【アジャイルアカデミー2013年度第2期】アジャイルサムライの見積りと計画づくりに参加してきました!
こんにちは、おおはしりきたけです。9月6日(金)に翔泳社さんが主催している、アジャイルアカデミーに参加してきました。色々学ばせていただいたので、レポートを書かせていただきます。
アジャイルアカデミーとは?
アジャイルアカデミーは、一流講師陣による1日完結型の少人数ワークショップです。過去にも以下のようなワークショップが行われてきました。
第1期
- 2013/6/24:『アジャイルサムライ』でつかむアジャイル開発の全体像:角谷信太郎氏
- 2013/6/25:TDD Boot Camp (Agile Academy Edition):和田卓人氏
- 2013/6/26:実践アジャイル製品開発マネジメント:角征典氏
- 2013/6/27:Scrum Boot Camp Premium:西村直人氏
第2期
- 2013/09/02:Scrum Boot Camp Premium (Agile Academy Edition):西村直人氏
- 2013/09/03:プロダクトオーナーのためのアジャイル製品開発:角征典氏
- 2013/09/04:Jenkins Boot Camp Premium:太田健一郎氏
- 2013/09/05:TDD Boot Camp (Agile Academy Edition):和田卓人氏
アジャイルサムライの見積りと計画づくり
今回私が参加させていただいたのは、角谷信太郎氏の「アジャイルサムライの見積りと計画づくり」になります。本講座は特にプロジェクトマネージャーの方向けの「実践編」の位置付けになっております。とのことで、是非ともということで参加させていただきました。こちらは第1期で特に要望の多かった「見積り」と「計画づくり」に焦点をあてたとのことです。
会場の翔泳社さんの入り口
開催内容の詳細はこちらにあります。概要は以下になります。
- 日時:2013年9月6日(金) 10:00~18:00 受付開始 9:30
- 講師:株式会社永和システムマネジメント 角谷信太郎氏
- 会場:株式会社翔泳社 1Fセミナールーム
- お薦めの方:開発チームメンバー,チームリーダー,プロダクトオーナー,プロジェクトマネージャ
タイムテーブル
- 10:00〜 アジャイルな見積と計画づくりの仕組みについて
- 12:00〜 昼食
- 13:00〜 ワークショップ
- ユーザーストーリー
- 見積り
- プランニングポーカー
- ベロシティ
- 計画
- バーンダウンチャート
- 16:30〜 振り返りと質疑応答
アジャイルな見積もりと計画づくりの仕組みについて
講師紹介
名前:角谷信太郎氏
Twitter:@kakutani
お仕事:永和システムで受託開発でコンサルとか新規事業等をやっている
アジャイルサムライの紹介
- アジャイルサムライを読んだことある人は半分程度
- アジャイルサムライは角谷さんにとって集大成の1冊
その他の本
- アジャイルプラクティス
- アジャイルな見積と計画づくり
ソフトウェア開発の現場は違う
- 時期
- 経済情勢
- テクノロジー
- お客さん
- メンバー
- 作るもの
- ゴール
答えはないので日々の現場の中で問題や課題にあたりながら考えて行き必要がある。現場だけだと考え方の限界があるので、色々なシチュエーションの中でいろいろな本を読んで考えて、現場で試したり、経験で役に立ったものを他の方にも展開したいと思った。
Lean from the Trenchesの日本語訳ががもうすぐ発売しますとのことでした。
自己紹介
ワークショップの参加者同士で、以下の自己紹介を行いました。
- お名前
- 所属(オプション)
- アジャイル関係で印象に残っている書籍、記事、講演
- 今日、ここに来た理由
参加者の全員が既にアジャイル開発を導入しており、それぞれの参加者が今やっているアジャイルが正しいのか?など疑問を持っており、今回のワークショップは参加者のアジャイルに対する関心事をカードに記載し、発表しそれを午後のワークショップでやっていくことになりました。まさにアジャイル!
この時点でタイムテーブルが以下になりました
- 10:00〜 計画
- 12:00〜 昼食&休憩
- 17:00〜 振り返り&アンケート記入
リスクは色々(角谷さんの話が長いw、良い質問がでる)あって、時間は前後するけど17時をターゲットにしたタイムテーブルの計画がたてられました。参加者の方がカードに書いた関心事は以下なります。
- プランニングポーカーの場での空気感による見積りの確実性
- プランニングポーカーやっていない(時間がもったいない)が問題ないのか?
- みんなで見積りをすることは本当にできるのか?
- タスクの人への割り当て方よく優先度を決めて上からというが、現実ではないのではないか?
- 人によって生産性が違いがあるけど、見積りではそれを加味するのか?
- ポイントの見積りを結果人月に落としこむときに係数かけたりしてるのか?
- 調査タスクの見積りが難しい(ポイントが出せない)
- ユーザーストーリーが曖昧。書く人によってバラバラ
- ユーザーストーリーの粒度、どこまで書くべきか
- タスクの粒度
- バーンダウンチャートの重要性を知りたい。(今やってないが困っていない)
ユーザーストーリーやタスクの粒度、プランニングポーカーでの見積り、タスクの属人性など色々な関心ごとがでていました。ここで出てきたものをキーワードでクラスタ分類と関連付けを行いました。それが以下になります。
参加者全員でバックログに対し優先度をつけ午後のワークショップで行うバックログを優先順に並べました。
バックログにそれぞれ振られている単位は以下になります。#で始まる番号はインデックスなので特に意味はありません。
- S:〜30min
- M:30min〜1h
- L:1h〜
この作業を終えて、お昼に入ることになりました。
ランチタイム
ランチタイムでは、翔泳社さんがお弁当を用意してくれました。
お昼の時には、アジャイルサムライやScrumBootCampでお馴染みの西村直人さんもいらしており、貴重なお話を聞く事もできました。
ワークショップ(午後)
さて、午後は先ほど出した関心毎に対して進めていくことになります。有料セミナーということと、話をしている事が多かったため全部は書ききれませんが、どのような話をしたのかだけ伝えさせていただきます。
写真はストーリーとタスクについて説明している角谷さん
タイムテーブル
- 10:00〜10:30 アイスブレイク&自己紹介
- 10:30〜11:22 みんなの関心事
- 11:30〜12:05 関心事の全体像、バックログづくり
- 12:05〜13:00 ランチタイム
- 13:05〜 ワークショップ
- 17:00〜 ふりかえり&アンケート記入
#10:調査タスクの見積もりが難しい:S
このバックログですが、調査をして見ないと分からないと言う作業は、プロジェクトで多いと思います。そういった関心毎に対してになります。
原則として、チームの人がやらなければならない作業はタスクに含める。調査タスクなど、タスク分割が難しいタスクについてはタイムボックス化してタスクにする。わからないものはタイムボックスにして決めるしか無い。わからないことを調べるための調査時間を先に決めその後の作業時間は仮説で時間を立てておく。これより早く終わることはないと言う時間に分ける。
- タイムボックスを決める
- 何を得るためのタスクにするか分けて設定する
上記をチームの中で明らかにしておく。何をやったら終わりなのかを合意を始める前にチームで得ておく。事前に必要な作業は次のスプリントの計画時ではなく、現スプリント内の作業をやっていく。
- 分かることと、わからないことを分ける
- 分からないことは、分かるために短いタイムボックスを切って作業を行う
- 各タスクでは何を目的にするのかを把握する
#2:ユーザーストーリーの粒度。どこまで書くべきなのか:L
このバックログは、ユーザーストーリーの粒度(どこまで書くべきなのか)人により書き方、粒度等が異なるが何が正解なのかという関心事に対してになります
結論から言うと、粒度としてはみんな(チーム)が分かればよい。ということです。
また、クラスタ分解するときに私たちは、タスクと見積りの間にプランニングポーカーをつけていましたが、ユーザーストーリーと見積の間にプランニングポーカーがあるということでした。アジャイルの見積りと計画づくりは、ユーザーストーリがイテレーション内で作業できるかを計画する作業であり、ユーザーストーリーは要求をどうするかをまとめる作業。
チームとは?
- 何を作るか決める(顧客:プロダクトオーナー)
- どうやって作るかを決める(開発チーム)
軽さはどこまで軽くても大丈夫だけど、3行でかけない内容は、ちゃんと書く必要がある。アジャイル開発はソフトウェア開発であることは変わらない。アプローチの仕方が違うだけで、プロジェクトの期間を使い切る前に、計画をたてるためのツールがユーザーストーリー。プロジェクトを開始するためのフォーマットとしてユーザーストーリーが好まれている。その為、ユーザーストーリーは反映しやすいフォーマットにしておいた方が良い。
最初に決めたものが良いとは限らない。不確実に取り組むのがアジャイルなアプローチ。ソフトウェア開発という本質は変わらないがフィードバックを経て次の段階に進んでいく。開発がアジャイルということは、協調性を重んじる環境で、フィードバックに基づいた調整を行い続けることである。
#6:プランニングポーカーの場での空気感による見積りの違い:L
こちらのバックログは、見積りの時に空気感によって、過少になるとき過剰になるときがあるという関心毎に対するものです。
上記でも書きましたが、プランニングポーカーはタスクではなく、ユーザーストーリーに対し行う必要があります。何ポイント、何点が重要ではなく見積りは、期間内に終わりそうか終わらなそうかを見極める作業なので、正値で見積りをしないというけないわけではない。また、全員の意見が合わない場合は、チームの知識が足りず、正確に見積もれない可能性がある。分からないところで、どんなに頑張っても分からない。議論するより作業をすすめるほうが効率的であるといった話になりました。
サイズについてチームで話し合いを行う必要がある。プランニングポーカーは0,1/2,1,2,3,5,8,13....とあるが、相対的な規模を測るためのものなので、1,3,5のS,M,L程度で良い。角谷さんの経験でもこの程度の方が良いとのことでした。
タスクとユーザーストーリーの関連
こちらは、ワークショップが進んでいくうちに、参加者の関心事がかわってきた来たため、新たなバックログができました。
以下は、角谷さんが所属している永和さんのお話。
- チームに連続性みたいなものがある
- 技術的になるべく揃える
- ユーザー視点の機能を計画の単位(小さい)
- (技術のストーリーもある)
アジャイルをうまく進めていくのは、腕の見せ所、角谷さんもここまで持ってくるのも数年単位でかかっている、これでもまだまだ完成形ではない。
アジャイルアカデミー第3期開催されます!
アジャイルアカデミーは、1年で4回行われるそうで、11月から第3期も開始されるとのことです。開催予定は以下です。
- 2013/11/25:Scrum Boot Camp Premium
- 2013/11/26:プロダクトオーナー研修
- 2013/11/27:Jenkins Boot Camp
- 2013/11/28:TDD実践入門
- 2013/11/29:アジャイルサムライの計画と見積りづくり
まとめ
最後に角谷さんが言った「アジャイルに正解はない。うまく行けばいい。その為にチームでどう終わらせるかを考える」という言葉が心に刺さりました。アジャイルを学んで、プロジェクトで実践して行ったりすると、やり方、ツールなどが気になりだして、何が正解なのか?どうやれば正しいのか?といった疑問が生まれてきます。実際、私もあるべき姿、正しいやり方、ツールなどに目が行ってしまっていました。しかし、改めてアジャイル開発宣言を読んでみたところ、こう書いてありました。
私たちは、ソフトウェア開発の実践
あるいは実践を手助けをする活動を通じて、
よりよい開発方法を見つけだそうとしている。
この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。
「アジャイルに正解はない。うまく行けばいい。その為にチームでどう終わらせるかを考える」身に染みる言葉です。