Tableau Server 9.1: 単体サーバ構成時の『構成要件』とAWS EC2インスタンスタイプスペック比較のまとめ

2015.09.28

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先日Tableau9.1がリリースされた事に伴い、DesktopやServer製品についても9.1の動作確認等を少しずつ進めているところではあるのですが、Tableau Serverの要求スペックについて9.0とは異なる部分があり(=必要とされるスペックが向上していた)、EC2のインスタンスタイプによって導入時のアラートメッセージが異なる物がありましたのでその辺りの確認記録をブログとして残しておきたいと思います。

Tableau Server9.1の技術仕様について

Tableau Server導入時に求められる環境のスペックについては以下のドキュメントに記載されています。

tableau-server-91-spec_01

上記画像の中から、1台(シングル構成)で本番環境を想定する際のスペックについて書き出してみます。

Tableau Server で使用する製品に推奨される最小限の構成要件は、 これらのハードウェア仕様に基づきます。

- 1台のコンピューター - 64 ビットプロセッサ - 8物理コア、2.0 GHz 以上の CPU - 32 GB 以上のシステムメモリ - 50 GB 以上の空きディスク領域 - 複数ノードおよびエンタープライズデプロイメント

サイジングおよび技術サポートについては、Tableau までお問い合わせください。

幾つかのインスタンスタイプでインストールを試してみる

まずはじめに、Tableau 9.0で問題無しとされていたスペックの中から選択して導入していたc3.2xlarge(vCPU:8/ECU:28/メモリ(GiB):15)で同様に進めてみました。すると以下の様にWARNINGメッセージが表示されてしまいました。CPU、メモリが共に条件満たしてないよ!と怒られてしまっています。(※警告ではありますがエラーとかでは無いのでインストール作業は進められます)

tableauserver91ins_01_c3_2xlarge_01

次いで、c3系の1つ上のスペックであるc3.4xlarge(vCPU:16/ECU:55/メモリ(GiB):30)で試してみます。まだメモリが足らん!と怒られています。(※警告ではありますがエラーとかでは無いのでインストール作業は進められます)

tableauserver91ins_02_c3_4xlarge_01

これらを受けて、上記2つの条件をクリアするインスタンスタイプの中で最も費用が安いr3.4xlarge(vCPU:16/ECU:52/メモリ(GiB):122)で改めて進めてみたところ、今度はアラートが出る事無く、インストール作業が完了しました。

...はて、てっきり『vCPU』がTableau Serverで言及している『コア数』かと思っていたのですが、どうやらこの数値では無さそうな気がしてきました。ではTableauは一体どの数値を見ているのでしょうか。

幾つか情報を調べてみたところ、EC2にはこれらの情報の他にも『仮想コア数』という情報もあるようです。

EC2 Windowsインスタンスタイプ一覧 (Tableau Server9.1のスペック仕様条件判定付)

上記の内容を元に、インスタンスタイプ毎のスペックの内容+『仮想コア数』の情報をマージしてみました。こうしてみるとコア数の部分に関する対象項目はvCPUでは無く、『仮想コア数』の数値を見ている様に思えます。メモリの部分はほぼ実数値が使われている様なのでこちらは参考情報としては良さそうです。赤字が要件を満たせていない/青字が要件を満たせている(クリアしている)部分となります。こうしてみると、Tableau Server9.1で本番環境のシングル構成を組む際に活用出来そうなのはm4.4xlargem4.10xlargec4.8xlargec3.8xlarger3.4xlarger3.8xlargei2.4xlargei2.8xlarged2.4xlarged2.8xlarge辺りは問題無さそうな気はします。別添資料に情報が無いため『(記載無し)』としている部分の中でも、インスタンスタイプでの比較で考えるとm4.4xlargem4.10xlargeg2.8xlarge辺りもスペック的には問題無いのではないでしょうか。(注:2015年09月末時点での米国東部(ヴァージニア北部)の情報を参考にしています。)

vCPU 仮想 コア数 (※1) ECU メモリ (GiB) インスタンス ストレージ (GB) Windows 料金
一般的な目的 – 現行世代
t2.micro 1 1 可変 1 EBS のみ $0.018 /1 時間
t2.small 1 1 可変 2 EBS のみ $0.036 /1 時間
t2.medium 2 2 可変 4 EBS のみ $0.072 /1 時間
t2.large 2 (記載無し) 可変 8 EBS のみ $0.134 /1 時間
m4.large 2 (記載無し) 6.5 8 EBS のみ $0.252 /1 時間
m4.xlarge 4 (記載無し) 13 16 EBS のみ $0.504 /1 時間
m4.2xlarge 8 (記載無し) 26 32 EBS のみ $1.008 /1 時間
m4.4xlarge 16 (記載無し) 53.5 64 EBS のみ $2.016 /1 時間
m4.10xlarge 40 (記載無し) 124.5 160 EBS のみ $5.04 /1 時間
m3.medium 1 1 3 3.75 1 x 4 SSD $0.13 /1 時間
m3.large 2 1 6.5 7.5 1 x 32 SSD $0.259 /1 時間
m3.xlarge 4 2 13 15 2 x 40 SSD $0.518 /1 時間
m3.2xlarge 8 4 26 30 2 x 80 SSD $1.036 /1 時間
コンピューティング最適化 – 現行世代
c4.large 2 1 8 3.75 EBS のみ $0.193 /1 時間
c4.xlarge 4 2 16 7.5 EBS のみ $0.386 /1 時間
c4.2xlarge 8 4 31 15 EBS のみ $0.773 /1 時間
c4.4xlarge 16 8 62 30 EBS のみ $1.546 /1 時間
c4.8xlarge 36 18 132 60 EBS のみ $3.091 /1 時間
c3.large 2 1 7 3.75 2 x 16 SSD $0.188 /1 時間
c3.xlarge 4 2 14 7.5 2 x 40 SSD $0.376 /1 時間
c3.2xlarge 8 4 28 15 2 x 80 SSD $0.752 /1 時間
c3.4xlarge 16 8 55 30 2 x 160 SSD $1.504 /1 時間
c3.8xlarge 32 16 108 60 2 x 320 SSD $3.008 /1 時間
GPU インスタンス – 現行世代
g2.2xlarge 8 4 26 15 2 x 120 SSD $0.767 /1 時間
g2.8xlarge 32 (記載無し) 104 60 2 x 120 SSD $2.878 /1 時間
メモリの最適化 – 現行世代
r3.large 2 1 6.5 15 1 x 32 SSD $0.3 /1 時間
r3.xlarge 4 2 13 30.5 1 x 80 SSD $0.6 /1 時間
r3.2xlarge 8 4 26 61 1 x 160 SSD $1.08 /1 時間
r3.4xlarge 16 8 52 122 1 x 320 SSD $1.944 /1 時間
r3.8xlarge 32 16 104 244 2 x 320 SSD $3.5 /1 時間
ストレージの最適化 – 現行世代
i2.xlarge 4 2 14 30.5 1 x 800 SSD $0.973 /1 時間
i2.2xlarge 8 4 27 61 2 x 800 SSD $1.946 /1 時間
i2.4xlarge 16 8 53 122 4 x 800 SSD $3.891 /1 時間
i2.8xlarge 32 16 104 244 8 x 800 SSD $7.782 /1 時間
d2.xlarge 4 2 14 30.5 3 x 2000 HDD $0.821 /1 時間
d2.2xlarge 8 4 28 61 6 x 2000 HDD $1.601 /1 時間
d2.4xlarge 16 8 56 122 12 x 2000 HDD $3.062 /1 時間
d2.8xlarge 36 18 116 244 24 x 2000 HDD $6.198 /1 時間

まとめ

Tableau Serverの環境(今回はv9.1)を『本番想定で使う場合』のインスタンスタイプ選定に関する情報をTableau /AWS(EC2)双方の情報を踏まえてまとめてみましたが、冒頭でご紹介した技術仕様の『ハードウェア最小要件』を満たしていれば、プロトタイプやテスト目的で稼働させる事は勿論問題無く行えますのでご安心ください。

実際に利用する際の人数や同時アクセス数、利用形態等にも影響されてくる部分はあるので単純にこのインスタンスなら大丈夫/厳しいという訳にも行かず、最終的には実際のケースを想定したアクセス方法で検証してみる必要はあるかと思います。その際の取っ掛かりとして、初期構成・シングル構成の環境を整える上でこれらの情報が参考になりましたら幸いです。