[セッションレポート] 制作現場が変わる!アニメ・ゲーム・ CG/VFX なお客様に贈るクラウドコンテンツ制作入門(AWS-64)#AWSSummit

[セッションレポート] 制作現場が変わる!アニメ・ゲーム・ CG/VFX なお客様に贈るクラウドコンテンツ制作入門(AWS-64)#AWSSummit

Clock Icon2025.06.29

カスタマーサクセス部 運用支援チームのいたくらです。

本記事は 2025 年 6 月 25 - 26 日の 2 日間開催された AWS Summit Japan 2025 のセッションレポートです。

セッション情報

  • セッション ID : AWS-64
  • タイトル : 制作現場が変わる!アニメ・ゲーム・ CG/VFX なお客様に贈るクラウドコンテンツ制作入門
  • スピーカー : 濵野 栞(アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 技術統括本部 ストラテジックインダストリ技術本部 メディアソリューション部 ソリューションアーキテクト)
  • レベル : 200
  • テーマ : Cloud Infrastructure
  • セッション概要(引用)

    コンテンツの制作環境には、コスト効率を重視しながらも、必要に応じてリソースを柔軟にスケールイン・スケールアウトできる環境が求められています。また、地理的に分散したクリエイターがセキュアに作業できる環境も不可欠です。このセッションでは、主にワークステーション、ストレージ、レンダーファームの観点で、AWS 上にコンテンツの制作環境を構築する際に活用できるサービスを事例とともに解説します。

  • 6月26日17時 - 7月11日19時 までオンデマンド配信で視聴可能です!

セッション内容

1. コンテンツ制作業界のトレンドと課題

  • トレンド
    • コンテンツ制作量が増加
    • チップ不足により高性能なマシンの調達が困難
    • 人材不足が進み、働き方の多様化が求められている
  • 制作現場が抱える課題
    • 増え続ける制作データを安全に管理することが困難
    • 制作量が増加しても、必要なリソースを増やすことが困難
    • オフィスに行かないと作業ができない

2. クラウド移行の全体像

  • クラウド移行のメリット
    • 容量無制限で高耐久なストレージにデータを安全に保管可能
    • 必要なときにすぐに高性能なマシンを確保可能
    • どこからでも作業可能 → 働き方の多様化に対応可能
    • ⇒ クラウドへ移行することで制作現場の課題を解決し、より質の高い作品制作に集中できる環境を構築可能
  • 制作システムの主要な構成要素
    • ストレージ:制作データを共有・保存
    • レンダーファーム:レンダリングを高速化するための計算専用サーバー群
    • ワークステーション:実際に作業を行う高性能なコンピュータ
      1-1.jpg
    • クラウド移行すると下図の構成例のように変化
      2.jpg
  • クラウドスタジオ事例(ロード・オブ・ザ・リング リングオブパワー)とクラウドレンダリング事例(アバター ウェイ・オブ・ウォーター、株式会社毎日放送)の紹介

3. 制作環境の構築ステップ

  • クラウドでの制作環境は、主に「ストレージ」、「レンダーファーム」、「ワークステーション」の 3 つのステップで構築が進められる

3.1. ストレージ

  • ストレージの課題
    • クリエイター:安全かつ高速に読み書きできるストレージに保管したい
    • システム管理者:すぐに容量を増やせないことや、紛失・破損のリスクを心配している
  • 制作に用いることが多いストレージ
    • Amazon Simple Storage Service (S3)
    • Amazon FSx for NetApp ONTAP
  • Amazon Simple Storage Service (S3)
    • 少なくとも 3 つの AZ にデータを格納することで 99.999999999% (イレブンナイン) の耐久性を提供
    • 複数のストレージクラスを使い分けることでコスト最適化が可能
      3.jpg
  • Amazon FSx for NetApp ONTAP
    • 1 ミリ秒未満の低レイテンシーと階層化ストレージが特徴で、制作中のデータ利用に最適
      4-1.jpg

3.2. レンダーファーム

  • レンダーファームの課題
    • クリエイター:レンダリングリソースが足りない
    • システム管理者:需要に合わせたリソース調達が難しく、ハードウェアのスペースも限られている
  • オンプレミスリソースでは賄いきれないピーク時のレンダリング需要を、クラウドレンダーファームであれば補うことが可能
  • AWS Deadline Cloud
    • スケーラブルなレンダーファームを構築・管理できるサービス
    • コンソール上でレンダリングの進捗やコストを可視化可能
    • キューごとに予算を設定、アラートによるコスト管理が可能
    • AWS コンソールで Deadline Cloud ファームを構築後、ワークステーションに Deadline Cloud モニターとサブミッターをインストールし、Deadline Cloud へジョブをサブミットすることでレンダリングを開始可能
      5.jpg
  • デモ動画の一部(静止画で紹介)
    6.jpg
    7.jpg
    8.jpg
    9.jpg
    10.jpg

3.3. ワークステーション

  • ワークステーションの課題
    • クリエイター:ストレスなく作業できる高性能なマシンで作業したい、オフィスかリモートか選びたい
    • システム管理者:クリエイターが増えるたびに実施するキッティング作業や、スペース・電源の制限に直面
  • クラウドワークステーション
    • AWS 上の高性能なコンピュータをリモートから操作し、画面をストリーミングして作業を行う形式
    • Amazon DCV を使用すれば⾼速な画⾯転送を実現可能
    • 利用者(クリエイター)が多くなってきた場合は、Amazon EC2 + Amazon DCV から Amazon AppStream 2.0 へ移行すると管理負荷を軽減可能
      11.jpg

4. すぐに始めるためのアクションプラン

  • 制作環境の構築ステップ例を参考に、以下のアクションを実施
      1. 優先順位を決める
      1. スモールスタート、段階的導入
      1. 利用開始後モニタリング

感想

アニメ・ゲーム・ CG/VFX に関連したご支援に関わったことはありませんが、そういった業界に興味はあるので聴講しました。
印象的だったのはこの業界にも業界特化型の AWS サービス(AWS Deadline Cloud)が存在していることです。偶然ですが、別セッションにて医療・製薬業界特化の AWS サービスの存在を知り、別業界でもこういったサービスが存在しているのかなと気になっていたところ、本セッションで 初めて AWS Deadline Cloud を知りました。
業界特有の課題・悩みを解決してくれるサービスが存在するのは、利用者目線でとても助かるなと思いました。
併せて Amazon DCV も初めて知りました。高性能のリモートディスプレイプロトコルを提供しているサービスです。Amazon EC2 で Amazon DCV サーバーを使用する場合は追加料金が発生しないのは嬉しいですね(ちなみに DCV は Desktop Cloud Visualization の略のようです)。
関わったことがない業界のセッションを聞くと新たなサービスが知れて面白いです。

以上、本レポートが参考になりましたら幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。

アノテーション株式会社について

アノテーション株式会社はクラスメソッドグループのオペレーション専門特化企業です。
サポート・運用・開発保守・情シス・バックオフィスの専門チームが、最新 IT テクノロジー、高い技術力、蓄積されたノウハウをフル活用し、お客様の課題解決を行っています。
当社は様々な職種でメンバーを募集しています。
「オペレーション・エクセレンス」と「らしく働く、らしく生きる」を共に実現するカルチャー・しくみ・働き方にご興味がある方は、アノテーション株式会社 採用サイトをぜひご覧ください。

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.