後継者計画で次世代に備える

2024.02.21
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
経営者、事業部長、部長など要職に急に空きが出たことが組織課題になった経験はありますか?
今回は、そういった状況に向けて先手を打つ方法としての後継者計画についてまとめます。

後継者計画とは?

後継者計画(Succession planning)とは、組織内の重要なリーダーのポジションについて、空席を埋める準備を計画的に行うことです。この取り組みによって、現在のリーダーが昇進、退職、異動、離任などをして空位ができた際に、事業を滞りなく継続できるようになります。

リーダーシップ・パイプラインの整備

後継者計画に関わる要素として、リーダーシップ・パイプラインという考え方があります。
リーダーシップ・パイプラインとは、各階層ごとのリーダーが安定して育成できるようにする考え方のことです。
よくある例としは
  • 一般社員
  • 係長
  • 課長
  • 部長
  • 事業部長
  • 役員
  • 代表
のような形があります。
このステップは会社によって異なりますし、各段階で求められる内容は画一的ではなく、それぞれ異なるスキル・マインドなどが求められます。そのため、異なる段階のリーダー職にステップアップするたびに今までとは異なるスキル・マインドを身につけることが必要になります。このステップアップを本人の努力だけに任せるのではなく、組織や前任リーダーなどのサポートによって計画的に実施し、ステップアップの成功率を上げる取り組みとしてリーダーシップ・パイプラインを構築することが大切になります。

個別ポジションに対する後継者計画のプロセス

  1. キーとなるポジションの見極め
  2. キーとなるポジションの職務分析
    1. 職務分析について、詳しくは「求人要件定義 - 職務分析|ITエンジニア採用入門」を参照
  3. 後継者候補の見極め
  4. 後継者候補の育成計画の作成
  5. 後継者候補の育成の実施

一般的な人材採用・育成との対比

後継者育成のプロセスで紹介した内容は、特にリーダーの後継者育成以外の人材採用・育成と共通する内容もあります。そこで、共通点と相違点を整理します。

共通点

  • 職務分析をすること
  • 職務分析の結果を元に適任者を見極めること
  • 職務分析の結果を元に計画的にスキル、マインドを伸ばすこと

相違点

  • 後継者計画は長期的な視点で実施される
  • 後継者計画は事業継続に向けたリスク管理の意味合いもあること

経験機会の設計

リーダーの後継者育成において、メンバーの育成と比べて実践経験の重要度がより高くなります。
そのため、いくら座学の研修を整備しても不十分で、いかにリーダーとしての活動に役立つ経験を積み、その経験をふりかえり、血肉にしていくかが重要になります。
そのため、後継者計画における育成にはアサイン調整による経験機会の提供が欠かせません。
また、ハードな取り組みになりやすいことや、経験者によるふりかえりの促進の必要性から既存のリーダーによる継続的なサポートも欠かせません。

その他のポイント

応用

後継者計画については、経営者や部門長などの要職について語られる事が多いですが、中間層のマネージャーやリーダーの後継者の任用・育成についても同じ考えを適用できます。また、管理職だけではなく、技術職における技術リーダーなどについても同様でしょう。

育成余力

後継者計画において、実践経験を元に未来のリーダーを伸ばしていく必要があります。
逆にいうと、現在担当している業務の範囲で時間を使い切ってしまっていると、次世代リーダーとして挑戦する余力がなくなります。
短期的な売上や効率に偏りすぎると未来のリスクを高めることになります。逆に未来のための育成に偏らせすぎるのと短期的な成果が低下するため、バランスを取る必要があります。

あえて対応しない

小規模部門など、後継者育成に時間をさくと現状の業務を圧迫するような場合もありえます。こういった場合、未来のリーダーが不在になるリスクがあることを承知つつ、あえて対応しない選択をとることもあるでしょう。

まとめ

要職の計画的なアサイン、育成として後継者計画についてまとめました。
リーダーの適性は先天的なものと思われがちですが、ある程度、気質の面などの適性はあるものの、経験を通して意図的に伸ばすこともできるものです。意図的にリーダーを増やすためにも後継者計画の整備ができていくとよいでしょう。