請求ビュー(Billing View)を利用した AWS Budgets の設定が可能になりました

請求ビュー(Billing View)を利用した AWS Budgets の設定が可能になりました

2025.08.08

AWS Budgets が請求ビュー(Billing View)をサポートしました!この機能を利用することで、請求ビューとしてグルーピングした任意のメンバーアカウントの合計で予算作成ができるようになります。

本題に入る前に、皆さん「請求ビュー」をご存知でしょうか...?

昨年の冬頃から AWS マネジメントコンソールの 請求とコスト管理(Billing and Cost Management) の左上に追加されている機能となります。

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現在では、「プライマリ請求ビュー(デフォルト)」「請求グループの請求ビュー」「カスタム請求ビュー」の3つのタイプがあります。

https://docs.aws.amazon.com/cost-management/latest/userguide/billing-view.html

公式ドキュメントから抜粋となりますが、請求ビューを利用するメリットは以下の通りです。

カスタム請求ビューを使用する主な利点は次のとおりです。

・効率的なアクセス: 複数のメンバーアカウントを管理するビジネスユニットの所有者は、各アカウントに個別にアクセスすることなく、すべてのコスト管理データにアクセスできるため、エンドユーザーの時間を節約し、手動によるデータ集約が不要になります。

・管理アカウントアクセスの削減: エンドユーザーが組織の管理アカウントにアクセスして、複数のアカウントにまたがるコスト管理データにアクセスする必要がなくなります。

・ネイティブ AWS コスト管理アクセス: Cost Explorer と AWS Billing and Cost Management ホームページを使用して、組織全体のエンドユーザーが AWS 支出を個別に視覚化、理解、予測できるようにします。

引用元:https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/cost-management/latest/userguide/billing-view.html

複数部門やプロダクトが存在する AWS Organization 環境で任意の単位でコストを参照や管理したい場合には、管理アカウントを用いたり、個別に集計するなど運用でカバーしていたものを任意の単位でビューとして定義し、適切なアクセス権限を持つ利用者が必要な情報のみを参照可能とすることで、より組織のニーズにあったコスト管理の実践を支援します。

そんなカスタム請求ビューですが、今までは Cost Explorer のみが対応していましたが、今回 AWS Budgets が対応しました。

請求ビューを利用した Budgets 設定

事前作業

請求ビューの利用設定とカスタム請求ビューの作成手順は、こちらの記事をご参考ください。

https://dev.classmethod.jp/articles/custom-billing-views/

今回は以下のように Sandbox という名前のカスタム請求ビューを作成し、2つのメンバーアカウントを登録しています。

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そして、その内の1つのアカウントへ作成したカスタム請求ビューを共有しています。

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Budgets 作成

Budgets 作成画面や編集画面から利用する請求ビューの選択はできないようです。(2025年8月8日時点)

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そのため、先に請求ビューを変更した上で Budgets(予算)の作成を行う必要があります。

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変更したカスタム請求ビューが表示されています。また請求ビューを利用した Budgets では「Savings Plans の予算」と「予約予算」は選択できないようです。(2025年8月8日時点)

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あとは従来の作成方法と同様です。

検証

簡単に二つのアカウント合計で予算管理がされているかを確認してみましょう。
まず8月利用費を確認しておきます。

  • アカウント1:$5.01
  • アカウント2:$4.80

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Budget 作成中に表示される「予算のプレビュー」画面にも二つのアカウントを合算した利用費が表示されています。

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ここでは一つのアカウントでは超えないが、二つでは超過する $5.01 以上(今回は $7)を予算とします。

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すでに超過しているので、すぐに通知が届きました。

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同じ内容をプライマリービュー(=メンバーアカウント単体)で設定しましたが、超過及び通知されませんでした。

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期待した通りの動作をしています。

まとめ

請求ビューを利用した AWS Budget での予算設定が可能となりました。これにより適切な単位での予算管理が可能となるため、運用管理負荷が軽減されることや組織の中での権限の移譲や情報の視認性も向上が期待されるのではないかと思います。

個人的には嬉しいアップデートでした。これからも請求ビューに対応するコスト関連の機能が増えていくことを期待しています。

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