AKIBA.swift主宰インタビュー前編:Swiftと、2人の田中。 #akibaswift
2014年にAppleから発表され登場即大注目も懐かしや、現在はバージョン3に上がったiOSアプリ開発の必修言語ことSwift。クラスメソッドではこの「Developers.IO」で日々Swiftの情報をお届けしていますが、それだけでなく有志によるコミュニティ「AKIBA.swift」も2016年4月に設立し、毎月の勉強会を通じて情報共有を行っています。
今回は、昨年新卒入社(?)ながらも早々にAKIBA.swiftの代表を務める田中賢治(写真左)と、そんな彼を広範囲でサポートする副代表の田中孝明(写真右)にインタビュー。この前編ではW田中のプロフィールとAKIBA.swiftのこれまでを振り返り、(ついでに非エンジニアの私にもわかるように)Swiftという言語の魅力を聞きました。それではどうぞ!
ワイがSwiftや!
――ではまず、おふたりの自己紹介をお願いします。
田中賢治(以下、タナケン):田中賢治です。クラスメソッドのモバイルアプリサービス部でiOSエンジニアをやっていて、AKIBA.swiftでは一応主宰をさせていただいております。
田中孝明(本当はタカアキと読むけど以下コーメイ):彼は“顔”ですよ、AKIBA.swiftの顔。
――ははは(笑)。
タナケン:いるだけですよ(笑)。僕自身が勉強会が好きなのでほかのところにもお邪魔して、そこで「なんか一緒にやりましょうよ」ってお声がけする、みたいなことはしてます。
コーメイ:僕は同じ部署で、ちょっと前まではアプリのエンジニアでしたけど、今はバックエンドのほうを担当しています。今後AWS関係もやっていこうと思うんですが、Swiftはサーバーサイドでも使える可能性があるので、キャッチアップしていくために関わっています。AKIBA.swiftではまあ、その他雑用です。
タナケン:いやいや、参謀じゃないですか(笑)。
コーメイ:まあ、タナケンを押し上げる神輿を担ぎつつ、自分もちょっとうまい汁が吸えればなーって思ってやってます。
――うまい汁(笑)。4月に始まったAKIBA.swiftは夏頃から今のW田中体制になったそうですね。その経緯を教えてください。
コーメイ:7月くらいに前代表の田宮さんが別の部署に異動になって、AKIBA.swiftはもともとモバイルアプリサービス部の主導だったから「どうする?」って一度なったんです。でも、その時すでにタナケンにはAKIBA.swiftの顔としてやっていけるモチベーションとポテンシャルがあったんで、「じゃあ彼を一番上に」って感じで決まったんですよ。
ーーモチベーションが決め手だったんですね。
コーメイ:はい。もう「ワイがSwiftや!」って。
タナケン:ははは(笑)。でも2016年までは仙台に住んでたんですけど、その頃から“SENDAI.swift”みたいなことをやってたし、ほかの勉強会にも顔を出してたんです。なので入社時から田宮さんがやっていたAKIBA.swiftに携わるつもりでいたので、確かに乗り気でしたね。
コーメイ:そっか。4月からだからほぼ社歴イコールAKIBA.swiftになるのか。1回目で最初に登壇したのもタナケンだったし。
ーーDevelopers.IOに載ってる1回目の写真、確かに存在感ありましたね。Swift界の大御所であるCaesar Wirthさんと岸川克己さんに囲まれて。
タナケン:iOS界隈だとめちゃくちゃレベルの高い方々を横にして。
コーメイ:そんな人たちに囲まれて鮮烈なデビューを果たしたと。
主催者就任までの道のり
ーータナケンさんは4月に入社してから2代目AKIBA.swift代表になるまでは運営スタッフとして携わっていたんですか?
タナケン:あの…僕、実は2016年3月卒業予定だったのに留年しちゃって。だから夏までクラスメソッドと仙台の往復生活で、なかなか東京をメインに動けなかったんです。それで卒業と主宰者交代のタイミングがほぼ同じだったので、そこから積極的になり知り合いもどんどん増えていきました。
コーメイ:そう、8月くらいから変わっていきましたね。タナケンが働きかけてSwift愛好会さんとコラボイベントをして、それからいろんな人との関わりが広がって。今でこそAKIBA.swiftでは「俺にも話させろ」みたいに積極的ですけど(笑)、それまでは「誰に発表してもらおう…?」って考えなきゃいけないような感じだったんです。
ーー定期イベントのテーマを考えるのって、大変ですもんですね。
コーメイ:そうですね。これを始めるときに「アウトプットすることには限りがあるかもしれないけど、続けていくことだけならできるだろう」ということで「1ヶ月に一度マストで開催しよう」と決めてて。だから15日とか20日になると月末の開催に向けて毎回「今月どうしよう」ってなってました、夏休みの宿題みたいに(笑)。最近は先のほうまでテーマがある程度決まっているし、あらかじめ「このテーマで話してください」とお願いできるようになって、そういう部分での運営コストはかなり下がりました。
タナケン:それに、最近の回は盛り上がり度が高いなって思いますね。
コーメイ:そう。こないだKYOBASHI.swiftさんと一緒にイベントをやったんですけど、その中でも過去回に比べたら自分たちらしさが出たんじゃないかなって思います。
コミュニティとしての成長
ーー立ち上げから1年の中で、これまでピンチだったときやハードな局面はあったんですか?
コーメイ:ピンチはないけど、12月はどうしようかなーって思いました。
タナケン:あー、12月ですね。 ーーああ、前日告知だったそうですね。
コーメイ:はい(笑)。「毎月マストで開催」と考えてはいたものの、さすがに年末は忙しいからいいんじゃないかっていう話が出て。でも土壇場、開催前日に急きょ「やっぱりやろう」ってことになったんです。その結果9名集まってくれて。
タナケン:濃い内容のことを話し合えましたね。
ーー参加者の人たちとマメにコミュニケーション取ってないと難しいですね、それ(笑)。
コーメイ:そうですね。AKIBA.swiftはSlackのチャンネルを作って、活発に議論したり和気藹々とやり取りしたりっていう環境が整ってきていて。
タナケン:Slackはもう無法地帯というか(笑)。技術的な話というより雑談が多くて。
コーメイ:主催をいじくり回す場所みたいになってるんだけど、突然(技術的な話題の)マサカリも飛んでくるっていう(笑)。
タナケン:そうですね。ちゃんと技術的な質問には誰かしらが必ず答えてる。
コーメイ:AKIBA.swiftの次のテーマが決まったときもそこで話してますね。コミュニティとしてのまとまりが出て、井戸端会議的なものとして機能しています。
ーーもともとiOSアプリ開発でクラスメソッドの存在感を出していこう、みたいなところからAKIBA.swiftが生まれたと聞いていますが、実際そういうギラついた感は一切無いですよね(笑)。
コーメイ:はい。もともとAKIBA.swiftはブランディングだったり「クラスメソッドからSwiftのスタープレイヤーを輩出しよう」みたいな理由で生まれたんですけど、特に最近は毛色も変わって、コミュニティらしさが出てきました。そのあたりがほかの人達の参加しやすい敷居の低さにつながっている気がしますね。柔軟にやろうとして、それが受け入れられてるんじゃないかなと。
2人とSwiftとの出会い
――ちょっとここで話題を変えて、おふたりとSwiftのことを教えてください。そもそもSwiftに興味を持ったのはいつでしたか?
タナケン:2014年のWWDCでSwiftが発表されたときにすぐ、ですね。僕はもともと大学時代、20歳位からObjective-Cでプログラミングを始めて。「オブシーから」って言うと「…変態」って言われたりもするけど。
コーメイ:や、当時あの年齢でObjective-Cから始めるのは変じゃないかも。Mac持ってたらiPhoneアプリ作りたいって思うのは、っていう意味ではだけど(笑)。それまでiPhoneアプリと言えば相当レガシーなObjective-Cでみんな消耗してたんですけど、Swiftでようやくモダンな言語でアプリ開発ができるようになるなって。まあ、バージョン2で書いてたものが3で動かないとか、バージョンアップで古いものは1年ごとに切り捨てられる…Apple帝国の…そのへんの……こう…なんすかね…荒波に乗りながらっていう(笑)。その辺も含めてみんな好きなのかなと。 タナケン:あー、どうかな(笑)。でもたしかに、みんな苦しみながらも楽しんでます。
――そんなに(笑)。コーメイさんとSwiftの出会いは?
コーメイ:僕は28歳ぐらいからObjective-Cをやってました。福岡でサービスを提供している会社にいたんですけど、Swiftを知って「そろそろやらないと将来的についてけないだろうな」って考えていたらクラスメソッドが「まだ1案件くらいしか実績ないけど、これからどんどんSwiftにリプレースしていきたい」って話してたのでJOINして、Swiftを本格的にやり始めました。
Swiftはいいぞ
――Swiftってプログラミング言語の中ではフレッシュな存在だし、やっぱり先見の明がある人が携わるものなんですね( #語気強め )。AKIBA.swiftの勉強会などを通じて「こんな人が多いな」ってのはあります?
タナケン:属性でいうと若い人、もともとObjective-Cでガリガリやってた人、新しくSwiftやってみようと思った人、という感じですね。あと勉強会でクラスメソッドのブログ神(※Developers.IO記者ランキング首位の 諏訪悠紀。著作は絶賛発売中)が書いた本を携えて「いま勉強中なんですよ」って人もいます。中でも若い人はけっこう多いですね。
コーメイ:多い。それにSwift界隈ってほかの言語コミュニティに比べてユルい雰囲気かなって。iPhoneみんな持ってるから「プログラミングやりたいな」って人が参加して何かを持って帰るっていうライトな感じで、それが参加しやすさにも繋がってるのかなと思います。
――先日参加してみて「プログラミングなのに若い女性もけっこういるんだ!」って驚きました。フロントエンドならまだしも。
コーメイ:Swift自体がそれほどプログラミングらしさがないんですよね。Objective-Cで書いてた人って積極的にというよりも「iPhoneアプリを作りたいからイヤイヤ覚えた」って感じなのに、Swiftはカプセルして少ない手数で習得できるし自分が面白いと思うところにだけフォーカスできるのが食いつきやすくてのかな―って。
――そうですよね。コーメイさん以前AKIBA.swiftの「Swiftをキメると気持ちいい!!」ってだいぶギリギリな感じのことおっしゃってましたね。
コーメイ:恥ずかしいからやめてください。
――その会ではタナケンさんも。
タナケン:脳汁ブシャーってなってましたね。
と言った具合でいったん前編はここまで。彼らの過去の発表はこことかこのあたりからチェックしてみてください。後編はコミュニティとしてのAKIBA.swiftによりフォーカルした内容で発表の心得や今後について話してもらってます。