[レポート] ブリヂストン「『つながるタイヤ』 安全・快適なモビリティの進化に向けたブリヂストンのTableau とデジタル活用」:Tableau Data Day Out 東京 #tableau
こんにちは。DI部/奈良県民のtamaでございます。
2月28日(水)に、Tableau Data Day Outが開催されました。当エントリでは、ブリヂストン「『つながるタイヤ』 安全・快適なモビリティの進化に向けたブリヂストンのTableau とデジタル活用」をレポートしてきたいと思います。
Tableau Data Day Outの詳細については、以下をご覧ください。
目次
- セッション概要
- セッションレポート
- 自己紹介
- ブリヂストンという会社について
- データ×タイヤ
- (ブリヂストンの)顧客の課題
- タイヤにおける重要なデータポイント
- タイヤデータの取得
- Analyzing Data(Tableau)
- ブリヂストンとデータの今後
- 社内メンバーからティエリ氏へQ&A
- まとめ
- 参考リンク
セッション概要
セッション概要は以下の内容となります。
セッション概要:
ブリヂストンは世界最大のタイヤ・ゴム会社として、自社の強みであるイノベーションと先進技術を通じて、社会とお客様にとって、より安全・快適で環境に配慮したモビリティの進化に取り組んでいます。
今回の講演では、ブリヂストンのデジタルを活用したモビリティ進化への取り組みとして、タイヤライフサイクル全体でタイヤデータを取得、管理、分析するために開発した独自のセンサーやソフトウェアの紹介と共に、その中でどのようにブリヂストンがTableau を活用しているかご紹介致します。
セッションレポート
※https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2017112801.htmlより
自己紹介
ブリヂストンという会社について
- 皆さんご存知の通り「タイヤ」の会社である
- 一口にタイヤといっても、色々な種類がある
- 車
- バイク
- チャリ
- 飛行機
- トラック
- バス
- 大型
- などなど…
- 一口にタイヤといっても、色々な種類がある
- 設立は80年以上前
- 社名の由来も非常に有名
- 事業規模の割合
データ×タイヤ
- 今日はタイヤの話をしにきたわけではない。データの話をするつもり。
- 普通の人にとって、「タイヤ」と「データ」の組み合わせは、あまり思いつかないと思われる
- 関連性があまり思い浮かばないのでは?
- タイヤのよくあるイメージとしては、黒いとか汚いなど
(ブリヂストンの)顧客の課題
BtoB事業の顧客(商用タイヤ)
- 何万台の車両分のタイヤが存在
- これらは、燃料や人件費と同じように、常にコストがかかる
- 資産としても扱われる
- タイヤの資産価値 = 「タイヤにかかるコスト / マイレージ(走行距離) 」
- タイヤがスクラップされる前に走行しきれるか(使い切れるか)
- 大きな課題は走行距離のデータを見ること
- 実はこれはシンプルなことではない
タイヤは全部同じようにみえるが…
- タイヤは車両上で動くものなので、複雑になりがち
- 例えばアクセルの踏み具合も関係してくる
- 他の車両にタイヤを移すこともある(再利用)
- 「リトレッド」と言う
- 顧客の資産(タイヤ)の状態をそれぞれ追跡することが重要
- タイヤのパフォーマンスを測定する
- タイヤのコストはBMW車に匹敵するくらい高い
タイヤにおける重要なデータポイント
内圧
- これが維持されないと、タイヤの寿命が短くなる
- 内圧が20%減ると、寿命も20%減る
- 燃費も高くなる
- 内圧が低すぎると、逆にタイヤが破損する
- タイヤ破損→顧客の配送ビジネスが損なわれる
温度
- 鉱山車両用タイヤで特に重要なデータ
- 大型車両なのでタイヤ代に数百万かかる
- 温度が上がると、内部温度も上昇する
- 内部温度が高すぎると、ゴムと金属の間の部分が損傷する→寿命が減る
- タイヤの内部の温度を測定し、運用サイクルを測定する必要がある
タイヤデータの取得
- タイヤのデータを取得できるデジタルアセットを構築
- 自社エンジニアリングや顧客にとってインサイトを得るため
- どういったタイヤを設計するべきか等
データ取得のためのデジタルツールたち
- 顧客先のデータ(タイヤ自体のデータ)について
- タイヤのメンテナンスは非常に重要なビジネス
- 「toolbox」(タイヤそのもののデータを取得)
- メンテナンス時にこのツールを使用し、タイヤの情報を取得する
- 全体的なタイヤ状況を測定し、全て記録する
- タブレットとかで内圧をチェック
- ゴムの残りも測定
- 世界中の社員がタイヤの状態を観測できる
- データを共有することが大事
- 「tirematics」(走行中のタイヤデータを取得)
- 車両上(道路上)のタイヤの状況を観察できる
- 組み込み式のセンサー(B-TAG)をタイヤに搭載している
- 鉱山車両用に設計されている
- 温度や内圧がPCやスマートフォンで確認できる
- ネットワークを通じてデジタルソリューションチームにデータを送信
- 「BASYS」(リトレッドに関するデータを取得)
- タイヤが摩耗してくると、リトレッドセンターに運ばれる
- センターにてゴムのコーティング等を実施
- リトレッド中にタイヤデータをトラッキングしている
- それがBASYSというシステム
- タイヤ個別に貼られているバーコードをスキャン
- タイヤデータを記録してリトレッドを行う
- 工場内にはワークステーションが設置
- タイヤの今までのプロセスが全部登録されてる
- リトレッドできない状態の場合、その知らせが飛ぶ
- それがBASYSというシステム
- タイヤが摩耗してくると、リトレッドセンターに運ばれる
Analyzing Data(Tableau)
Tableauについて
- 2011年ごろから使用している
- かなり古いユーザーだと思う
- 部門毎に導入し使用していた
- 従来はIT部門にデータ抽出を依頼していたが…
- とにかく遅い
- レポートを出せることにはビジネス状況は既に変わっている→レポートが無意味
- Tableauはビジネスユーザが直接データにアクセスできる
- 先ほど紹介した方法で取得したタイヤデータをクラウドシステムで処理し、Tableauでビジュアルアナリティクスを行っている
- 営業やエンジニア辺りが使用する
- ビジュアライズした結果は顧客にも公開している
- カスタマーポータル上に公開
Tableauの使用状況
- Tableau Serverのコア数:48
- Tableau Serverのインタラクター数:471
- 200〜300のダッシュボードが存在している
- Tableau Desktop:580
Tableauユースケース
-
リトレッドでタイヤの品質が維持されているかチェック
- タイヤがリトレッドできない理由を顧客も知ることが出来る。
- 顧客はリトレッドしたいと考えている(タイヤは再利用できる方がよいから)
- できない理由をKPIとして表示
- タイヤがリトレッドできない理由を顧客も知ることが出来る。
- 「toolbox」のデータ可視化
- タイヤのパフォーマンスをモニタリング
- 地図にデータをプロットしている
- 国別にタイヤパフォーマンスを見ている
- 「B-TAG」のデータ可視化
- 内圧のモニタリング等
- タイヤのメンテナンスをちゃんと行っているか分かるデータビジュアライズ
- 顧客に公開
- タイヤの予防保守(故障予知)
- メンテナンスのスケジュールを立てることができる
なぜTableauなのか
- エンドユーザーが簡単に質問に答えることが出来る
- 操作が簡単
- 顧客に公開するため外観が美しい必要がある
- Tableauは非常に美しい
- 使用者が意識しなくてもアウトプットが綺麗
- 簡単にシェアできる
ブリヂストンとデータの今後
データ分析について、先進的な取り組みをされているように思えますが、データ分析に関してやれることはまだまだたくさんあると考えています。特に重要な4つの事項についてお話します。
モバイルはまだ活用しきれていない
- ダッシュボードの95%はWEBブラウザから見られている
- モバイルフレンドリーなダッシュボードを設計できていないため
ビッグデータ(もっとデータを)
- 車両データもとれたらよりインサイトが得られる
- タイヤの性能がよりわかるから
- この取組には長時間かかる
大型車両の顧客にもっとデータを提供していく
- 全てのインボイス、課金データ、メンテナンス、性能に関するデータを、顧客に提供したい
- すでに着手しはじめている取組
マインドセットの変革(風土改革)
- 全社員をデータメインの文化に持っていきたい
- 既に第一歩は踏み始めた
-
ブリヂストンには14万人くらい社員がいる
- データ分析のパワーユーザーを増やしたい
- カジュアルユーザーはどうする?
社内メンバーからティエリ氏へQ&A
- B-TAGから取得できるデータについて教えてほしい
- 内圧、温度
- アクセル使用データ
- GPS
- 過酷な環境でどうやってタイヤの寿命をのばせるか、データをもとに考えている
- B-TAGは何年持つ?
- バッテリーは5,6年もつ
- B-TAGはデータはどこへ送信されるのか
- 実は顧客のサーバに直接送られることもある
- もちろん自社サーバにも送られる
- UUID(Universally Unique Identifier)について何か考えているか
- 課題の1つである
- タイヤにRFIDを振りたいと考えている
- タイヤレベルでデータを集計できるようになる
- 今はバーコードがある
- ティエリ氏はシステムの設計も携わっているのか
- 携わっている
- 日本本社はとてもユニーク
- 実装もサポートも自社でやってる
- セッション中に出てきたカスタマーポータルを使用するのは誰か?
- 中規模及び大規模の運輸企業
- 大型車両のタイヤは契約式(家庭用とは異なる)
- 昔はPDFで共有していたが、顧客からデータ自体がほしいと言われた
- たくさんのPDFファイルが飛び交っていた
- レポートに一貫性を保てなかった
- たくさんのPDFファイルが飛び交っていた
- 中規模及び大規模の運輸企業
- 会社紹介のスライドで、なぜ円グラフを使用した?
まとめ
私は自分の車のタイヤすらほとんど意識したことはありませんでしたが、商用の大型車両のタイヤにかかるコストを聞いて、とても驚きました。
ブリヂストン社のような大企業の場合、動きが遅く、ビジネスを変革することは難しいと思いがちですが、今回のセッションを受けて、ブリヂストン社のデータ分析のビジネスへの導入の仕方と考えが非常に綺麗だと感じました。
- 運送事業社等の車両の商用タイヤのコスト大(顧客の課題)
- 顧客のタイヤコストを抑えてあげれば顧客満足度は向上する(自社の課題)
- タイヤコストを効果的におさえるためにはタイヤの状態データを分析する必要がある(分析の目的)
- タイヤの状態データを取得する必要がある→各種デバイスとデータ取得を各業務フローに配置(分析の準備)
- 取得したデータをTableauで可視化し、タイヤの状態を分析、顧客へ公開(分析の可視化)
- 顧客満足度上昇
自社ビジネスにおける課題を認識し、データ分析における重要な要素である「何のためにデータ分析をするのか(目的)」をしっかりと定めています。もちろんセッションでは語られない紆余曲折もあったとは思いますが、ビジネス課題からデータの分析・可視化まで、データ分析のサイクルを回せているところは素晴らしいと思いました。
参考リンク
当セッションに関連がありそうなリンクをまとめてみました。
- タイヤ売らないブリヂストン、再生ビジネスで稼ぐ :日本経済新聞
- タイヤを売らずに稼ぐタイヤメーカー、ブリヂストンが目指す変革の目的地 (1/3) - MONOist(モノイスト)
- 運送事業者様の安全運行と経済性に貢献するトラック・バス用タイヤのデジタルソリューションツール「Toolbox」を刷新 | ニュースリリース | 株式会社ブリヂストン
- 運送事業者様の安全運行と経済性に貢献するデジタルソリューションツール ゲート式「Tirematics」を刷新 | ニュースリリース | 株式会社ブリヂストン
- Tirematics Bridgestone - YouTube
- 鉱山車両向けタイヤ空気圧・温度管理システムの販売を開始 | 株式会社ブリヂストン
- Bridgestone Mining - B-TAG - YouTube
- 運送事業者様の安全性と経済性に貢献する リトレッドタイヤ用デジタルソリューションツール「BASys」を刷新 | ニュースリリース | 株式会社ブリヂストン