[レポート]ローソンがAWSを使うまでの軌跡~打ち破れ、現行踏襲~ #AWSSummit
こんにちは、城内です。 今回は、 AWS Summit Tokyo 2015のEG-04セッションのレポートです。
セッション情報
- セッション名:ローソンがAWSを使うまでの軌跡~打ち破れ、現行踏襲~
- スピーカー:株式会社ローソン 業務統括本部 システム基盤部 マネージャ 進藤広輔氏
AWS利用までのアプローチ
検討の前提
- 検討の際は加点方式で考える(一般的に減点方式で考える方向にある)
- 「使える要素を重点的に」
- 検討よりもまず試す
AWSのメリット
- オンプレではハードウェアの調達がネックだったが、AWSはスピーディーにサーバを構築できるため、とりあえず3か月で試してみるというパターンにフィットする
- RDSなどマネージドなサービスが選択できる
- エンタープライズサポートとプロフェッショナルサービスを利用することでいままで苦労していた困難な課題に迅速に対応できた
※AWS検討当初、ポジティブなベンダーが少なかったため、自らが考え試した(考える、聞く、試すのサイクルを繰り返した)。
AWS利用までの最初のアプローチ
まず、ノックアウト条件がないかを検討した。AWSではクリップ一発で簡単にサーバが起動できるというが、エンタープライズではそうもいかない。
次に、オンプレの機能を流用できないのかを検討した。また、併せて、プロフェッショナルサービスと協力して周りのメンバーにAWSの知識を展開した。
この時、オンプレでは付き合いがなかった新しいベンダーと付き合うことにより、意図する方向へ進みやすくなった
本格利用に向けたアクション
マルチベンダーで対応する上で、一定の品質を保つためのルールの共有を行った。
- 共通基盤の実装 →システム横断で基本的な機能提供、個別最適を防ぐ
- ポリシー、ガイドラインの確立 →ベンダーに依存せず、ローソンが主導権を握る
- 標準化の推進 →標準WBS、標準チェックシート、AMIのカタログ化
現行踏襲の壁を打ち破る
現行踏襲
AWSの利用を阻む最大・最強の敵が「現行踏襲」。思考停止、イノベーションの減退、モチベーションの低下など。 →正当性やリスク回避、部署間の関係性など良い点もあるが、現行踏襲は決して良いものではない。
チェンジ!
現行踏襲を打ち破るには「Change!」が必要。自ら考え方を変え、それを周りにも浸透させていく(上司に説明するなど)。 →システムを外部ベンダーに握られていたのであれば、それを奪還する意味もある。
- マインド
- システムは作るものではなく、使うもの
- 業務影響がないのであれば、24/365である必要はない(停止も許容) →障害の原因調査に時間を割くのであれば、最短での自動復旧の仕組みを作る
- 最初のサイジングに時間をかけず、とりあえず起動して試しながらチューニングする
- システムは使い続けるものではなく、不要になれば捨てればよい
- 設計
- IPアドレスではなく、FQDNを使用する
- データはローカルに持たない
- ピーク時でのサイジングは止め、負荷に応じてスケールアップ/アウト
- セッションステートフルではなく、セッションステートレス
- 関係性
- インフラとアプリでお互い歩み寄る
- 既存ベンダーに依存せず、情シスが主導
チェンジ!の道筋
- 自らのマインドを変える
- AWSを正しく理解する
- オンプレとの違いを理解する
- 周囲の環境を変える
感想
個人的にも、エンタープライズシステムのAWS移行では、オンプレ固有の考え方を変えるのが一番重要だと思っていたところもあり、ユーザ目線でそれが語られていた本セッションはとても参考になりました。また、オンプレとAWSの思想の違いがとてもうまくまとめられており、感動しました。 最後に参考としてお話されていましたが、実際にAWSを利用してみて、AWS固有の問題は10%程度だったそうです。今一番安定しているのはAWSなのではないか、ともおっしゃっていました。
お客様にAWSを正しく理解してもらい、最適に使いこなしてもらえるよう、私ももっと精進しなければと思いました。