[現地レポート]Amazon Oneを用いたストレスフリーな入退店と支払い体験

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Amazon Oneとは

こんにちは、米国シアトルに滞在中のあかりです。今回は、Amazonの最新型の店舗を巡る中で見つけた、Amazon Oneという仕組みについてご紹介します。Amazon Oneは、手のひら(おそらく静脈)パターンをIDとして登録することで、ホールフーズなどのスーパーや小売店での支払いや、Amazon Goなどの店舗などでの入場に用いることができるサービスです。

https://one.amazon.com/

Amazonと関係のある87の施設で既に利用可能となっています。現地に居ますので、さっそく店舗にて早速使ってみたいと思います!

Amazon Fresh

Amazon Fresh(旧Amazon Go Grocery) Capital Hill

Amazon Freshは、生鮮品を扱うスーパーマーケットです。シアトル内には何店舗があります。最初に訪問したのは、Capital HillにあるAmazon Fresh(旧Amazon Go Grocery)です。この店舗は、Amazon Goと同じ体験を提供している店舗で、最初にAmazon Goアプリまたは、Amazon Shoppingアプリをスマホにインストールして利用する必要があります。以前、シアトルのダウンタウンでAmazon Goを体験していましたので、アプリはインストール済みで、スマホのQRコードをかざして入店することができました。この店舗では、Amazon Oneは導入されておらず、入店時にはスマホにインストールされたアプリが必須となっていました。

Amazon Fresh Jackson St

次に訪れたのは、Amazon Fresh Jackson Stです。この店舗の入り口には、Amazon Oneの登録機械が設置されていましたので、早速登録してみました。

まず始めに、サインアップをタップして、両手のひらを登録します。次にクレジットカードを差し込んで完了です。登録の際には米国内の電話番号を求められますので気をつけてください。後は、買い物かごを持って店内で商品を取り、普通に有人レジに並びます。そして、お会計のときに「Oneでお願いします」と伝えて、レジに設置してあるAmazon Oneの手のひら読み取り機に手をかざして完了です。スマホもクレカも取り出さない体験は楽ですね!

ちなみに、この店舗は、Dash Cartという商品スキャンを自動で行ってくれるカートに対応した店舗でもあります。スマホアプリのQRコードをカートにかざすことで、顧客を認識しまして、買い物かごに商品を入れるときに、商品をスキャンしてデジタルな買い物かごにも登録されます。そして、無人のレーンを通り過ぎると支払いが完了するという面白いソリューションです。現時点では、Dash CartとAmazon Oneは連動しておらず、それぞれ別の体験として共存していました。

Amazon Fresh Factoria

次に訪れた店舗は、Amazon Go型の店舗かつ、最大規模の生鮮食品スーパーです。Amazon Goって、ちょっとお菓子を買うような小さな店舗だよね?と思っていた方は考えを改めてください。どデカいスーパーで、野菜も肉もお惣菜もカメラセンサーなどで認識してレジなしで購入できてしまいます。この店舗では、店舗に入場する際に、Amazon Oneを用いることができます。早速やってみましたが、エラーが表示されました。

この店舗では、事前にAmazon OneとAmazon Shoppingのアカウントを連携しておく必要がありそうです。そこで、店内にあるAmazon One登録機で情報をアップデートしたいと思います。この店舗のAmazon Oneの画面には、アカウントをリンクするというメニューがあります。これを用いることで、手のひらとAmazonアカウント(Amazon Shoppingアプリ)とクレジットカードが連携されました。

それでは、様々な方法で入店したいと思います。入場ゲートには、手のひら、アプリのQRコード、クレジットカードの3種類の方法で入場できることがわかります。一度連携してしまえば、手ぶらで来店することもできますし、登録済みのクレカで入場もできますし、アプリのQRでも入場できます。実際に何度もやってみましたが、とても自然で便利でした。

様々な入退場パターン

ここでは、入退場について様々なテストケースを試してみたいと思います。

登録されていないクレジットカードを用いる

まずは簡単なところからです。Amazonアカウントと連携していないクレジットカードで入場できるか試してみました。やはりエラーが出ました。ゲストとしては入場できないようです。

入場と退場で異なる方法を用いる

3つのどの方法でも入場ができるということは、裏でIDが繋がっているということですね。そこで、入場と退場で異なる方法を試したみたいと思います。結果からいうと、どの組合せも問題ありませんでした。

グループで入店する(2人まとめて)

入店ゲートには、「Scan once per group」という表示があります。1人の代表者が手のひらやクレカをスキャンすれば、ゲートからまとめて複数名で入れます。また、出るときも同じように、1回スキャンすればグループで退店ができます。なお、グループで入店した後に、1人だけで退店してしまうと、残った人が出れなくなりますので気をつけてください。このときは、店舗内に居るスタッフに声を掛けると、社員カードをゲートにかざすことで、外に出してくれます。

グループで入店する(2回スキャン)

こちらも問題なく動きました。1回目スキャンしたあとに同行者を入店させ、2回目に同じスキャンをした跡に自分で入店します。

別ブランドの店舗に入店する

Amazon Oneに対応した別ブランドの店舗には、Amazon Books、Whole Foods Marketなどがあります。今回は、Amazonが買収したオーガニック野菜などが売りの食品スーパーのWhole Foods Marketで試してみました。入退店のゲートはなく、有人レジかセルフレジによるチェックアウトとなります。現時点ではセルフレジではAmazon Oneに対応していません。有人レジでAmazon Oneを使ってみましたところ、クレジットカードの再確認が必要だとエラーが表示されました。おそらくブランドが異なるため、なにかの法律やレギュレーションに対応するために再確認する必要があるのかなと思いました。

加盟店を募集中?

Amazon Oneのホームページでは、この手のひらを使った支払いについて、ビジネス利用したい企業を募集しているようでした。

まとめ

Amazon One自体は、Amazon One IDという顧客識別情報のみをクラウドサービスとして提供し、手のひらをかざしたときにマッチすれば、顧客のシステムにテナント毎にユニークなソルト値でハッシュした値を送信しているのかなと想像しました(LINEアプリとかと同じ感じ)。これにより、Amazon One自体は認証に特化し、ブランド毎に購買情報などが流通しないことを保証する仕組みになっているのかなと。一昔前ですと、どの企業もテナント横断的に一意なIDを繋げてマーケティングに利用していましたが、今は時代が変わり、テナント横断的に顧客情報を追跡することは非推奨となっているような気がします。おそらく、Amazon Oneもそのような思想のプラットフォームなのではと思いました。自社の店舗を実験台として体験を磨き、失敗を恐れず様々な利用シーンを実現し、それを他社に提供するAmazonのいつものやり方が垣間見える取り組みでした。

参考資料

Amazon One