(レポート) SORACOM Conference 2016 “Connected.” / J4:SORACOMで実現するIoTワールド #soracom

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はじめに

本記事は2016年1月27日(水)に開催されたSORACOM Conference 2016 “Connected.”のセッションJ4、「SORACOMで実現するIoTワールド」のレポートです。

ゲストスピーカー

  • 有限会社ダイアファーム 専務取締役 有限会社アグリフューチャー 代表取締役 女川 源 氏
  • 東京大学情報理工学系研究科准教授 川原 圭博 氏
  • 株式会社ファームノート 代表取締役 小林 晋也 氏
  • 株式会社ビーティス 代表取締役社長 高野 元 氏
  • 十勝バス株式会社 代表取締役社長 野村 文吾 氏

モデレーター

  • 株式会社ソラコム 最高技術責任者 兼 共同創業者 安川 健太氏

内容

SORACOM の登場により、デバイスとクラウドをつなぐ障壁は一気に下がりました。 M2M、交通、農業など様々な分野の「SORACOM」を活用したIoT 実例が出てきています。 本セッションは、IoT ワールドと題し、いよいよ本格化、暮らしを豊かに便利にするIoTのお客様事例をご紹介します。

レポート

背景

IoTを構築する解決すべき課題。インターネット接続、セキュリティ、モノ向けのクラウドインターフェース、端末管理、電力消費... SORACOMは特にネット接続、セキュリティ、端末管理など、デバイスに近い部分をサービスとして提供している。 SORACOM Air。インターネットのコネクティビティがクラウドを通じて提供される。APIによるプログラマブルな通信プラットフォーム。クラウドに直接繫げる。 SORACOM Beam。データ転送支援サービス。デバイスに必要なセキュリティを提供。 SORACOM Canal。プライベートな接続サービス。デバイスとお客様環境をインターネットに出ないで繫げる。 SORACOM Direct。専用線で接続するサービス。 SORACOM Endorse。デバイスを認証する。電子証明によってデバイスがシステムとつながることができる。 SORACOM Funnel。SORACOMとAWS以外を繋ぐインターフェース。

パネラーの自己紹介

女川さん。農家。農業の現場でIoTとSORACOMをどのように使っているかを話す。 非農家から農業に転身。 なぜテンガロンか?雑誌記事で「こだわりのテンガロン」と書かれてしまったから。複数のテンガロンを持っていて、使い分けている。 仙台高専の非常勤もやっていて、全国KOSEN ICT農業研究会として、高専が連携して農業研究をやっている。 各高専がそれぞれ得意なことをやっている。仙台高専は通信デバイスとデータベースを担当。 SORACOMによって、各高専のシステムを組み合わせることができるようになった。 研究の進捗状況。センサーノードはほぼ完成。通信ゲートウェイを作って各高専に配置。 SORACOMからSIMを購入し、通信ゲートウェイにSIMを入れて、各高専に展開している。 SORACOMにお願いしていること。学生に対する技術支援、教育。SORACOMが使えるエンジニアが増える。

川原さん。東京大学大学院。IoTのキーデバイスとしてのセンサーネットを研究。 大学はアカデミックなので、5年後10年後に花咲くような研究を行っている。 「万有情報網」プロジェクト。宇宙のすべてをデジタルネットワークで制御したい。 土や水の中を探索できるような自立的なセンサーを作っていきたい。 安く作って長く動かす。 具体的な研究事例。 Instant Inkjet Circuits。電子カイロを家庭用プリンタで印刷できるようにしたもの。 エネルギー問題の解決。IoTデバイスの給電。電子交換なしで給電。放送用の電波をエネルギーに変換。 農業用センシング。SenSprout。センサーを従来の1/10のコストで作る。農業で水やり量をコントロール。 安いセンサーを高密度でばら撒いて、SORACOM経由でクラウドに溜め込んで、農家がスマホなどで畑を管理。 システムコストは1/10、水の量も-30%がベネフィット。 先行実証実験。プロフェッショナルな農家用の多深度センサーをSORACOM経由でクラウドにデータアップ。 コンシューマ向けの鉢植え用も同様に作成。

小林さん。クラウド牛群管理システムのFarmnoteを提供。本社は帯広。 日本の牛は400万頭いるが、生産管理が課題。 牛を大切に育てることで人に利益が生まれる。が、牛を管理する術がこれまでなかった。 牛をデータできちんと管理するのがFarmnote。 牧場で発生するイベントや牛のパフォーマンス管理、予算を含めた牧場の経営管理ができる。 牛の首につけるセンサーFarmnote Colorを開発中。 牛の行動を検知するので、Colorによって加速度を取得し、発情兆候を検知する。 Farmnote Air Gateway。Colorのデータを収集しFarmnoteにデータを送信する。 Farmnoteは酪農だけでなく農業もすべて統一的に管理する方向で進んでいる。 農業版インダストリー4.0の実現。データが勝手に上がってきて人工知能が最適解を示す世界へ。 なぜか?今後農地はどんどん減っていく。すると食糧問題が発生する。世界の問題を解決したい。 帯広から世界へ。それがファームノート。

野村さん。十勝バス。 バス会社は非常に泥臭く、力業で進んでいた。今それをITで解決しようとしている。 全国の地方バスは経営が非常に厳しい。バスを利用してもらえない。人口減による影響もある。 その課題をアナログな方法で解決。一軒一軒戸別訪問してヒアリング。 問題が見つかった。バスの乗り方がわからない。乗り方を忘れてしまったという。 解決策として、バスの乗り方を図解で示すリーフレットを作成して配布。 バスは手段であり目的ではない。なので目的地へ行く手段としてパック商品を作成。 お客様が必要な情報をしっかり渡せば、乗っていただけるということがわかった。 次はアナログからデジタルに解決。高野さんと組んでIT化。 バスロケーションシステム。でも全国の地方バス会社は経営が厳しいので通信費が辛い。 SORACOMによって通信コスト減、導入を進めることができた。 高野さん。バス事業。 災害対策でバスロケーションシステムを提案したが、どこのバス会社にも当たらなかった。 次にBCPの観点からSCP(Society Continuity Planning)の観点で事業を展開。 スマホをバスに設置、SORACOM経由で位置情報をアップロード。 バスロケーションシステムで、位置から路線を検索できるアプリと連携しているのは十勝バスくらい。

質問

SORACOMに興味を持ったきっかけは?(安川さん) 通信コストの面で様々なSIMを検証していたが、協力してもらっている北大の教授から勧めてもらった(高野さん) 玉川さんが飛び込んできて、その理念に共鳴した(小林さん) もともと玉川さんと接点があって、そこからの影響(川原さん) AWSの仙台イベントをきっかけに玉川さんにお会いした(女川さん)

繋がるを超えた先に見えているチャレンジは? 交通事業者はバラバラで横の連携が無い。日本全国で進めて、バス業界自体を変えたい。 バスの乗り換え管理は難しく、有料アプリなどが多い。バス停留所は非常に多いから。 こういった課題をITで解決していきたいなと思っている(野村さん) 正確には安く繋がる。次は広がって、データが溜まる。次はデータを売る、がソリューション(女川さん) インターネット時代のように、IoTにおけるGoogleや楽天のような形をどう作るのか、難しい問題(川原さん) 僕らは生産データを大量に集めたい。なので農家さんが使いたいと思うサービスを作っている。 集まった食に関するデータをみんなが活用できるようになれば、もっとみんなが豊かになるんじゃないか(小林さん)

今後SORACOMに期待することは? 技術者育成に協力してもらいたい。サービスとしてのSORACOMは満足度が高い、それを使いこなす技術者を育てていきたい(女川さん) 追加機能の展開を含め、とてもグローバルに通用できるサービスだと思う。今後の拡張に期待している(川原さん) 経営者がぶっ飛んだ会社なので、今後もどんどんぶっ飛んでもらいたい(小林さん) 交通事業者として、交通業界に目を向けて、改善していってもらいたい(野村さん) ベンチャーの気持ちを失わず、よりスピードアップしてもらいたい(高野さん)

さいごに

とても興味深いお話がいっぱいお聞きできました。特に札幌オフィス在住の僕としては、北海道の話をたくさん聞けて楽しかったです。