[レポート]Baker Hughes社がどのように油田の運用のためのソリューションを構築したか #ENU308 #reinvent
データアナリティクス事業本部の鈴木です。
ENU308の『How Baker Hughes built a solution portfolio for oilfield operations』を聴講したのでレポートです。
セッションについて
登壇者
- Tom Metzeler, Sr. Manager Solutions Architecture, AWS
- Abhishek Lakhani, AWS COE Leader, EUC and Manufacturing, Capgemini
- Eugenia Sorotokin, Sr Director, Production Solutions Digital, Baker Hughes
Session level
300 - Advanced
Session type
Chalk Talk
セッション概要
Baker Hughes社の事例を通して、油田の運用のような深いドメイン知識が求められる分野において、データ活用の観点でどのようにAWSのサービスを活用できるかを知ることができます。油田の運用では、高い信頼性のソリューションに支えられて、極めて過酷な環境下においても安全性・パフォーマンス・持続性を高めています。この分野におけるクラウド活用には、油田に関するドメイン知識を油田の管理におけるデジタルニーズへの深い理解に組み合わせていくことが求められます。システムのユーザーは、より迅速な意思決定と容易なアクセスを望んでいますが、そのために、データ分析と機械学習を使用し、より良い油田機器の運用を行うことができます。
このセッションはChalk Talkで、前半はスライドをメインとしたプレゼンテーションで、油田の運用に関する難しい点や、それをどのようなシステムで解決しているのか具体的な構成を紹介頂きました。後半はその内容を受けた質疑応答が行われました。この記事では前半部分を中心にご紹介します。
レポート
発表の目次です。
まず、「オイル&ガス・データチャレンジ」としてまとめられたこの図は、Baker Hughes社の油田サービス事業に関するダイアグラムです。非常に複雑な関係性になっていることが分かります。
この複雑さに起因して、例えば同じ作業を繰り返すような冗長な仕組みがあったりしたため、2020年にソフトウェア組織の再編成や、冗長な箇所の整理などの施策をおこなったそうです。その中でも、データ活用の観点は重視した点の一つですが、油田サービス事業は非常に特殊なデータやエンティティがあるので、適した既存のソリューションがなく、自前で構築することになったそうです。
構築する際の原則として、以下の4つを紹介頂きました。エンドユーザーは多くのアプリケーションを使っているため、認証とデータへのアクセスはシステム内に組み込んで統合するなど、原理原則に沿った工夫が行われています。
以下のように必要な要件を整理し、例えば油田の位置などの関心のある情報などについて、業界標準のインターフェースを構築することで、一番右側のアプリケーション部分を担当するユーザーが自分のアプリケーション開発・データ活用に専念できるようにしています。
上記の構成をレベルに分けると以下のような4レベルに大別できます。
もう少し細かく層に分類して、どのようなAWSサービスを割り当てているかは以下の図のように紹介されていました。
個人的にはCuration layerでデータウェアハウスだけではなく、検索システムやグラフデータベースを備えている点がとても勉強になりました。私の所属しているチームではRedshiftのようなデータウェアハウスをBIなどに公開する構成はなじみがありますが、今回紹介頂いた構成では、それに加えてデータ種別ごとにより適したサービスを選択し、さらにAPI GatewayなどでAPIとして提供するようなつくりも備えられていました。このように共通化することにより、利用側のアプリケーションがより使いやすくなるように工夫されていることを感じました。
最後に
ENU308の『How Baker Hughes built a solution portfolio for oilfield operations』のレポートでした。
このセッションで紹介された構成は、データ分析基盤の構成を含みつつ、さらにアプリケーションが活用しやすいようなAPIでの提供や、機械学習機能との連携もされており、より発展的で勉強になりました。