LIXILが成し遂げたIoT×DXを成功に導く3つのポイント #devio_showcase

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株式会社LIXILは、スマートフォンと宅配ポストが双方向でつながることで、荷物の受け取りや集荷依頼が可能となる業界初のスマート宅配ポストを開発しました。この製品は、さまざまな社会サービスとの連携も可能となる、「社会とつながるIoT」宅配ポストです。

この開発にクラスメソッドがパートナーして参加し、アジャイル開発によるIoTクラウドシステムの構築を、一つのチームとなって推進しました。本記事は、クラスメソッドの「Developers.IO Showcase」にてIoT製品のアジャイル開発の事例としてスマート宅配ポストの開発事例をご紹介するとともに、IoTによるDXのポイントについて紹介したセッションのレポートです。

不確実性の高い現代において、メーカーの未来を考えるときに、IoTの活用は避けて通れません。しかし、メーカーがソフトウェアエンジニアを揃えて自社で開発することは、難しいことも事実です。セッションでは、開発パートナーと一体となって進める選択肢があることを、リアルな現場の状況を交えて紹介されていました。

「非IT・ソフトウェア業界のメーカーにいる開発部門がやってみたIoTによるDX」と題し、LIXILエクステリア事業部エクステリア商品開発部主査佐々木義氏により行われたセッションについてレポートします。

なお、レポート内容の詳細、技術支援に関するご相談がございましたらクラスメソッドの担当者が承ります。下記のフォームにてご入力ください。

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発表者

株式会社LIXIL エクステリア事業部 エクステリア商品開発部 主査 佐々木義氏

発表資料

スマホと双方向でつながるスマート宅配ポスト

LIXILは、「優れた製品とサービスを通じて、世界中の人々の豊かで快適な住生活の未来に貢献する」という企業理念を掲げ、建築材料、住宅設備機器の製造販売を行っています。

LIXILの取り扱う数多くの製品の中に、スマートエクステリアがあります。スマートエクステリアは、スマートフォンを介してペットの見守りや、ガレージの見守り、操作といったことを可能にする、室内からエクステリア空間までを見守るホームネットワークシステムです。

スマート宅配ポストは、スマートエクステリアの一つとして開発されました。宅配ボックス、ポスト、サイン、インターホンが一体となったシンプル&スマートなデザインであり、スマートフォンと宅配ポストが双方向でつながることで、荷物の受け渡しが可能となる業界初の機能を備えています。

「宅配ボックスの市場は、昨今の新型コロナウイルスによる影響によって、かなり変わってきています。こ れまで、家にいるときにはあまり使われないというイメージがあった宅配ボックスは、非対面での受け取りというところから、新しいニーズが出てきています。こういったことも踏まえて、市場は非常に伸びるという予測が出ています。」と、佐々木氏は解説します。

 スマートエクステリアは、クラウドサービスにより、宅配事業者やクリーニング業者、各種のシェアリングサービスといった、社会サービスとの連携も可能になります。今後は「社会とつながるIoT」へ進化し、生活に溶け込んだ社会サービスとオープンエコシステムとして連携していきます。

変化に対応できるIoTシステムを構築

スマート宅配ポストのクラウド開発は、サーバーレスアーキテクチャを持つクラスメソッドと、アジャイル開発、マイクロサービスとDevSecOpsという形で進められました。クラウドサービスをフル活用し、ブロックを組み上げるように各パーツを組みあげ、変化に柔軟に対応して拡張できるIoTクラウドシステムを構築しています。

「レイヤーに分けていくことによって、各種サービスが疎結合で使えることを目指して作っています。ベースはAWS IoTになります。AWS IoTはフルマネージドサービスということで、サーバーレスとの相性がいい。」と佐々木氏は語ります。

開発では、IoT機器側の開発を行う機器メーカーと、それと対になるクラウド側を開発するクラスメソッドが一緒になって開発が進められています。機器メーカーは完全にウォーターフォール開発の形であり、クラスメソッド側はアジャイル開発の形であって、間を取り持ちながら開発は進められました。

佐々木氏は「基本的にはアジャイルの考え方、ウォーターフォールの考え方の間を取り持つ。ソフトスキルをフル活用して、それぞれの価値観、ルールでやりとりをして進めてきた形になります。」と、開発を振り返りました。

IoTによるDXの3つのポイント

続いて、IoTによるDXでのポイントの解説が行われました。最初に佐々木氏は「世の中はどんどん変化、進化し、絶対的な正解はありません。そしてデジタルはもう社会にとってインフラであり、事業にも生活にも欠かすことができないものとなっています。そして今は、クラウドを使ってアイディア一つで誰でもすぐに始めて、実現できる世の中に変わっています。変化の先が目の前にあります。あとはやるだけです。さあファーストペンギンへ」と、呼びかけます。

続けて佐々木氏は、IoTによるDXでのポイントとして3つの点を挙げています。ThinkBig、StartSmall、Scaleの3点です。

ThinkBig(大きく考える)

始めるためには何が必要か、何をしたいかを考えます。IoTは手段であり、そのIoTで提供する価値は何であるかを、セットで考えることが必要です。まずは始めることが大事になります。

StartSmall(小さく始める)

いきなり大きなチームと予算がそろうということはありません。まずはビジョンを持った上で、確かな技術を持っているパートナーを選んで、一つのチームになることが大事です。多くの場合、決めたことは途中で変わるので、パートナーと早く相談していくことが良い結果となります。

Scale(育てていく)

いかに自分が後で苦労しないように準備をするのかが大事です。本質機能以外の準備ではありますが、セキュリティ、自動化、非機能要件の整備などといったところを準備しておくことが大切です。

「まずは大きく考え、小さく始めて、そして育てていくことが大事です。そのためには、心理的安全性をもとにチームを作ることが大事です。」と佐々木氏は語りました。

DevSecOpsまで引き上げていく

最後に佐々木氏は、開発を振り返り、今から自分が始めるとするならばどのようにするのか、開発の手順をまとめています。「やはり最終的にはDevSecOpsまで引き上げていかなければならない」と佐々木氏は語ります。

クラスメソッドをパートナーとした開発について「基本的には、クラスメソッドと話をするときは、アジャイルの価値観でお話をしています。社内とはウォーターフォールの価値観で話をするので、結構切り替えている部分はあります。切り替えて話をしているところで、本当にクラスメソッドの皆さんとやっているときは、楽しくやれているなと思っています。」と佐々木氏は感想を述べられました。

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