収入印紙代の節約法

2011.08.23

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こんにちは。
最近蚊に食われたり、傷が治りかけだったりで至る所が痒くて涙目のクニ吉です
今回は、以前収入印紙について書いた時に予告していた「収入印紙の節約」についてお話したいと思います。
以前のブログはこちらを見てくださいね~

第一弾:「収入印紙って何ぞ?」
第二弾:「受発注書類の収入印紙」

書類に使用する収入印紙

まず、これまでに説明をしてきた「請負に関する契約書(以下、2号文書と記載します)」と「継続的取引の基本となる契約書(以下、7号文書と記載します)」の収入印紙金額をまとめたものがこちらになります。
7号文書はすべて4千円になりますが、2号文書は記載金額によって収入印紙の金額が変わります。

文書の種類 条件 印紙税額
請負に関する契約書 1万円未満 非課税
1万円以上 100万円以下 200円
100万円を超え 200万円以下 400円
200万円を超え 300万円以下 1千円
300万円を超え 500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え 1億円以下 6万円
1億円を超え 5億円以下 10万円
5億円を超え 10億円以下 20万円
10億円を超え 50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載がないもの 200円
継続的取引の基本となる契約書 - 4千円
  • 「未満」は「未だ満たない」という意味なので、「1万円未満」は1万円を含みません。
  • 「以上」は指定された数を含むその上の範囲を示すため、「1万円以上」は1万円を含みます。
  • 「超える」は指定された数を上回ることを示すため、「100万円を超え」は100万円を含みません。

その他文書の印紙税額を確認したい方は、印紙税額一覧をご確認くださいこちら

こうやって見ると…書類1枚に貼っていくとなると収入印紙代もばかにならないですよね(-_- ;)
収入印紙が低額ですむように契約をまとめたり分けたりっていうのも考えられますが、現実的ではありません。
というわけで、現実的な節約方法をご紹介します。

記載金額で節約する方法

2号文書の場合、契約金額が記載されているケースがほとんどかと思いますが、契約金額の書き方によって収入印紙の金額が変わる場合があります。
印紙税法には、
消費税額等が明らかである場合には、記載金額に消費税額等を含めないこと
とあります。
つまり、消費税額が分かるようにしてあげれば収入印紙代を少し安くできる場合があるわけです。
それではここで記載金額判定の例をご覧ください↓

1 請負金額 500万円
消費税等 40万円
合計金額 540万円
記載金額は500万円になり、2千円の収入印紙が必要
2 請負金額 540万円
(消費税等 40万円分を含む)
記載金額は500万円になり、2千円の収入印紙が必要
3 請負金額 540万円
(税抜金額 500万円)
記載金額は500万円になり、2千円の収入印紙が必要
4 請負金額 540万円
(消費税等含む)
消費税等額が区分記載されていないため、記載金額は540万円になり、1万円の収入印紙が必要
5 請負金額 540万円
(消費税等5%を含む)
消費税等額が区分記載されていないため、記載金額は540万円になり、1万円の収入印紙が必要

このように、100万や200万など収入印紙金額の区切りとなるような契約金額の場合、書き方ひとつで収入印紙代が変わってくるわけですね。
しかし「500万円(消費税等5%を含む)」というのは、計算できるしいいのでは?と思いますが、税抜金額や消費税等額が明確に記載されているかどうかが重要なようです。

但し、この取扱が適用されるのは次の3つに限られていますのでご注意ください。
また、酒税や揮発油税などの個別消費税は適用外となります。

  • 1号(不動産の譲渡等に関する契約書)
  • 2号(請負に関する契約書)
  • 17号(金銭又は有価証券の受取書)

◎おさらい

  • 契約金額の「税抜金額」や「消費税等額」を明らかにすることで「税抜金額」で課税金額が判定される。
  • 「消費税額等」が課税対象とされない取扱は、3つの文書に限られている。

前述の通り、契約金額が高くなればなるほど記載金額の判定によって収入印紙の金額に差がついてきます。
また、契約金額を詳細に記載している方が誤解も生まれにくいので、印紙代節約と認識のズレをなくすという観点から是非一度契約書の記載内容を見直してみてくださいね(^^)

FAXや電子ファイルで節約する方法

どなたも経験があるのではと思いますが、FAXやメールで注文請書を送る時があります。
この場合の収入印紙の取扱いはどうなるのかというと、印紙税法では「FAXやメールで送られた文書に関しては課税対象にならない」とされています。
つまり1千万円の注文請書の場合、本来1万円の収入印紙を貼付する必要があるのですが、注文請書をメール送信する場合、収入印紙は必要ないということです。
これは大幅な節約になりますし、送付の手間もなくなり郵送費も浮くので、更にコストダウンです。
でも・・・「もしこれを相手がプリントアウトしてしまったらどうなるのかな。。。。」という疑問。

結果から言うと、相手がプリントアウトしてもその文書は課税対象とはなりません。
(先方が送ったファイルを何枚もプリントアウトする可能性があることを考えれば当然ですが・・)
何故メールやFAXでの送信が課税されないかというと、

相手に対して実際に文書が交付されるわけではないので課税物件は存在しない。 ゆえに課税原因はない。

と解釈されるためです。
受信した文書をプリントアウトしたものは「コピーした文書(写し)」となり、課税文書とは扱われません。
(正本(原本)となる文書は課税文書として扱われます)
もし税務署に指摘をされた場合、問題のファイルが送られてきたメールを提示しましょう。

◎ここがポイント

しかし、この「契約書の写し」には規定があり、以下のようなケースは課税対象として扱われます。

  • 契約当事者の双方又は文書の所持者以外の一方の署名又は押印があるもの
  • 正本などと相違ないこと、又は写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるもの

つまりプリントアウトした文書を証明したり、別途何らかの契約を取り交わす目的でその文書に押印すると、それは課税文書として扱われます。
しかし、所持する文書に自分だけの印鑑(自社印)を押したものは、「契約の相手方当事者に対して証明の用をなさない」という理由から課税対象にはならないそうです。
また、原本は課税対象となると書いた通り、もし電子ファイルで送付した後原本を相手に手渡す場合は、その渡す文書に収入印紙の貼付が必要となります。

◎おさらい

  • 課税文書をFAXやメールで送付すれば、課税物件はないと判断され、収入印紙はいらない。
  • 送付された文書をプリントアウトしても、ただのコピーなので上記と同様に課税物件はないと判断される。
  • プリントアウトした文書に正本と相違ないことや写しであること等の証明がある場合は課税対象となる。
  • プリントアウトした文書で契約行為を行った場合は課税対象となる。
  • 電子ファイル送付後でも文書の原本を渡す場合、渡す文書が課税対象となる。

メールやFAXは誤送信はつきもの。送る前に宛先に間違いがないかしっかり確認しましょう。
ファイルが関係者以外に閲覧出来ないようファイルを暗号化し、パスワードを別送するなどの対策も必要です。
また、電子ファイルは紙媒体と比べて改ざんが容易なため、電子署名を利用するなどセキュリティ面も十分考慮してください。

今回は一般的な節税についてお話しました。
もしイレギュラーケースで迷った場合は、税務署によって解釈が異なる場合もあるので最寄りの税務署に聞いてみてくださいね。
それでは今回はこの辺で。Au revoir~o(^◇^)/~