Amazon Q in Connectセルフサービスでは、チャネルが音声の場合、LexログのinputTranscriptは空になります
困っていること
Amazon Q in Connectセルフサービスにおいて、音声通話でユーザーが発言した内容を確認したいのですが、Amazon LexログのinputTranscriptフィールドが空文字列("")になってしまい、ユーザーの発話内容を確認することができません。
通話品質の監査やトラブルシューティング、データ分析による業務改善のために、ユーザーの実際の発話内容をログから確認したいのですが、現状では困難な状況です。
回答
実際に検証した結果、音声通話ではinputTranscriptが空になり、チャットでは発話内容が記録されることが確認できました。
検証結果
Amazon Q in Connectセルフサービス(Amazon LexでAMAZON.QinConnectIntent
インテントを利用する場合)において、音声通話とチャットの両方でテストを実施した結果、以下の動作を確認しました。
音声通話の場合
{
"timestamp": "2025-09-03T02:15:53.966Z",
"requestAttributes": {
"x-amz-lex:channels:platform": "Connect"
},
"inputMode": "Speech",
"inputTranscript": "",
"missedUtterance": true,
...
}
"x-amz-lex:channels:platform": "Connect"
"inputMode": "Speech"
"inputTranscript": ""
(空文字列)"missedUtterance": true
チャットの場合
{
"timestamp": "2025-09-03T02:13:16.446Z",
"requestAttributes": {
"x-amz-lex:channels:platform": "Connect Chat"
},
"inputMode": "Text",
"inputTranscript": "こんにちは",
"missedUtterance": true,
...
}
"x-amz-lex:channels:platform": "Connect Chat"
"inputMode": "Text"
"inputTranscript": "こんにちは"
(ユーザーの入力内容が記録)"missedUtterance": true
動作の違いまとめ
チャネル | inputMode | inputTranscript | 発話内容の記録 |
---|---|---|---|
音声通話 | Speech | 空文字列("") | ❌ されない |
チャット | Text | ユーザー入力内容 | ✅ される |
なお、他のインテントの場合は、チャネルが音声であってもLexログのinputTranscriptは空にならず、文字起こし内容が確認できます。
代替案:Q in Connect側のログを活用
音声通話でのユーザー発話内容を確認したい場合は、Q in Connect側のログのutterance
フィールドを使用することで確認できます。
ユーザー発話内容の確認方法
Q in Connect側のログでは、event_type
がTRANSCRIPT_UTTERANCE
のログイベントに、ユーザーの発話内容が記録されます。
{
"event_type": "TRANSCRIPT_UTTERANCE",
"session_id": "9538c045-217c-4105-8b80-4aae0f2557dc",
"utterance": "[CUSTOMER] メールアドレスの変更方法を教えてください",
"session_event_id": "e24d3a34-1b08-4a85-a3b5-bb1b596913e4"
}
このutterance
フィールドには、ユーザーが実際に発話した内容が[CUSTOMER]
というプレフィックス付きで記録されます。
コンタクトIDとQ in Connectログの紐付け方法については、Amazon ConnectのコンタクトIDごとにAmazon Q in Connectのログを確認する方法をご参照ください。
ログの特徴と注意点
Lexログの特徴
- コンタクトごとにログストリームが分かれており、検索しやすい
- 音声通話時はinputTranscriptが空になる
- チャット時はinputTranscriptにユーザー入力が記録される
Q in Connectログの特徴
- 1つのログストリーム内で全コンタクトが保存されるため、検索性が悪い
- チャネルが音声通話やチャットのどちらの場合でも、utteranceフィールドにユーザーの発話内容が記録される
AMAZON.QinConnectIntent
から別のインテントに切り替わる場合、Q in ConnectのロググループからLexのロググループに移動して確認する必要がある
コンタクト詳細ページでの表示について
チャネルが音声の場合、LexログのinputTranscriptが空になる点に関連して、コンタクト詳細ページにおいて、AMAZON.QinConnectIntent
インテントの場合、ユーザーの発話内容の文字起こしが確認できません。
AMAZON.QinConnectIntentの場合
他のインテントの場合は、チャネルが音声であってもLexログのinputTranscriptは空にならず、コンタクト詳細ページでも文字起こし内容が確認できます。
他のインテントの場合
まとめ
現時点では音声通話におけるLexログのinputTranscriptは空になる仕様のため、顧客の発話内容を確認したい場合はQ in Connect側のログのutteranceフィールドを活用することをお勧めします。
音声通話時にもLexログのinputTranscriptに発話内容が記録されるよう、AWSサポートにフィードバックしました。
将来的な改善を期待しつつ、当面は代替案での運用を検討することが現実的な対応となります。