【書評】「ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング」コミュニティマーケティングだけでなく、アウトプットの重要性も学べる一冊

コミュニティでのアウトプットで自身の市場価値をあげていきたい
2022.04.27

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CX事業本部 内製化支援グループのたいがーです?

今回は、「ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング」の書評を書いていきたいと思います。コミュニティマーケティングとは何か、どのような効果を産むのか、コミュニティを運営する上での注意点、アウトプットの重要性など様々な観点からコミュニティについて書かれています。

この本を手に取ったきっかけ

みなさんは、コミュニティイベントに参加したことがありますか?まだなんとなく勇気が出ない、登壇はないが参加だけしたことがある、登壇を何回もしている、色々な方がいらっしゃるでしょう。

私が初めてコミュニティイベントに参加したのは大学2年生の時でした。学生だったという点からも、色々な方に面白がっていただいていたのでしょう。そこから登壇やLT、イベントの実行委員や当日のイベントスタッフなど、本当にさまざまな経験をさせていただきました。

大学在学当初、私はコミュニティというもの自体の熱量に感化されていました。

実際にやってみた知見が飛び交い、人々が交流し、形容し難い途轍もないパワーを感じ取っていました。ただ、同時に不思議に思っていました。

こんな有益な情報が飛び交う場が存在しているのかという点です。情報を共有すること自体の重要性は理解しているが、なんとなく落とし込むところまでは行かない。言語化が出来るレベルにはなっていない。学生時代の私はそんな状況でした。

そこから数年が経ち、私は社会人3年目になりました。大学2年生の当時、本当に飛び込んでみてよかったと思っています。今でもそこで出会った方々とのご縁はつながっていて、登壇させていただいたこともあります。学生時代とはまた違った着眼点でアウトプットできたのではないでしょうか。

直近では世界中の方が参加するオンラインイベントの実行委員として参加させていただきました。ここ最近英語を話していなかった私の久しぶりの英語を話す機会でしたが、スピーカーの方への案内なども行いました。

社会人になってからの私はいくつかの受託開発のプロジェクトにプロダクトマネージャーとして参画し、その中で色々なお客様と話し、お客様と一緒にエンドユーザーにとってより良いプロダクトは何なのかを探求しつつ、チーム開発を行ってきました。

その上でどうしても私が関わることが出来ない、色々なユーザーにアプローチする"マーケティング"というものに興味が湧いてきました。また自分が参加していたコミュニティというもののマーケティング手法を見返してみたいと思い始めました。そこで手に取ったのがこちらの本でした。

この本を読んだことで、私が参加していたコミュニティというものを見直す機会になり、だからコミュニティというものはあれほどのパワーを生み出しているのだと知るきっかけになりました。

著者

本書の著書はコミュニティの場で出会った、パラレルマーケターである小島さんです。

本書にも書かれておりますが、メーリングリストでの知見の共有の重要性というものを気づかれ、Flexでのユーザーコミュニティでのサポート経験を活かし、JAWS-UGを発足させ、コミュニティマーケティングの実践者を増やすコミュニティ「CMC_Meetup」を立ち上げられました。

どんな人に向いているか

コミュニティマーケターのポジションを目指す方はもちろん、コミュニティにおけるアウトプットの重要性を知りたい方、コミュニティ運営で悩まれている方はぜひ読むべき一冊なのではないでしょうか。

コミュニティ立ち上げ時点の注意点はもちろんのこと、どうグロースさせていくか、コミュニティマーケターのポジションでどのように気を付け、サポートするべきかなどの点なども小島さんのご経験を交えながら詳細に説明されています。

コミュニティという観点のほかにアウトプットの重要性や可能性なども気づかせてくれる一冊ですので、何か発信をしてみたいけどいまいち勇気が出ないという方もやってみようと思える一冊ではないでしょうか。

概要

本書は5章で構成されています。

  • 第1章: AWSを成功に導いた「コミュニティマーケティング」とは何か
  • 第2章: 新しい視点をもたらす「コミュニティマーケティング」
  • 第3章: 「コミュニティマーケティング」を成功させるための鉄則
  • 第4章: 「コミュニティマーケティング」の実践ケーススタディ
  • 第5章: 「コミュニティマーケティング」は人生もグロースさせる

第1章ではコミュニティマーケティングの概略、第2章ではコミュニティマーケティングの価値、コミュニティに参加する個人にとっての魅力、第3章ではコミュニティマーケティングを立ち上げる際の鉄則、第4章ではコミュニティマーケティングにふさわしい商材などケーススタディ、そして、第5章ではコミュニティマーケティングがいかに個人のビジネスや人生をグロースさせていくか、について詳しく語っていきます。 本書 もくじより抜粋

つまり、コミュニティマーケティングを網羅的に、また個人の価値をどうやって上げていくことができるのかも知ることができる本となっています。

感想

私が学生時代から感じていた"人はなぜコミュニティに参加し、アウトプットするのか"という疑問はこのような答えなのかを改めて知ることができました。

アウトプットをすることで自分自身の市場価値が上がり、さらにどのような強みがあるのかという自分自身の宣伝につながります。最近、積極的にブログを書けていない私はある意味少し冷や汗をかきながら読み進めました。

弊社内でもこのDevelopersIOでブログを書くことでその人の関心軸を知るきっかけとなることがよくあります。 ある意味、このブログは社内の一種の関心軸が複数あるコミュニティのような場所になっています。

"このブログを書かれていたから、同じようなことで詰まっていてここの相談に乗って欲しい"と質問がくる場合もあります。アウトプットが機会を作るということが社内でもよく起きる、それがクラスメソッドという会社だったりします。もちろんSlackでの発言もアウトプットの一つであり、その人自体の得意分野や価値を自分以外の人に表す良い機会となっています。

マーケティングとプロダクトの仮説の共通点

また個人的に面白かったのがマーケティングとプロダクト開発をより具体的な施策に落とし込んでいくときの順序がほぼ一緒であるという点でした。

この本の初めには、小島さんが学生時代の経験を交えつつ、マーケティングがどういうものなのかが書かれています。

マーケティングは、恋愛と同じだ。好きな人がいたら、その人のことを考えて、食事に誘ったり、ドライブのコースを考えたりする。相手によって、オファーは変わる。これが、マーケティングそのものだ。誰に、何を、どう売るか、Who、What、Howなんだ

この文面を見た時、私はプロダクト制作の検討時に上がる"仮説のミルフィーユ"という考え方を思い出しました。

こちらは、プロダクトを作るときは仮説を4つの階層に分けて考えるというものです。

Coreであるビジョンやミッションから考え、さらに具体的なWhyの面、つまり「誰(Who)」をどんな状態にしたいのか、なぜ自社がやるのかを深掘り、そして実際の何(What)を作るのか、どのようなUIや設計なのか(How)というようにどんどん具体的な施策に落とし込んでいこう、という考え方です。

誰に(Who)、何を(What)、どう売るのか(How)というマーケティングの基本の部分とプロダクト制作、深掘りしていく順序が同じであるように見えませんか?

物事をより具体的に読み解いていくには、5W1Hで表すことがあります。マーケティングもプロダクト開発もどう具体的にしていくのかという点が似ていて、とても興味深く感じました。

さらに読み進めるにつれて、コミュニティマーケティングがどのようなものなのか、なぜ存在するのか、このようにしてはいけないというアンチパターンやアウトプットの重要性が書かれていました。

もし私がコミュニティマーケターになったときにやらかしそうだな、重要そうだなと思っていたことがとても多く書かれていました。私自身残しておきたいと思ったのは以下のことです。

  • コミュニティで人が集まることを目的にしないこと
    • 情報を発信、拡散することが重要である
  • 懇親会では次回のスピーカーを探すこと
  • 関心軸が多くなってきたら、関心軸ごとの株分けをして、それぞれが自走かするように進めること
  • マーケティング観点で追える数字だけをKPIにせず、コミュニティがグロースしているか、常にマーケティングの大きなファネルに立ち戻ること
    • コミュニティを構成する三角形(マーケット)の面積がどれだけ大きくなったか
    • ミートアップの回数や、参加者の増え方はどうか
    • ミートアップに来ている新規参加者が何%いるか
    • コミュニティからツイートやブログなど、情報発信が行われたのか
  • イベントの最後にアウトプットを促し、またそれを紹介すること
  • お願いしたい行動を「フレーズ化」し、耳に残るようにすること
  • 何のためにコミュニティづくりを行っているのかを見失ってしまわないようにすること
  • 会社に対しての交渉力を持つこと、会社に対して言いたいことがきちんと言えること
  • きちんと業務についてのログを取っておくこと
  • 内輪受けに行き過ぎないこと
  • すぐに改善ポイント(要望)に応えられなくても良いが、しっかりと「今すぐできない理由」をきちんとコミュニケーションを行うこと

実際の体験を基にしたアウトプットによって自分が体験した以上のことを理解でき、そのためにはどんどん質問したり、自分が知っていることをアウトプットするべきだ、という点はコミュニティ活動のベースとなる考えです。情報をもらえている人は、情報を発信している人だという点もコミュニティと同じですよね。

実際の活用事例ややってみた上でのつまずきポイントは、実際に利用しているユーザーに溜まってきます。

実際に取り組んだことによる知見を共有してもらうことで、どんどんコミュニティ自体を盛り上げていきグロースすると同時に、その人それぞれの価値をあげていく。またコミュニティのメンバーが発信し、その発信を見たり聞いたりした人がさらに広め、その輪が広がっていく。そうして、どんどん良いループを回していくことがコミュニティマーケティングだということを改めて学ぶことができました。

アウトプットの重要性とコミュニティマーケティングとの親和性

はじめの一歩を踏み込むことは、何事も難しいかもしれません。

ただ、その難しさを周りもサポートしつつ乗り越えることで、個人の市場価値も上がり、理解も深まり良いことづくめだと改めて感じました。引き続き、積極的にアウトプットしつつ、コミュニティ活動も頑張っていければと思います。

以上、たいがーでした!