失敗可能な練習の場を用意する

2024.04.15
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。

仕事において、座学だけで身につけやすい知識やスキルもあれば、実際の業務の経験を通さないと身に着けにくい知識やスキルもあります。この記事では、実践を通さないと身につけることが難しい対象を身につけるための場としてのプラクティスフィールドについてまとめます。

プラクティスフィールドとは

プラクティスフィールド(Practice Fields)とは、組織学習の研究者ピーター・センゲの提唱した概念です。プラクティスフィールドは重要な知識やスキルを高めるための"練習場"のことです。

何かを習得する上で重要なのは実践の場です。一方で、仕事において実践は事業の成功とつながっており、取り扱う内容によっては失敗を許容できるとは限りません。「本番で失敗した場合の影響が大きい」かつ「習得には実践からの試行錯誤を通した改善が必要」という両方の要素が前提となるような対象に取り組む場合、プラクティスフィールドで安全に周到できる場が重要になります。

プラクティスフィールドの作り方

プラクティスフィールドを作るには以下のようなステップが必要です。
  1. 要素分解
  2. 再現方法の設計
  3. 試行
  4. 改善

1 要素分解

メンバーに身につけてもらいたい業務を十分にこなすために必要な要素を分解します。例えば、面接官としての能力を身に着けてもらいたいとします。

仮に面接官を育成したいとします。まずは面接の構成を整理します。

  • アイスブレイク
  • 自己紹介
  • 会社紹介
  • 職務紹介
  • 選考(面接なり、実技試験なり)
  • 質疑応答
  • 面接のクロージング

これらを踏まえて特に実践を通した育成が重要な部分を掘り下げます。単に構成通りに実施するなら資料があれば、いけるかもしれませんが、実際は文書化しきれない部分があります。アイスブレイクであったり、選考時に相手の回答をより詳細に引き出すための質問の問いかけ方であったり、面接でアトラクトをするために相手の転職軸を聞き出しつつ、それに応じた情報をアドリブで提供したりなどです。このように各部品で身につける必要のある要素を整理します。

2 再現方法の設計

整理した要素を実践を通して体験する方法を設計します。

先程の面接を例にすると、ほぼ本番と同じ要素で面接官向けの模擬面接を設計しつつ、実践を通して習得が必要になる部分の実施方法やチェック方法を決めます。習得したい人は面接官役として参加し、別途で候補者役も用意します。候補者役の人は、候補者の方がどんな質問をしてくるか把握していて、アドリブがきく面接習熟者が良いでしょう。模擬面接を実施したら、各要素の出来についてふりかえりを実施するようにします。

本番に参加しても十分なレベルになるまで実践を繰り返せるようにします。

3 試行

出来上がったプラクティスフィールドを試します。

先程の面接を例にすると出来上がった模擬面接の内容を実際に試すことになります。

4 改善

試した結果、プラクティスフィールドの内容に改善が必要であれば改善します。また、お試し以降も仕組みに改善が必要であれば継続的に改善をし続けます。

例えば、先程の面接の例であれば、面接管役と候補者役だけではなく、面接を第三者視点で観察し、後ほどフィードバックをする役目の人も1名アサインできるようにする、という改善などがありえます。

プラクティスフィールドの実体験

私が新卒で入社した会社でウェブエンジニアとしてのキャリアを始めたとき、案件に入る前に研修として社内システムの要件定義、設計、実装、テスト、導入、運用のすべてを新卒のみで実施するという取り組みがありました。

これは、今考えると実際の業務と同じような経験を得ることができる失敗可能な練習の場(=プラクティスフィールド)であったと思います。

まとめ

実践を通さないと身につけることが難しい対象を身につけるための場としてのプラクティスフィールドについてまとめました。

自分たちのチームの業務において、キャッチアップが難しくなっていて、習得できる人とできない人が安定しないようなものがあれば、プラクティスフィールドの導入候補になるでしょう。

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