オンプレWindows環境のAWSへのバックアップ方法いろいろ 2014年7月版

2014.07.21

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

はじめに

こんばんは。たけかわです。Windowsオンプレ環境をAWSにバックアップするにはどうすればよいか? という相談をお客様より受けました。ちょうど先日AWS Summitがあり、そこのAWS相談窓口でもお話を聞いてきましたので、こちらでまとめてみました。

注意点としましては以下のとおりです。

  • バックアップ対象のWindowsはユーザー環境にある前提です。AWS上にあるWindowsのバックアップ/リストアについては、稲葉サーバーデザインさんのAWS Windows Serverのバックアップ自動化とリカバリーが参考になりました。
  • 自分で調べてみた結果です。AWS推奨というわけではないので御注意願います。
  • リカバリーの方法についてまでは追えていません。今後がんばります

オンプレWindowsがあると「Amazonに移しませんか? 」と提案する人ですのでオンプレWindowsについてそれほど詳しくないです。間違い等ありましたら、是非指摘願います。みんなで幸せになりましょう。

S3Glacier

AWS上で安価にバックアップを行なうにはAmazon S3/Glacierを利用することが定石です。それぞれ、1GB 3.3円、1.1円程度となります。これでデータが3重化されて保存されるって21世紀ですよね。AWSではAWSから出る場合通信費用が1GB20円程度かかりますが、バックアップの場合AWSへの転送がメインですので考慮より外すことができます。

以下紹介する方法は全てS3もしくはGlacierを利用するという前提となります。このためAWSへのデータの保管料については費用は特に記載していませんので御了承ください。ざっくり計算するときはS3 1TB 4000円、Glacier 1TB 1500円くらいと覚えておくと便利です。

AWS CLI

安価にバックアップを行なうには、オンプレのWindows環境の場合でも、OSやアプリケーションについては、再インストールで復活し、データファイルのみバックアップを取るというのが安価なバックアップ方法になると考えております。

無償のAWSCLIのs3 syncコマンドで特定のディレクトリとS3を同期させることができます。使い方はこちらを参照願います。 AWS CLIをタスクに登録して特定のディレクトリを定期的にバックアップするというのが一番安価な方法です。ただし、単純な同期なので、OS起動イメージのバックアップや、バージョン管理、エラー処理等は別に考慮する必要があります。

NAS

ファイル保存先としてNASを利用することは多いですが、NASの中にはS3へのファイルバックアップをサポートしている機種があります。以下はS3対応しているNAS製品の例です。

IOデータと、バッファローについては、価格帯としては10万円台からになりますがQNAPはこれより安いそうです。
QNAPという名前を初めて聞いたのですが、技術相談時におすすめされました。台湾のメーカーですが、日本にも販売代理店が幾つもあります。エンクロージャーのみの販売でディスクについては選択可能ということでデータの重要度に応じてディスクも選べます。またamazon S3に初めて対応したNASで実績も豊富のようで、価格も安価でお勧めです、と書いているうちに弊社でも使用例があることに気づきました。また、QNAPのS3設定方法はこちらです。

AWS Storage Gateway

AWS Storage Gateway(SGW) オンプレのファイルサーバーとS3を統合するソリューションです。大きく2パターンあります。

  • ファイルサーバーとS3を同期する(ゲートウェイキャッシュ型、ゲートウェイ保管型)
  • テープライブラリとして利用する(ゲートウェイVTL)

どちらにしても、"Storage Gateway VM" と呼ばれるデバイスとAWSへのアクセスを変換するゲートウェイが必要となります。こちらの最低スペックは以下のとおりです。

  • 仮想プロセッサ 4 個
  • RAM 7.5 GB
  • ディスクの空き容量 75 GB

このVMの運用費用+AWS側のSGW費用(月額13000円程度)+S3保管料がかかる費用となります。
注意点としてはSGWはスナップショットを取ることができますが、なぜかこの費用が1GB 10円と、ボリュームストレージより高めの値段ですので注意が必要です。

SGWについて詳しく知りたい方は、弊社エンジニアの望月の書いたAWS Storage Gatewayでできること、使いどころのポイントも参考になるかとおもいます

バックアップソフトウェア

バックアップソフトを使うことで簡単にOSのイメージ毎バックアップ/リカバリーや部分的な復元等が出来ます。OS標準のものもありますが、S3対応はしていないようでした。

安価なS3へのバックアップソフトといえば、 CloudBerry Backup があります。 日本ではクライム社が扱っています。

以下の製品についてもAmazon S3に対応しています。私自身が取り扱ったことがないため、URLのみとなります。

Commvaultはあまり聞いたことのない製品かと思いますが、海外でのシェアは比較的あるようです。

これらのバックアップソフトとSGWの連携というものありだと思います。

まとめ

オンプレWindowsで利用できるバックアップ方法について簡単にまとめてみました。過去1年の自分の担当案件をふりかえると、バックアップについてはスナップショットで十分な場合がほとんどなため、バックアップソフトを使って精緻なシステムを作らなくてはいけない必要性が過去の案件ではあまりありませんでした。とはいってもオンプレ環境がなくなることはないので、バックアップ/リカバリーについては今後も研鑽が必要です。

バックアップ方法に共通しているのはAWSに送る情報は差分という点です。データサイズが増えてくると毎回全部のデータをAWSに送ることは難しくなってきます。これは逆も言えてリストアの時に全部のデータをもってくるというのは、データサイズよってはとても時間がかかります。この点、注意する必要があります。今回の例ですとオンプレにもデータを保存しつつ、さらにAWSにデータのコピーを持つということで、全データをAWSからリストアするという可能性は低い構成になっています

ここまで書いて気づいたのですが、これってLinux環境でもほぼ流用できますね。気づかなかったことにします(笑)。

最後にお忙しい中、相談にのっていただきましたAWSの荒木様、青柳様(Windowsのマイスターとのこと!)、ありがとうございました。他にも相談したいことが多くあるので、また、話をさせてください

ではでは。