【イベントレポート】「Unreal Engine Meetup in Nagoya Season2 Vol.1」に参加してきました。

2024.03.24

こんにちは、ゲームソリューション部の入井です。

先日2024年3月16日に名古屋で開催されたUnreal Engine Meetup in Nagoya Season2 Vol.1に参加してきました。

このイベントはその名の通りゲーム開発ツールであるUnreal Engineについての勉強会となります。

東京や大阪と比べて名古屋はIT勉強会の数が少なく、特にゲーム関係のこういった勉強会はかなり希少なのですが、UE界隈で活躍されているエンジニアの方々による濃い内容の登壇を聞くことができ、参加者も100名近く集まりかなり大盛り上がりなイベントでした。

Season2という名の通り、こちらのイベントは少し前まで定期的に開催されていたのですが、コロナ禍の関係でしばらく休止状態となっていました。今回から本格的に再開され、今後も定期的に開催していくとのことです。

ブループリントをテキスト編集しよう~ほら、外部ツールつくったついでにBPも出したりしたいし~

登壇者: たす

感想

タイトルの通り、ブループリントをテキストとして取り扱う方法についてのお話でした。

ブループリントエディタ上でノードに対してコピー操作をした後、テキストエディタ上で貼り付けを行うと、ノードのピンのプロパティ情報や座標情報などが入ったテキストとして出力されます。逆に、必要な情報の入ったテキストをブループリントエディタ上で貼り付けると、その内容に対応したノードが作成されるようです。

現状としてはこの方法を通して何かの作業を効率化するのは難しいようですが、何気なく触っているブループリントの中身を見ることができ、興味深くお話を聞くことができました。

なお、登壇の中で今回の話の元ネタになったブログ記事があると言われていたので、検索をしてみたところご本人の書かれた記事を見つけました。具体的にどのようなテキスト構造になっているのか気になる方は、以下の記事をご参照ください。

BPをテキストエディタに貼れるのならテキストエディタでBP書けるんじゃないのチャレンジ - たすブログ

Unreal Engineでオンラインゲームを作るための技術について

登壇者: alwei

登壇資料

感想

Unreal Engineによるゲームのネットワーク機能について、基本的な部分からの解説がありました。個人的に興味深かったのは、最近のコンシューマゲームで使われている通信方式の傾向としてListen Server形式が多くなっているという点でした。てっきり安定感の高そうなDedicated Server形式ばかりかと思っていました。

Azure PlayFabやEpic Online Services, AWS GameKitなどゲームの様々なオンライン機能を提供するサービスについても解説がありました。普段はAWS GameKitやGameLift等AWS関係が身近な存在のため、名前だけは知っている程度の他のサービスについて具体的な長所等を聞くことができて良かったです。

また、クロスプレイ対応についての話では、なかなか一筋縄では行かない様々な制約や注意が必要な点を知ることができ非常に参考になりました。

紛らわしい!何が違うの?Unreal Engine のあれこれ

登壇者: らりほま

登壇資料

感想

名前が似ていたり、どのように使い分けたら良いのか混乱しやすかったりと、数多くのUnreal Engineの機能・概念の中でも特に理解が難しいものをいくつかピックアップし、それぞれ具体的にどのような意味や違いがあるのかを解説していただけました。

正直、UAT、UBT、UHTは解説を聞いた今でもまだ区別があやふやですが、Unity Buiildという機能については強烈に印象が残っています。ソースコードの結合という機能面から来た名前とは分かりますが、よりによって何故その単語が使われているのか。

その他で印象に残ったのは、符号なし整数型(uint32)で宣言された通称bitfield bool変数です。通常のboolが1バイト使用するのに対しbitfield boolは1bitしかメモリを使わないというメリットがありますが、値を変更した際に無関係の変数へ影響を与えてしまう可能性があります。なかなか危なっかしい存在ですが、これはUE自体のコードでも結構使われているとのこと。

話の内容が全てC++にフォーカスしたものになっており、聞いていてとても勉強になる発表でした。

猫でもわかるシーケンサーの自動生成!

登壇者: おかず

感想

ゲームのカットシーンなどを作ることができるUEのシーケンサーについて、人の手を介さず自動的に生成できるようにするための具体的な手順についての解説がありました。

私自身はシーケンサー機能をあまり使ったことがなく、そのために全体的な内容を理解するのが難しい登壇でしたが、シーケンサーとは具体的にどのような機能で、その中にはどのような要素(Track, Channelなど)があるのかという基礎レベルからの丁寧な説明があり、シーケンサーという機能についての理解を深めることができました。

UE5.3で追加されたアニメーションブレンド機能について

登壇者: 夏隣(Karin)

登壇資料

感想

Dead Blendingというアニメーションブレンド機能についての解説や、実際にアニメーション作成に使用した検証結果の紹介がありました。

慣性を残したままアニメーションをブレンドする方法として、従来はInertializationが使用されていましたが、こちらのDead Blendingを使用することで同様のアニメーションブレンドについてより見栄えを良くすることが可能になります。まだ実験的な機能で、使用方法によってはアニメーションに違和感が出る場合もありますが、今後のアップデートにより機能として洗練されていくと思われます。

Dead Blendingについては、英語ですが以下の記事でも細かな解説がされています。

Dead Blending Node in Unreal Engine

知識も経験も無いけど好きなゲームを作りたい!~知識ゼロからVRゲーム開発~

登壇者: ぷぷりげす

登壇資料

感想

タイトル通り、UEについて全然知らない状態からどのようにVRゲームを開発してきかについてのお話を聞くことができました。

以下の動画は、ぷぷりげす氏が現在も開発中のVRゲーム「ギアズクロニカル」のデモプレイ動画ですが、見て分かる通りかなり作り込まれているゲームで、様々なインディーイベントで出展した際も試遊で高い評価を得られたとのことです。

どのようにUEの勉強を進めてきたかや、グラフィックやサウンド等のアセットをどのように用意したかについて具体的な話があり、なんとロボットのモデルもBlenderなどを勉強して自分で作ったとのこと。

開発自体は2021年頃から本業の隙間時間で進めているとのことで、モチベーションが折れずに継続できているのが特にすごいなと思いました。

VRを使ってアニメーション作ってみた

登壇者: げんきなくめ

登壇資料

感想

UEのバーチャルスカウティングという機能を使い、VR視点でエディタ上のアニメーションを編集する方法についてのお話を聞くことができました。

バーチャル スカウティング | Epic Developer Community

VRを使ってシーンの中に入り込むことで、より直感的にアニメーション編集が可能になるようで、モニタから見るのとは全然違う視点を得られるのは面白そうだと思いました。

まとめ

今回のイベントではUnreal Engineについて様々な方向性の知識を得ることができ、非常に勉強になりました。

日常的にUnreal Engineに触れているわけではないので、どうしても難しく感じる部分もありましたが、自分一人で情報収集しているだけでは触れる機会が無かったと思われる機能や要素について、新しく接点を得ることができたと思います。

名古屋ではなかなか見ることがないテーマの勉強ですし、次回以降も継続して参加していきたいと思います。