API Gateway+Lambda構成における統合タイプ選択の意思決定フロー

API Gateway+Lambda構成における統合タイプ選択の意思決定フロー

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はじめに

Amazon API GatewayとAWS Lambdaを組み合わせてサーバーレスAPIを構築する際、統合タイプとしてプロキシ統合(AWS_PROXY)か非プロキシ統合(AWS)のどちらかを選択する必要があります。この記事では、適切な統合タイプを選択するための意思決定フローを解説します。

統合タイプの基本的な違い

Lambda プロキシ統合(AWS_PROXY)

プロキシ統合では、API Gatewayはリクエスト全体をそのままLambda関数に渡し、Lambda関数は特定の形式でレスポンスを返します。

主な特徴

  • クライアントリクエストの詳細(ヘッダー、クエリパラメータ、パスパラメータ、ボディなど)がすべてLambda関数に渡される
  • Lambda関数側でリクエスト処理の柔軟性が高い
  • Lambda関数は特定のレスポンス形式(statusCode、headers、body、isBase64Encodedを含むJSON)に従う必要がある
  • マッピングテンプレートは不要

Lambda 非プロキシ統合(AWS)

非プロキシ統合では、API GatewayとLambda関数の間でデータの変換を行い、リクエストやレスポンスの形式をカスタマイズできます。

主な特徴

  • リクエストマッピングテンプレートとレスポンスマッピングテンプレートを使用
  • VTL(Velocity Template Language)を使用してデータ変換ロジックを記述
  • Lambda関数は任意の形式でデータを返せる(API Gateway側でクライアントに返すレスポンス形式に変換)
  • API Gateway側でより細かな制御が可能

統合タイプ選択のための意思決定フロー

以下の意思決定フローを参考に最適な統合タイプを選択できます。

プロキシ統合が適している状況

1. 柔軟なAPI実装が必要な場合

プロキシ統合では、すべてのリクエスト情報がLambda関数に渡されるため、関数内でのリクエスト処理の柔軟性が高まります。クライアントからのリクエストパターンが多様で、リクエスト処理ロジックが頻繁に変更される場合に適しています。

2. 迅速な開発と頻繁な変更が必要な場合

API Gatewayの設定を最小限に抑え、ほとんどのロジックをLambda関数内に実装できるため、開発サイクルが高速化します。フロントエンドとバックエンドの開発者が密接に連携している環境で効果的です。

3. 複数のHTTPメソッドやリソースで同様の処理が必要な場合

特にプロキシリソース({proxy+})と組み合わせることで、多数のエンドポイントを単一のLambda関数で処理できます。マイクロサービスのAPIゲートウェイとして機能させる場合に有用です。

4. モノリシックなバックエンドをラップする場合

既存のアプリケーションやサービスをLambda内で呼び出し、その結果をAPIレスポンスとして返す場合、プロキシ統合のシンプルさが有利です。

非プロキシ統合が適している状況

1. Lambda関数の再利用性を高めたい場合

Lambda関数をAPI Gateway以外のサービス(Step Functions、EventBridge、別のLambda関数など)からも呼び出す場合、非プロキシ統合によってAPI Gateway固有の入出力形式に依存しない関数を設計できます。

2. リクエスト/レスポンスの変換が必要な場合

クライアントから受け取るリクエスト形式と、バックエンドで処理する形式が大きく異なる場合、マッピングテンプレートを使って効率的に変換できます。特に複雑な変換ロジックはVTLで記述するほうが効率的な場合があります。

3. API Gatewayレベルでの詳細な制御が必要な場合

リクエストの検証、モックレスポンス、条件付きリクエスト処理など、API Gatewayの高度な機能を活用したい場合に適しています。これにより、Lambda関数の呼び出し回数を減らしてコストを最適化できます。

4. バックエンドの実装を抽象化したい場合

APIインターフェイスとバックエンド実装を明確に分離したい場合、非プロキシ統合によってAPIコントラクトの定義とバックエンド実装を独立して進めることができます。

まとめ

API GatewayとLambdaの統合タイプは、プロジェクトの要件やチームの特性に応じて選択すべきです。

プロキシ統合

  • 開発の迅速さと柔軟性を重視する場合
  • リクエスト処理ロジックをコードで完全に制御したい場合
  • シンプルな設定で多様なエンドポイントを実装したい場合

非プロキシ統合

  • Lambda関数の再利用性を高めたい場合
  • API Gatewayレベルでのリクエスト/レスポンス処理を活用したい場合
  • バックエンド実装とAPIインターフェイスを明確に分離したい場合

最終的には、統合タイプの選択は技術的な要件、プロジェクトのライフサイクル、将来的な拡張性などを考慮した戦略的な判断となります。

どちらの統合タイプを選択しても、適切な設計と実装により、スケーラブルで効率的なサーバーレスAPIを構築できます。

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