[ブック紹介] Build by Tony FADELL 〜iPod 生みの親が執筆した本に感銘を受けました〜

2023.01.24

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どういう本ですか?

iPod 生みの親こと、Tony FADELLさんによりご自身のプロダクト開発のご経験/知見や、それにまつわるキャリア形成に関して書かれています。
副題のan unorthodox guide to making things worth making(ものづくりの異端児ガイド)が示す通り、常識的な考えや正攻法には削ぐわない部分もあると感じましたが、逆にそこに目から鱗な発見が詰まっています。
私のような悩める子羊にはたくさんの学びがあります。

対象読者は誰ですか?

特に下記に該当する方には薦めたいです。

  • ご自身のキャリアにお悩みの方
  • 現在プロダクト開発に関わっている方/今後に関わりたい方
  • 読書を通じて英語の勉強をしたい方(日本語版は今時点でリリースされていません)

本の内容

6つのパートから構成されています。
このブログポストではパート1~2から、特に私に刺さった部分を抜粋して残しておきたいと思います。

1. Build Yourself

  • リーダーシップは解決策に対して独断的であるべきではなく、顧客のニーズに即していることが望ましい
  • 市場投入はそれに適したタイミングがある
    • Google Glassは早過ぎた
    • 地球上の誰もそれ(あなたが計画しているビジネス)について考えていないなら、始めるには早すぎるかもしれない
    • しかし、同じような考えを持つ人が一握りでも見つけられるなら、例えそれが実際のビジネスに繋げる方法を知らないコミュニティであっても、前進させるべきだ
  • 一番賢いとか一番優秀にはなれないけど、一番詳しいというのは可能。他の誰かよりも多くの情報を集めることは可能だ。
  • 好奇心に従う。好奇心旺盛であることが重要
  • 人に何かを求めるのではなく、自分が何かを提供しよう
  • CEOと上層部はほとんどの場合、地平線の向こうを眺めている。彼らの時間の50%は曖昧な未来の計画に、25%は1,2ヶ月先のマイルストーンへのフォーカス、残りの25%は現在足元で燃える炎の火消しに費やされる
  • "自分"に引きこもっていたはダメ。水平線を共にスキャンしている仲間の中には、自分に見えないものが見えている者もいる。
    • チームで何かを作ることの素晴らしさは一緒に歩いて行けることだ。新しい目的地を見つけて、そこにみんなを連れていこう

2. Build Your Career

  • 成功するためにマネージャーになること1択である必要はない。
    • 同じような報酬を得たり影響を与えるための代替手段がある
    • 多くの人がIC(individual contributors)に戻り、次の仕事でマネージャーに戻ったりもする
    • スタークラスのICは信じられないくらい価値がある
  • マネージメントは持って生まれた才能ではなく、学ぶことができるスキルである
    • マネージメントは細かなプロセスに注力すればマイクロマネジメントになる。アプトプットに焦点を当てる
    • メンバーが自分よりも優秀になることがマネージャーの目標
    • マネージメントはハードな仕事であるため、少なくとも時間の85%を費やすことができる必要がある
  • プロダクトの細部を観察し、品質を深くケアすることはマイクロマネージメントではなく、それがマネージャーのやるべき仕事である
    • プロダクトを作るという目的がある時に、その手段としてマネージャーになる
    • その成果がチームのビジネスである
  • マネジメントの多くの部分は自分自身の恐れや不安をいかにマネージするかにある
    • マネージャーになりたての頃に「より良くするためにどうしたら良いか教えてください」と周囲に問えることは、マインドセットの大きなシフトである
    • 重要なのは会社の問題と個人の問題を切り分けること
    • 自分の行動がチームに与える不満を認識すること
    • 自分ではどうにもならないこともあることも知ること
  • 消費者はいつも、(全く新しいものよりも)既に存在しているものを快適だと思う。それがどんなに酷いものだとしても
  • A/Bテストはただのツールである
    • 購入ボタンが青とオレンジどちらが良いかをクリック数で分析できるが、オンラインで買うかどうかをテストするべきではない
    • カスタマージャーニー全体に対する洞察と知識が必要
  • 自分自身に説明ができないときに指示を与えることはできない。チームには考えのプロセスを伝える。
    • その場合はチームの中にその解を好まないものがいるとしても、彼らはそれをリスペクトすることはできる
  • 信用することができない人たちとは仕事をすることはできない
  • 仕事を嫌いになってもお金が儲かることは決してない

Apple社でのスティーブ・ジョブズさんとの仕事のことや、職場の"嫌な奴"のタイプ別分類についても書かれていて、ひねりが効いていてエンタメ要素もあると思います。

合わせて読みたい

How to Fail at Almost Everything and Still Win Big by Scott Adams

こちらも英語学習を兼ねて読んだ本です。タイトルを訳すと「ほとんどすべてで失敗しても、大きく勝ち抜く方法」ですが、全体的にウィットが効いていて大変面白い&ためになる本です。
「Build」と共通している点として、常識だと思っていることをあまり過信しないこと・大局観を持つこと、だと感じました。
ビジネスではゼロサムになることが多いかもしれませんが、個人レベルの成長においては必ずしもそうはならない、ということが学べます。
合わせて薦めさせていただきます。