キャリア支援 – メンバー個人のミッションステートメントを決めるための支援

2024.01.15
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
仕事において、事業成果のために必要なこととは別に働く本人にとっての意義が重要になります。
人は、自分の内側にある動機、つまり内発的動機がある方がモチベーションが高く、長続きしやすくなります。
例えば、目標を設定するにしても単に事業成果のために必要かどうかだけではなく、そこへの取り組みが個人が仕事で大切にしたいことや、キャリアの目標とどう連動するかが重なっているからこそ目標へのコミットが強くなります。
部下やメンティーとなるメンバーのキャリアの支援をする立場の人が、この状態を実現するにあたって3つのステップがあります。
  1. メンバー個人のミッションステートメントを決めるための支援
  2. キャリアの選択肢を知り、方向性を決めるための支援
  3. 定まったキャリアを日々進めるための支援
です。今回は「メンバー個人のミッションステートメントを決めるための支援」について整理します。

メンバー個人のミッションステートメントとは?

個人のミッションステートメント(Personal Mission Statement)は、自分の価値観や自分にとっての成功を定めたものです。
企業のミッションステートメントの個人版にあたります。
個人のミッションステートメントが定めると、それを元にして、今後どのようなキャリアを選ぶか、重要な場面での意思決定をどうするかなどの軸になります。

個人のミッションステートメントを整理するためのプロセス

  1. 関係構築
  2. 掘り下げ
  3. 言語化

1 関係構築

メンバーのキャリアの支援をするにあたって、個人の価値観など踏み込んだ部分まで関わることになるため、土台として信頼関係が必要になります。そのため、十分に関係構築をする必要があります。
大前提として、根っこに相手の成功を願う気持ちが必要です。逆にいうと、支援する相手の成功に無関心な人が業務上の義務として支援をしようとすると相手が望まない答えを押し付けてしまう可能性もあります。そういった意味でマネージャーやメンターの任用基準として相手の成功を願う気持ちが重要となります。

2 掘り下げ

仕事をしていく上で大事にしている価値観や自分にとって何が成功と言えるかを整理するために、以下のような要素を掘り下げるのを手伝います。
  1. 自己理解 - 内面的自己理解
  2. 自己理解 - 外面的自己理解
  3. 適性理解
なお、この掘り下げはスッとまとまる人もいれば、数ヶ月〜年単位かかる人もいます。また、いきなりゴールに到達できるとは限らないものの、取り組むことで少しずつ前進します。そのため、定期的な1on1でのコミュニケーションを活用するなどして、じっくり時間をかけつつ進行していけるとよいでしょう。

2-1 自己理解 - 内面的自己理解

メンバーの自己理解を促します。
自己理解には内面的自己理解と外面的自己理解があります。内面的自己理解は、自分からみた自分への理解です。
特にキャリアの検討に関わる内面的自己理解の要素としては
などがあります。メンバーがこれらを整理するのを手伝いましょう。
診断ツール以外にも、過去の経験を元に整理を手伝うことでより深く掘り下げることもできます。
基本的にはメンバー本人に整理してもらい、一人ではまとまりきらないところについて質問で掘り下げを手伝う形になります。

2-2 自己理解 - 外面的自己理解

メンバーの自己理解を促します。
自己理解には内面的自己理解と外面的自己理解があります。外面的自己理解は他者から見た自分への理解です。
仕事は一人ではなく、他者との関わりの中で行います。その際に、他者から自身がどのように見えているかを理解していることは重要です。例えば、自分はコミュニケーションが得意と思っていたが、実は他者から見てコミュニケーションを取りにくい人だと思われていた場合、自分の中ではコミュニケーションを改善する動機がないため、コミュニケーション能力が改善されないままになり、他者との協力関係がうまくいかない状態が継続してしまいます。
外面的自己理解を掘り下げる例として、例えば
  • 強み、弱みは何か?
について、あなたからの見え方をメンバーに伝えましょう。この際に、具体的なエピソードを添えて伝えるとメンバーが本気のメッセージとして実感しやすいでしょう。
また、追加でメンバーをよく知る複数の友人・同僚にメンバーがどのように見えるか質問をするように本人に促しましょう。
できるだけ異なる場で関わった人たちから情報を得られるとよいでしょう。
なお、外面的自己理解のための情報を集めることについて関して協力的な友人・同僚が必要となるため、普段から関わる人達に信頼されている必要があります。

2-3 適性理解

能力面で、どういった領域に向いているかに関して適性を確認します。
  • 技術的なスキル
  • ソフトスキル
について棚卸しし、自分が選べるキャリアの選択肢への適性が現時点でどの程度あるか確認します。
この際、特にソフトスキルに関しては業務外で伸びる面もあるため、棚卸しの際の思考の幅は業務範囲に制限せず、広く考えることを促すとよいでしょう。例えば、仕事では1メンバーとして動いているが、コミュニティ活動ではリーダーをしている人は、全くリーダー経験がない人よりはリーダーシップのスキルが高いでしょう。
なお、人は成長できるため、現時点で目指す方向に必要な能力をすべて満たしている必要はありません。一方で、あまりに求められる水準から離れている場合にキャリアの選択肢を絞ったり、かなり長い時間をかけて伸ばすような判断材料になるでしょう。

言語化

最後に「掘り下げ」でまとめた内容を元にメンバー個人のミッションステートメントを言語化してもらいます。
言語化した内容は文書化し、仕事で関わる人達に共有できる状態が理想です。
一方で、メンバー本人が公開されることを望まない場合は、上司やメンターのみが閲覧できるような形になります。

まとめ

「メンバー個人のミッションステートメントを決めるための支援」について整理しました。
メンバー個人のミッションステートメントは、後続に続く
  • キャリアの選択肢を知り、方向性を決めるための支援
  • 定まったキャリアを日々進めるための支援
に進む上でスタートラインになります。
この部分がまだ定まっていないメンバーについて、本人が望む場合にじっくり時間をかけつつ支援をしましょう。

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