【書評】「カスタマーサクセス実行戦略」カスタマーサクセスを実行するには?

Sansanの実行メソッドが盛り込まれた、カスタマーサクセスの実践書です!
2021.12.15

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カスタマーサクセス部のゆっこです。

今回の入社を機に「カスタマーサクセス」について調べていたところ、カスタマーマーケティングの先駆者で名の知れたSansanの山田ひさのりさんが「SaaS CS集中講座」(全5回)というイベントに登壇されているのを知りました。

その講義でメイン情報ソースとして、使用されていたのが今回紹介する『カスタマーサクセス実行戦略』です。

山田さんご自身がSansanで習得したものを実践的に1冊の本にまとめてくれています。 私は1つ前のものを購入しましたが、先日(2021年11月25日)増補改訂版が発売されました。これからご購入される方は増補改訂版がおすすめですね。

本書の目次は下記の通りです。 ブログでは主に「第一章」と「第二章」について、触れていきたいと思います。

  • 第一章 カスタマーサクセスの概要
  • 第二章 カスタマーサクセス戦略
  • 第三章 カスタマーサクセスをスケールするためのテクノロジー
  • 第四章 カスタマーサクセスを実現する組織と人材
  • 第五章 カスタマーサクセスのこれから
  • 第六章 カスタマーサクセス・インタビュー

カスタマーサクセスとは

すでにご存じの方も多いかもしれませんが、導入として触れておきます。 カスタマーサクセスが注目を浴びるようになったのは、ビジネスモデルが保有からサブスクリプションに変わったことが要因です。

従来のような商品を納品して終わりではなく、サブスクリプションは、お客様に継続して利用してもらうことが前提のビジネスモデルなので、お客様にサービスの価値をしっかりと体験してもらうことで、長くサービスを愛用してもらうことが大切なのです。

カスタマーサクセス活動の分類

いざ、カスタマーサクセス活動を行おう!と始めた時に、今契約してくれている顧客への対応は一律でいいのでしょうか。 自社の営業人数によっても、対応しきれるところとそうでないところがあると思います。

そこで山田さんは、カスタマーサクセス活動は顧客の事業規模期間(顧客ライフサイクル)によって活動をわけることを示しています。

顧客の事業規模

  • High Tough(大規模顧客)

顧客ごとにカスタマーサクセスマネージャーがつき、顧客と合意形成を取りながら進めていきます。

  • Mid Touch(中規模顧客)

High Toughよりも多くの顧客を担当し、1人当たり、数100社レベルで対応することも少なくありません。顧客にかけられる労力はある程度割り切った対応になります。

  • Tech Touch(小規模顧客)

人を介さずテクノロジーの力をもって顧客をサクセスすることを目標とします。

それに加え、効率的・効果的な活動を行うためにサービス利用期間ごとに顧客をセグメントするのが顧客ライフサイクルです。

顧客ライフサイクル

顧客ライフサイクルは2種類に大別されます。

  • オンボーディング期

顧客がサービス・プロダクトの基本価値や利用方法を学ぶフェーズ。

  • サクセス期

顧客がそのサービスを利用してサクセスする(=利益につなげる)フェーズ。

オンボーディング期に顧客の不安を先回りし、いかにサービスを利用してもらうかが解約への阻止だけでなく、既存顧客の維持やアップセル・クロスセルへ繋がっていきます。

そのためには、契約してからサービスを利用してもらうことが大切です。 どうやら『Onboarding』の成功がカスタマーサクセスの鍵となりそうです。

Onboardingを成功させるためには

Onboardingのプロセスのポイントは「期間」「成功の定義」を決めることです。 ここのプロセスをきちんと決めておくことで、期間中に契約の何割のOnboardingを成功させることができたかの判断がしやすくなります。Sansanを例にみていきましょう。

  • 期間

受注〜基本操作のマスターまでを約2カ月に設定。

  • 成功の定義

顧客の健康状態を数値で把握し、対応の優先順位を決定する「ヘルススコア」というものがあります。「ヘルススコア」をベースに考え、ヘルススコアの指標の1つに「顧客がそのサービスを使用する上で理想的な環境が整っているか?」というものを設けています。

上手く使えば解約予備軍を洗い出すことにも利用できるため、カスタマーサクセスの有効な戦術の1つにもなります。

また、Onboardingのほとんどのプロセスは自動化可能と言われています。 特に中小企業向けにおいてはその傾向は顕著のようで、自動化において有効なのは、Onboardingの時期に発生するさまざまな疑問を自ら解決できるセルフコンテンツを充実させることだそうです。

Sansanにおいては、セルフコンテンツの動画は10以上、ユースケース記事に至っては、100件近くも掲載されています。(すごい...!)

工数削減効果も期待できるため、セルフコンテンツの充実は早期に力をいれたほうが良さそうですね!

まとめ

本書を読んで、カスタマーサクセスの基本から実際に動き出す一歩目のコツを学ぶことができました。

カスタマーサクセスは会社によって、コストセンターと解釈されることも多いようですが、成熟度が上がれば既存顧客をしっかりと維持するだけでも、アップセルやクロスセルの成長が見込め、プロフィットセンターとして機能ができるのですね。

今年からクラスメソッドに「カスタマーサクセス」が設置されました。日も浅く、まだまだ学ぶことも多いですが、自分たちの型を見つけより多くのお客様にサービスを通して、サクセス体験をしていただけるよう努めて参ります。今後ともクラスメソッドのカスタマーサクセス部をよろしくお願いします!