[レポート] IOT220-R:フェンダーは工場をどのように自動化しているのか #reinvent
はじめに
本記事はAWS re:Invent 2018 「How Fender is Automating Its Manufacturing Operations with AWS (IOT220-R)」のレポートです。
In this session, we explain how combining IoT and AI technologies, such as computer vision, enables you to increase the productivity of a manufacturing process. Using AWS IoT services and analytics, we show you how to sense and control environmental conditions. Finally, we show you how to quickly transition from a patrol-based model to a notification-based model for replenishment scenarios.
本セッションはYoutubeで動画が公開されています。
スピーカー
- Ryan Burke - Senior Solution Architect, Amazon Web Services
- Michael Garcia - Product Solutions Architect, AWS
- Michael Spandau - CIO, Fender Musical Instruments
- Mike Imes - IT Director, Fender Musical Instruments Corp
アジェンダ
- 産業革命の歴史とインダストリー4.0の定義について
- なぜ顧客はインダストリー4.0へ向かうのか、そこから得られる価値はなんなのか
- フェンダーがどのようにAWSとIoTを使い、工場のプロセスを変えたのか
産業の歴史
AIやIoTがどのように役立つのかを理解するために、産業革命の歴史をみていきましょう。
インダストリー1.0
- 機械化
- 蒸気機関
服飾産業で、機械化された部屋での服の作成が始まりました。
インダストリー2.0
- 組み立てライン
- 大量生産
- 電力
人々が特殊なタスクのみを行う組み立てラインが、二番目の産業革命です。
インダストリー3.0
- 自動化
- コンピューター、エレクトロニクス
タスクを行うためにロボットを利用できるようになりました。組み立てラインでは、巨大なロボットアームが車の組み立てのためにパーツを掴みます。
インダストリー4.0
- サイバーフィジカルシステム
- IoT
ロボットはお互いにコミュニケーションができるようになり、そしてCRMやERPのようなバックエンドシステムとも接続できるようになりました。 さらに、コンピュータビジョン、AI、機械学習のような先進的な技術もあります。
なぜやるか
品質について
製造プロセスは原料から始まりますが、コントロールできない要因で品質が変化します。 しかし、製品の品質は安定させたいです。 センサーデバイスの利用と自動化は、長い時間をかけた調査の代わりに、ほぼリアルタイムで変化に対する適応を可能とします。
メンテナンスについて
また、各資産はメンテナンスが必要なので、定期的に計画的なメンテナンスをしますが、これは完全に効率的とは言えません。無駄なメンテナンスを行っていることがあります。 逆に、メンテナンスをしないと予期せぬ故障により計画にないダウンタイムが発生します。 センサーでモーターやエンジンの振動を検知することで、故障を予測することができます。
大量生産から大量カスタマイズへ
スーツをインターネットでオーダーする際、ポケットの数や場所などをカスタマイズできますが、オートメーションとデバイスは非常に役立ちます。 組み立てる各パーツをトラッキングする必要があったり、全てのパーツを1つのオーダーや1人の顧客に紐付けたりする工程を最適化します。
AIoT
AIoTはAIとIoTのことです。 AWSはいくつかのデバイスのサービスを持っており、いくつかのサービスは工場にローカルでデプロイすることができます。もし全てのマイクロコントローラーに接続したければAmazon FreeRTOSがあり、AWS GreengrassのおかげでローカルにLambda Functionをデプロイできます。
インターネットが使えればデータをいつでも同期できます。フリートを管理しコントロールするためのサービスも利用したり、セキュアにスケールできます。 他のAWSサービスへのルーティングも可能です。
データの集約やクレンジングを行い、Amazon QuickSightで簡単にダッシュボードを作ることもできます。
最後にそれらをAmazon SageMakerに送ります。SageMakerで機械学習モデルをビルドし、Grengrassのエッジに送ります。 Greengrassはローカルで実行可能です。
どう導入するのか?
導入時に意識すべきこと
- 成果の定義を明確にすること
- 小さくはじめて繰り返すこと
- 最初から複雑にしすぎないこと
どう進めるのか?
- データベースにすでにデータはあるか?
- ERPシステムにすでに存在する計測データは、人力もしくはスキャナーで投入されたものだが、ITシステムと統合してクラウドで分析したり機械学習を行ったりできる
- ここから何か得られるかを学ぶことができる
- 既存のデバイスを何かと接続すべきか検討する
- ハードウェアの交換サイクルに入り、クラウドに接続されているハードウェアを得る
- それらは多くの場合、セキュリティと柔軟性をもたらす
IoTアーキテクチャのパターン
デバイスの生成したデータから知見を得て、通知ベースでアラートを発行
運用コスト改善のための伝統的な人力のプロセスを自動化
人間の決定を強化し、エッジで学習モデルから推論
フェンダーについて
最初に設立された工場
現在の工場
かんばんによる補充
4ヶ月前からIoTへの取り組みを始めました。 ゴールはコンピューターやメールのないフロアでIoTボタンによる、原料補充のリクエストを出せるようにすることです。
原料ごとにIoTボタンが配置されています。
ダッシュボードでリクエストの時間や場所を確認できます。原料を集めてダッシュボードで操作することで、通知も可能です。
アーキテクチャ
AWS IoT ButtonがAWS IoT 1-Clickに接続され、Lambda Functionを実行します。データはDynamoDBに永続化されます。同時にPusherを経由して、ダッシュボードへ通知が行われます。 システムの準備、運用は2、3週間のうちに行われました。
プロセス管理のためのIoT
非効率な管理をやめて、代わりにダッシュボードとボタンによる管理を行っています。例えば、接着剤の硬化のため2日を要しますが、このタイマーはボタンによってトリガーされます。プロセスの管理状況はダッシュボードで確認できます。
アーキテクチャ
基本的にはかんばんのシステムと同様ですが、時間を管理するためイベントでトリガーされるLambda Functionがあリます。 また、センサーで温度と湿度を計測し、永続化しています。これらもダッシュボードで確認できます。
IoTボタンによるサポート
製造エリアで働く人の多くはコンピューターを持っていないので、監督者への連絡を促す手段が必要にでした。
これらのボタンは、何か問題が起きた時のヘルプをSlack経由でリクエストできます。
アーキテクチャ
Lambda Function経由でSlackに連携しています。
木材の品質保証
複数の木材を1つに貼り合わせて1つにしたとき、組み合わせた結果見た目が良くない場合、透明度の低い色で着色します。 40パーセントのギターは木目を出す必要があり、これらの見た目を機械的によくするのがゴールです。
これはまだ難しく、構築と評価を続けています。
アーキテクチャ
撮影したデータをLambda経由でAmazon SageMakerに送っています。
まとめ
IoTが工場で実際に使われている実感のわくセッションでした。