#awssummit AWS Summit Tokyo 2013 参加レポート Day1 [KEY-01] オープニングキーノート(基調講演)
- AWS Summit Tokyo 2013 | 2013年6月5日(水) 06日(木)アマゾン ウェブ サービスの無料クラウドカンファレンスが東京2Days 開催!
- #awssummit AWS Summit Tokyo 2013 Day1 つぶやきまとめ - Togetter
- #awssummit AWS Summit Tokyo 2013 Day1 基調講演 - Togetter
(基調講演開始前の会場風景。この時間帯はDJタイムで終始ノリノリな音楽が流れておりました。)
同名のイベントが世界各国で開催される中、『唯一の2日間開催』となったこの『AWS Summit Tokyo 2013』。このエントリではそのイベント初日(6/5)に行われた基調講演の模様をお伝えしようと思います。
開催場所は@品川。品川駅から徒歩で5分程歩いた場所にあるのですが、当日は朝から割と日差しが強く、緩やかな坂道ではあるものの歩ききるとほんのり汗を書いてしまうような陽気でした。(※写真画像では曇ってますが、これは帰宅時に撮ったものです)
一転、建物の中は冷房が効いていてとても過ごしやすかったです。個人的には10:30開始に合わせて9:45位(開場予定時刻)に到着していたのですが、それでもこの人の多さ!朝イチからこの勢い、さすがの注目度…という感じですね。
セッション概要
開催日時:2013/6/5(水) 10:30-12:00
Amazon RedshiftやAWS OpsWorksといったAWSの最新のイノベーションを紹介すると共に、
クラウドがもたらすビジネスの変革についてもご紹介いたします。
また、AWSクラウドを使ったアプリケーションの構築、移行に成功したお客様をゲストにお迎えし、
なぜクラウドが必要か、どのように使われているかについて直接ご紹介いただきます。
登壇者
- 講師:
- Werner Vogels氏 (CTO, Amazon.com,Inc)
- ゲストスピーカー:
- Jason Stowe氏 (CEO, Cycle Computing LLC.)
- 小柳 建彦氏 (株式会社 日本経済新聞社 産業部編集委員)
- 藤原 靖久氏 (トヨタメディアサービス株式会社 専務取締役)
オープニング / Werner Vogels氏スピーチ
当セッションの流れとしては、講師のWerner Vogels氏が基本的に進行しつつ、適宜事例紹介や解説をゲストスピーカー諸氏にバトンタッチ→パートが終わったらWerner氏に戻し、最後はWerner氏で締める、というものでした。以下講演時に取ったメモを参考にしつつのダイジェストご紹介。
ようこそ、おいでくださいました!本日のセッション、コメントなどでツイートされたい方はハッシュタグ #awssummit で、また私に対して批判をしたいと言う場合は直接、Twitterアカウントにコメントしてください(笑)
本当に、これだけ多くの方々に登録し、参加してくださった事に感謝します。(※登録者数は36,000人にも登ったそうです!)
今日は基調講演をさせて頂きますが、かなり技術寄り、技術に関したセッションとなっています。また、AWS関係者及びお客様にもお話頂く予定です。東京リージョンでは今何をやっているか、新しいサービスの発表など、ニュースがこの後あるかも知れませんよ。ビッグデータに関しても触れて行きたいと思います。
8年目を迎えるAmazon S3は、2006年3月14日にサービスを開始しました。AWSは、ビジネスそのものを変革し始めています。現時点で33種類ものサービスで構成されているAWSは、企業の皆様にとって課題となっているところに対してのサービス、ベストエフォートでお客様の要望に応えられるものを御提供しています。
また、AWSは課題を解決するだけではなく、世界190カ国に述べ数十万人の利用者が現在存在しているお客様皆様にとっての仕事そのものをしやすくするという部分についても改善を重ねています。
AWSは、現在様々な分野で利用されています。例えば火星。火星探査機『キュリオシティ』が収集したデータは、逐次S3に保存され、研究者にストリーミング配信されていました。
- NASA ジェット推進研究所(JPL) 導入事例 | アマゾン ウェブ サービス(AWS 日本語)
- Amazon Web Services ブログ: NASA and AWS - 火星探査機「Curiosity」が無事火星に着陸!
幅広いテクノロジーがAWSを支えています。特定の技術にロックインするのでは無く、どのような言語、OS、環境であってもお客様に使ってもらえるような、顧客志向・顧客にフォーカスしたサービスを提供しています。お客様自身がコントロール可能になっています。
AWS MarketPlaceは構成済みソフトウェアを購入可能な場所で、現在25のカテゴリにて778の製品を取り扱っています。2013年1月以降の増加率はアクティブ利用者で2倍、利用者あたりの利用率で1.5倍の成長を見せています。
また、コスト削減にも注力しています。我々(AWS)の商売は薄利多売であり、料金値下げを続けています。2006年以降、31回の値下げを実施。これは、お客様に対して料金値下げを行う事が重要だと考えての対応であり、AWSを使ってコスト削減出来るという事を理解して貰いたい。確信して頂きたいという思いがあるのです。
AWSイノベーションのベースは、お客様のフィードバックに基づくもの。お客様の声を吸い上げた上で製品の方向性を決めています。DynamoDBでは、もっと明示的にデータベースのqueryを走らせたいと言うお客様の要望から、セカンドインデックスの機能を追加しました。お客様自身が、ロードマップを決めているのです。
AWS全体について、この5〜6年を振り返ってみましょう。
昨年は150以上のメジャーフィーチャーサービスが発表されましたは、今年は既に100近くに達しています。これらは皆さんからのフィードバックに基づいています。また、この半年の動きを見ると、簡単に皆さんがオンプレミスで実行できるようにして来ている事が分かります。
Amazon S3では、オブジェクトの総数が2兆を超えました。しかしこれは始まりに過ぎません。今後も指数関数的にこの数値は伸びていく事でしょう。
Amazon Elastic mapreduceでは、利用者が起動したクラスター数が(2010年5月以降の起動数で)5,500,000クラスターに登っています。
変革の原動力 / Werner Vogels氏スピーチ
(そして、ここで以下の言葉を引用。jeff bezos(Amazon.com の創設者、CEO、取締役会長、社長)が2012年に株主へ充てて送ったとされる手紙からの1文です。印象的な言葉ですね...) ちなみに実際に宛てたとされる書簡の内容はこちらで見ることが出来ます。
創造性を解き放ち、夢を追い求める力を人に与えるものこそが、最も革命的で変革力のある発明なのです。
『トランスフォーマー』は"変革をもたらすもの"という意味ですが、最近では映画も馴染み深いですね(笑) (※ちなみにバンブルビー(=ロボットに変形するトランスフォーマー)のレンダリングでもAmazon S3を使っているらしいです!以下は映画PV)
[SWF]http://www.youtube.com/watch?v=TTB_LV0eDm0&t=1m45s,600,480[/SWF]
(※そしてこの辺りからはトーク内容とセッション資料を併せてまとめ。)
- 変革の原動力は何か?
- 経済推進力
- 豊富な製品
- 競争の激化
- 購買力の増大
- ロイヤリティの低下
- 限られた資本
- 不確実性への対処
- オンデマンドでのリソースの取得
- 不要になったリソースの解放
- 使った分だけの支払
- 他社のコアコンピテンシーの活用
- 固定費を変動費に
- 経済推進力
クラウドコンピューティングの利点 / Werner Vogels氏スピーチ
- 1.先行投資が不要
- 初期費用は$0,使った分だけ支払う。
- 2.低い運用コスト
- 移行費用を含めた5年間の費用を60%以上削減、等。
- TOYOTA,花王、ガリバー等。の事例発表
- 3.柔軟な容量
- 必要な容量を予測する必要が無くなる。→AMazon.comの典型的トラフィックのパターン
- 全体で見ると、40%は余剰。もっと減らせるはず。
- 米国では11月はショッピングシーズン。サイバーマンデーでトラフィックが4倍上がる。
- 容量の予測を間違ったらとらフィックが予想を超え、サーバーが利用不可に。
- AWSなら柔軟に対応可能→トラフィックにムダがない状況を実現
- 4.速度とアジリティ
- これまでの環境はインフラストラクチャに数週間。AWSはインフラストラクチャに数分。
- AWSでは頻繁な実験が可能、投資額が低いうちに失敗出来る。
- これまでの環境であれば失敗のコストが高額になっていたが、AWSを利用する事により失敗のコストが0に近づくとイノベーションを促進。
- 5.コアコンピタンスの集中
- 新しいハードウェアの購入とインストール、新しいソフトウェアのセットアップの構成、新しいデータセンターの構築が不要に。
- 差別化をしない環境構築を効率化できれば…というのがわれわれのサービスの背景。
- 6.世界展開
- 日本の組織であっても海外展開したい場合、AWSで世界中のカスタマーをターゲットに出来る。
21世紀のアーキテクチャの基盤 / Harper Reed氏(CTO for Barack Obama's 2012 re-election campaign.)スピーチ
これらに関する良い例が、『Obama for America』での選挙陣営での活動でしょう。今回は、CTO本人にお話を聞いてみたいと思います!(そして御本人登場!登壇者一覧に載っていなかったのでこれはサプライズだったのでしょうか?)
[SWF]https://www.youtube.com/watch?v=0XY39eRFA9I,600,480[/SWF]
- Started frmo ZERO(0から始めた)
- ソフトやサーバがないところから始める。
- 18ヶ月しか無かった。そこから"実行する事"しか無かった。
- Googlemapを使ったAWSアーキテクチャ図の紹介。
- 全体の完全なコピーが必要。これをボタンをクリックするだけで利用可能に。
以下がそのアーキテクチャ図です。リンクから実際のGoogle Docsに飛べます。
Obama for America on AWS - Infrastructure Architecture
- アメリカの選挙の直前、大きなハリケーンが襲来。
- アメリカにおける2つのリージョンを利用。
- DRシステム、次世代のDRシステムがほしい。しかしシンガポールですぐに復旧することが出来る。
- 東京リージョンが使えなくなったとしても大丈夫。これらはAWS採用の大きな理由となっている。
- これまでは開発に数年掛かっていたものが、AWSでは数分に。
- これまでは柔軟性は硬直的だったが、AWSでは伸縮自在に。
- これまでは可用性が不十分だったが、AWSでは十分なものに。
誰が行なっているのか?(各種事例紹介) /小柳 建彦氏、藤原 靖久氏、Jason Stowe氏スピーチ-
全ての業界で変革は起こっている。AWSの力を使っていない、変革出来ていない業界は無いと言いたい。
金融サービス
- 最初にAWSを採用した企業が属している。
- 熾烈な競争、日々登場する新商品、厳格な規制、コンプライアンス、セキュリティ要件...
メディア&広告
- 新聞広告の収益、2005年頃から急激に低下。新たなサービスを考えなおす時期に来ている。
- netflix:お客様に完全にコントロールを渡したケース。夜のプライムタイムに於いて全体の30%を占めるまでになっている。ストリーミングも対応。
- メディアの消費の仕方にも影響...Kindleが好例。コンテンツはもはやデバイス上には存在せず、デバイスは窓となっている。
- 日経新聞社に於いてのお話を小林さんから。
- ちょうど先週末新しいサービスをローンチした。タブレット&スマートフォンアプリ、2013.5.31 AWS上でリリース。
- 我々が得たベネフィット...内部サポートからの解放、弾力性&スケーラビリティ、コスト効率、レジリエンシー等。
- 3年経ってようやく初めてパブリック・クラウド上でサービス提供、なぜ?
- →経営陣の最大の懸念はセキュリティ。ローンチしているけど、経営陣が『クラウドにデータ置いて大丈夫なのか?』と心配。
- →懸念点でもあるが、満足感に繋がったのもまた『セキュリティ』。(※『金庫と銀行、どっちが安全?』のアプローチ)
医療&バイオテクノロジー
- 莫大な影響
- 急速な技術革新
- 世界規模での共同開発
- 研究をして、よりよい製品を開発するために高性能PCが必要。
- ユニリーバ、illumina等の事例紹介
- 1000 genomes peoject
- 250TBのデータ、2000の完全なゲノム。S3を通じて全て利用可能。→1000 Genomes Project - Wikipedia, the free encyclopedia
製造業
- ますます進むグローバル化
- 関係会社との協調作業
- 超大規模かつハイパフォーマンス
-
- 藤原さんによる事例紹介
- 1.ジャストインタイムとは...トヨタ方式の2本の柱
- ジャストインタイム...必要なものを必要なときに作りこむ
- 自働化.品質の悪いものを自動検知
- 2.トヨタ方式はどのようにしてうまれたか
- トラックが売れず資金繰り悪化、銀行が融資をしてくれない状況に。
- 徹底した原価低減を実践するためのトヨタ方式を実践。
- 3.アマゾンとトヨタの共通点
- お客様第一主義
- 品質は前提条件。
- 4.情報システム開発の現状と課題
- システム構造が複雑、機能が重複。
- 新規サービスの開発スピードが上がらない→原価低減の頭打ちに。
- 5.情報システム開発のパラダイムシフト
- 『つくる』から『使う』、『組み合わせる』へ
- 情報システムが提供する機能(サービス)に着目した手法
- 1.SOA(サービス指向アーキテクチャ)
- 2.クラウドサービス
- 6.クラウドを活用したジャストインタイムの実践結果
- お客様向けWebサービスについてインフラを自前センターからクラウドに移行完了(2013年3月)。
- 移行費用を含め5年間の費用低減効果:50%以上。
- 7.トヨタ方式の取り組み姿勢
- 1.ジャストインタイムとは...トヨタ方式の2本の柱
次の展開は? / Jason Stowe氏スピーチ
- HPC on finger chip
- 殆ど全ての産業界で使われている。ヘルスケア、医療、石油、ガス、エネルギー…
- より若いビジネスがお客様をターゲットにする際に。
- HPC
- EC2 ハイ CPUインスタンス
- EC2 ハイ メモリクラス インスタンス
- EC2 ハイ I/O インスタンス
- EC2 ハイ ストレージ インスタンス
- →日本で提供開始!
ここでJason Stowe氏登壇。幾つかの事例について解説を行います。
- アクセスが最大の課題でした。
- 1.HPC薬物設計
- サイクルコンピューティングとAWSで不可能を可能に。44億円相当の費用を削減。
- 39年掛かった薬剤開発を11時間で。10600台のサーバを使って完了。費用は4372ドル。
- 2.CAD/CAM:原子炉設計
- 原子炉の安全性を証明するシミュレーション
- より安全で迅速で効果的な設計。
- 3.ゲノミクス
- モーリッジ研究機関における遺伝子発現分析
そして最後はWerner Vogels氏が基調講演を締める形で幾つかのお知らせを発表。
RedShift、東京リージョンにて提供開始
Amazon Web Services ブログ: 【AWS発表】 Amazon Redshiftが東京リージョンでも利用可能に!
Amazon Redshift | アマゾン ウェブ サービス(AWS 日本語)
[SWF]http://www.youtube.com/watch?v=AUvn49gey8Y,600,480[/SWF]
AWSトレーニングプログラム、全てコースを日本語で提供開始
AWS トレーニング | アマゾン ウェブ サービス(AWS 日本語)
AWS認定試験、日本語版の提供開始
AWS 認定プログラム | アマゾン ウェブ サービス(AWS 日本語)
この日から、数回に分けて早速受験が可能となっておりました。この日受験して合格された方々も数名、Twitter上で喜びを爆発させてるのを確認出来ます。
「AWS認定ソリューションアーキテクト- アソシエイトレベル」の認定試験、合格しました!よかったー(^^) #jawsug
— tamagawa ryujiさん (@tamagawa_ryuji) 2013年6月5日
AWS 認定ソリューションアーキテクト-アソシエイトレベル合格した。
— Sunao Tomitaさん (@harutama) 2013年6月5日
「AWS認定ソリューションアーキテクト- アソシエイトレベル」合格しました。問題の意図を読み取るのが、難しいのもあったw #jawsug
— dkfjさん (@dkfj) 2013年6月5日
クラスメソッド AWSチームの大瀧さん、都元さんも相次いで取得されていました!
AWS SAアソシエート試験受かったどー!
— takiponeさん (@takipone) 2013年6月5日
AWS 認定ソリューションアーキテクト-アソシエイトレベル総合スコア: 96%結果: Passげっつ。
— 都元ダイスケさん (@daisuke_m) 2013年6月5日
先日英語版で試験が発表されていた際に横田さんが早々に取得されていたので、これで計3名の資格取得者がチームに存在する事になるんですね〜。すごい!
AWS Certified Solutions Architect – Associate Level Exam 合格しました | Developers.IO
AWS Certified Solutions Architect – Associate Level exam を受験して合格しました!今日からソリューションアーキテクト風になりますw #jawsug
— よこたさとしさん (@sato_shi) 2013年5月9日
クラスメソッドのAWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトレベルは現在3名です。1ヶ月以内に10名まで引き上げたい。
— よこたさとしさん (@sato_shi) 2013年6月5日
当日は会場で御三方に実際にお会いする機会があったので実際に受験後どんなもんだったのか伺ってみましたが、やはり内容的には以前横田さんが書かれていた内容を押さえておかないと合格は難しいのでは無いか、という認識で一致していたようでした。近日中に受験を検討されている方も、また今後受験を検討されている方も、スキルを習得する上での参考に是非ともしたいところですね。
AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト レベル試験に合格する方法 | Developers.IO
ふりかえり
基調講演は大盛り上がりで終了。会場はこの後利用される3トラック分をぶち抜いたかなり大きな構成・収容人員でしたが、ほぼ満席に近い参加状況でした。
この日は諸々あってこの基調講演と夕方最終時間帯に実施されたパネルディスカッションのみ、通して聴講していたセッションとなりましたが、それ以外にも会場の雰囲気から察するにどれも熱量の多い、非常に熱いセッション内容のようですね。セッション講演以外にも各種展示コーナー等も数多く催されており、全て見て回りたいのですが時間や移動距離の都合上難しいのがもどかしいところです(笑)
Day1 基調講演レポートは以上になります。このエントリに引き続き、参加したものについては随時レポートとしてUPしていければと思いますので宜しくお願い致します。