量確認のみ可能です。

  • LINEとの連携が強いNFT管理用web3ウォレット
  • DOSI WalletはWEBアプリで、LINEアカウントで簡単にログインできます。メタマスクなどとは違い、スマホアプリのインストールやブラウザの拡張機能などは不要です。 LINEアカウントとウォレットが紐づけられるため、ユーザーがシークレットフレーズを保管する必要もありません。他のウォレットだと、スマホで作成したウォレットに、PCからアクセスする際シークレットフレーズの入力が必要だったりしますが、DOSI Walletの場合LINEログインで簡単に開けます。

    LINE Blockchainの特徴

    LINE Blockchainの特徴を紹介します。

    • プライベートチェーン
    • LINE Blockchainは現在プライベートチェーンとして運営されています。開発者はテストネットやメインネット上で開発をする際に、運営に申請をする必要があります。またメインネットでサービス作成する場合は審査があります。ギャンブル性の高いサービスは禁止されています。

      ちなみにフィンシア財団は、現在プライベートチェーンで運営されているLINE Blockchainを、パブリックブロックチェーンへ移行しようしています。もしかすると将来的にはガス代の有料化などがあってもおかしくないのかなと思います。

    • ガス代が不要
    • LINE Blockchainはプライベートチェーンなのでガス代が不要です。このメリットは大きく、パブリックチェーンだとNFTの無料配布を行ってもミントや転送でガス代が掛かるため実質有料です。しかもガス代は仮想通貨で支払いますが、新規参入者は手元に仮想通貨がないため、取引所に登録して仮想通貨を購入するという手間が発生します。LINE Blockchainだとその手間がないため、初心者は参入しやすいと思います。

    • スマートコントラクトの作成が不要
    • 先述の通り、LINE Blockchainでは、LINE Blockchain Developersのおかげでスマートコントラクトの作成が不要です。

      LINE Blockchain DevelopersではNFT・トークンの作成や転送、売買など基本的な機能は実装できますが、一方でオークションやエスクローという仕組みは実装できません。一般の開発者は自分のコードをブロックチェーン上にデプロイすることができませんでした。 そこで現在LINE社はwasm(ウェブアセンブリー)を使ったスマートコントラクト開発ができるように取り組んでいます。Finschiaにスマートコントラクトをデプロイするチュートリアルなども既にあります。

    感想

    自分がプレイしたことのあるゲーム(STEPNやLOOTaDOG)もLINE Blockchain上で開発を計画しているようで普及しつつあるのかなあと思っています。
    web3はある程度知識がないと難しい分野ですが、LINE Blockchainは一般ユーザーにも開発者にも易しい仕組みや環境になっています。審査もあるので、詐欺のような怪しいトークンが作られる可能性も少ないかなと思いました。一般のLINEユーザー層がLINE Blockchain上のサービスを利用してくれると、市場規模もさらに大きくなり盛り上がりますね。