
【レポート】セッション「Introducing DCM-as-a-Service for Alteryx Cloud Execution(DCM-as-a-ServiceによるAlteryx Cloud実行の導入)」– Alteryx Inspire 2025 #AlteryxInspire
こんにちは、まつおかです。
2025年5月12日(月)~5月15日(木)まで、アメリカ・ラスベガスで開催されたAlteryxの年次カンファレンスイベント「Inspire 2025」に現地参加してきました。
当エントリではイベント4日目に行われたセッション「Introducing DCM-as-a-Service for Alteryx Cloud Execution(DCM-as-a-ServiceによるAlteryx Cloud実行の導入)」のレポートをお届けします。
セッション概要
当セッションの概要は以下のとおりです。
概要
Explore how DCM-as-a-Service enhances Cloud Execution workflows with centralized connection sharing, collaboration, and scalable features, paving the way for advanced future capabilities.
DCM-as-a-Service が、接続の集中管理、チーム間のコラボレーション、スケーラブルな機能を通じて Cloud Execution ワークフローをどのように強化するのかを探ります。これにより、将来の高度な機能拡張への道が開かれます。
※ DCM-as-a-Service は2025年後半にパブリックプレビューを開始予定の機能です
登壇者
- Pavel Pankov 氏
- Sr. Product Manager at Alteryx
セッションレポート
今日は、データ接続の管理方法に大きな進化をもたらす新しい機能についてお話ししたいと思います。私たちは「DCM-as-a-Service for Cloud Execution Desktop」略して「DCM-as-a-Service」を導入します。
アジェンダ
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クラウド接続管理の簡素化
DCM導入前は接続設定が手作業で非効率かつセキュリティ面に課題がありましたが、DCMを使用することにより接続情報を安全に一元管理でき、手動設定やパスワード共有が不要になります。
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環境を超えた運用とコラボレーションの実現
これまではデスクトップとクラウド間での接続共有が困難でしたが、DCM-as-a-Service により同じ接続情報を両方の環境で利用でき、ワークフローの共有や実行も安全かつ一貫して行えるようになります。
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安全かつスケーラブルな接続の保存
DCMでは資格情報が暗号化され、アクセス制御も厳格に行われます。管理者は利用状況を可視化でき、組織全体で安全かつ統一された接続管理が可能になります。
DCM-as-a-Serviceの位置づけ
「DCM-as-a-Service」はAlteryx Analytics Cloudの「Cloud Execution for Desktop(Cloud Execution)」の一機能として提供されます。
- Cloud Executionの概要
- ユーザーがデスクトップ版で作成したワークフローをクラウド上に保存、スケジューリング、実行できる機能
- アプリケーションはデスクトップやデータセンターではなくAlteryxのクラウド上にホスト
- 既存のデスクトップ版Designerの使い勝手を保持しつつ、クラウドスケールでの実行・管理が可能
- Cloud Executionの特徴
- ワークフローの変換ツールではなく、デスクトップ版で作成したワークフローはクラウド上の直接編集はできない
- Alteryx Analytics Cloudの「Plans」機能を使うことで、Cloud ExecutionとDesigner Cloudのワークフローを一元的にオーケストレーション可能
- Cloud Executionの目的
- ローカル環境の開発投資とクラウド移行の両方から最大のリターンを得ること
- 強力なローカルワークフロー開発を活かしつつ、クラウドで安全かつスケーラブルに実行するモデル
- DCM-as-a-Serviceの役割
- Cloud Executionに含まれ、追加料金なしで利用可能
- データ接続を中央管理し、環境を問わず安全に利用できる仕組みを提供
想定ユースケース
今日のセッションでは、クレアとピートの立場に立って、DCMがどのように彼らの課題を解決するのかを見ていきます。
- Centralized Claire(クレア)
- 組織全体の接続を管理、セキュアでスケーラブル、かつガバナンスの効いた運用を担う
- Platform Pete(ピート)
- ローカルとクラウドの両方を使いこなし、シームレスに接続を動かしたいと思っている
DCMが必要な理由
- 複数環境にまたがる接続管理は煩雑
- 資格情報がワークフロー、個人PC、サインイン中のデスクトップなどに散在
- アクセス制御が困難で、セキュリティ確保が難しい
- クラウド移行が進む中、中央集約型の接続管理が必要
- DCM-as-a-Serviceの目的
- シンプルな接続管理
- ユーザー間・環境間のコラボレーションが可能
- プラットフォーム全体でセキュリティを強化
DCM-as-a-Serviceはハイブリッドなワークフロー実行を簡単・拡張可能・安全にするための土台なのです。
DCM-as-a-Serviceのメリット
- セキュリティ
- 認証情報は保存時も転送時も暗号化
- アクセス権限は管理者が制御
- 誰がどの接続を使用しているか可視化
- 今後は既存の認証情報管理システム(Azure Key Vaultなど)との連携も可能に
- シームレスなコラボレーション
- 接続を安全に保存し、チームと共有可能
- 「閲覧」 「編集」 「使用」を細かく制御
- 認証情報を共有せずワークフローを安全に実行可能
- 環境をまたいだ資産の活用
- 一度作成した接続をローカルでもクラウドでも変更なしに利用可能
クレアとピートの操作フロー
■ クレア
- ピートを招待し、デスクトップユーザーとして設定
- 接続を作成し、認証情報を設定
- 接続をピートに共有(今回は資格情報の共有はしない)
これでピートは自分のDesignerに接続情報を同期することができ、主導で資格情報を入力することなく使用可能になります。
■ ピート
- Designerからクラウドに接続
- 接続マネージャーでクレアから共有された接続を同期
- 自分の資格情報を接続に紐づけ
- ワークフロー構築時、データ入力ツールの接続設定で対象の接続選択
- 接続情報はワークフローファイルにハードコートされたり、手動で保存されたものではなく、接続マネージャーから読み込む
- クラウドへ保存、実行
この一連の流れにより、ピートはローカルでもクラウドでも同一の接続情報を使用し作業を進めることができます。
今後のロードマップ
- サードパーティのクラウドVaultと統合
- Azure Key Vaultなどの認証情報マネージャーとも連携可能に
- 環境接続の強化
- 開発、テスト、本番環境間でのワークフロー自動接続更新
- ガバナンス強化
DCM-as-a-Service は2025年後半にパブリックプレビューを開始予定で、現在は最終調整段階にあります。
セッション最後のQ&A
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カスタムツールでも DCM 接続は利用できますか?
初期リリースでは非対応ですが、新SDKを2025年内にリリース予定です。
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認証情報の共有はクラウドからデスクトップへも可能ですか?
可能です。暗号化された状態で安全に共有されます。
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ODBC接続の構成が簡略化されますか?
はい、バージョン 23.2 以降ではDSNレス接続が可能ですので、DCMから全ての構成が設定可能です。
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複数ユーザーで同じ資格情報を使っている場合、実行ユーザーを識別できますか?
はい、接続IDとユーザーコンテキストにより実行履歴が記録されます。
さいごに
Alteryxが提供する新しい統合プラットフォーム「Alteryx One」では、デスクトップとクラウドを組み合わせたハイブリッドな利用が可能になります。
その中で、DCM-as-a-Serviceは接続を一元的に管理するための重要な機能となります。
より便利に、そして安全にワークフローを実行できる環境の実現に向けて、DCM-as-a-Serviceの早期リリースを期待しています!