[アップデート] 第二世代のAWS Outposts Rackが登場しました

[アップデート] 第二世代のAWS Outposts Rackが登場しました

Clock Icon2025.05.07

しばたです。

先月末の話ですが第二世代のAWS Outposts Rackがリリースされた旨のアナウンスがありました。

https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/04/second-generation-aws-outposts-racks/

ブログでの解説も同時公開されています。

https://aws.amazon.com/blogs/aws/announcing-second-generation-aws-outposts-racks-with-breakthrough-performance-and-scalability-on-premises/

第二世代のAWS Outposts Rack概要

Outposts Rackは2018年のre:Inventで発表され、翌年の2019年のre:Inventで一般提供されました。
(当時はOutposts Serverの登場前なのでOutposts = Outposts Rackです)

https://dev.classmethod.jp/articles/aws_outpost_launch_partner_reinvent2019/

一般提供開始から約4年半経って新世代が登場する形となりました。

インスタンスタイプ

前述のアナウンスおよびブログによれば第二世代のOutposts Rackでは最新(第7世代)のEC2インスタンスが利用可能です。
CPUは従来通りIntel CPUを搭載しており、

  • m7i
  • c7i
  • r7i

の3インスタンスタイプ利用可能です。
公式ページを確認すると、

Support for more EC2 instances, including GPU-enabled instances, is coming soon.

とのことで第一世代にあるGPU搭載モデルは近日登場予定とのことです。
ちなみにGraviton搭載モデルについての言及はありませんでした...

ネットワーク設定の集約化とスケーラビリティ

前述のブログ及び公式ページを確認すると第二世代のOutposts Rackはネットワーク設計を「Outposts network rack」という形で一新したそうです。

こちらはOutposts Rackのネットワーク設定を集約し設定を単純化、スケーラブルにしたとのことで、あたかも「ネットワーク機器専用のラックが増えた」かの様に読み取れるのですが、実際にその様です。
ハードウェアスペックを確認すると「Outposts compute racks」と「Outposts network rack」で物理的に仕様が分けられていました。

ただ、Outposts network rackに関してこれ以上の詳細が分かりませんでした...

低遅延、大規模ネットワーク向け特殊インスタンスタイプ

第二世代のOutposts Rackでは通常のEC2インスタンスの他に低遅延、大規模ネットワーク向けの専用ベアメタルインスタンス(=専用ハードウェア)が利用可能とのことです。

Bmn-sf2eBmn-cx2の2タイプあり、Bmn-sf2eインスタンスは超低レイテンシー環境、Bmn-cx2は高スループット環境向けとなります。
細かいスペックについてはブログか公式ページでご確認ください。
これらのインスタンスタイプは利用費が記載されておらず「利用したい場合はAWS営業へ連絡」となっていました。

通信業と証券会社でこの専用ベアメタルインスタンスを使う構成例がブログで紹介されていたのでリンクを貼っておきます。

https://aws.amazon.com/jp/blogs/industries/modernize-5g-networks-with-second-generation-aws-outposts-racks/

https://aws.amazon.com/jp/blogs/industries/modernizing-trading-workloads-with-next-generation-aws-outposts-racks/

利用可能地域と費用

本時時点で第二世代のOutposts Rackは

  • アメリカ
  • カナダ
  • シンガポール

のみで利用可能となっており、随時サポートする地域を増やしていく予定とのことです。
具体的な料金については公式ページをご確認ください。

単純な世代間比較用にアメリカ向けの料金ページから一部を引用するとこんな感じです。

ID 世代 用途 構成 前払い無し 一部前払い 全額前払い
OR-OSG3N6V 2 一般 5 m7i.48xlarge $18,424.47/月 $307,074.48 前払い
$8,529.85/月
$577,300.00
OR-SRG6JS4 1 一般 6 m5.24xlarge $11,116.97/月 $185,282.79 前払い
$5,146.74/月
$348,331.640
OR-H2X6KJ3 2 コンピュート 5 c7i.48xlarge $15,833.62/月 $263.893.63 前払い
$7,330.38/月
$496,120.00
OR-OLB5RGB 1 コンピュート 6 c5.24xlarge $9,850.89/月 $164,181.52 前払い
$4,560.60/月
$308,661.26
OR-QZ7F8MF 2 メモリ 5 r7i.48xlarge $24,182.08/月 $403,034.58 前払い
$11,195.40/月
$757,705.00
OR-HSZHMMF 1 メモリ 12 r5.24xlarge 24,781.22/月 $413,020.38 前払い
$11,472.79/月
$776,478.32

世代間できれいに同等となる構成が無かったため比較しにくいですが、第二世代だから高額(または低額)ということはなさそうです。
あとは第二世代だとEBSのストレージ単価が安くなっている代わりに総ボリューム量と総額が高めになっています。

利用可能サービス

本日時点では以下のサービスをサポートしているそうです。
第二世代ではまだ一部サービスが利用不可ですがこれはそのうち解消されると思います。

サービス 第一世代 第二世代 特記事項
Amazon EC2 OK:利用可 OK:利用可
Amazon ECS OK:利用可 OK:利用可
Amazon EKS OK:利用可 OK:利用可
Amazon EBS OK:利用可 OK:利用可 第二世代はローカルスナップショットの取得不可
Amazon S3 OK:利用可 NG:利用不可
Amazon VPC OK:利用可 OK:利用可
AWS Direct Connect OK:利用可 OK:利用可
ALB OK:利用可 OK:利用可
Route 53 Resolver OK:利用可 NG:利用不可
Amazon RDS OK:利用可 OK:利用可
Amazon EMR OK:利用可 OK:利用可
AWS IoT Greengrass OK:利用可 OK:利用可
AWS Elastic Disaster Recovery OK:利用可 NG:利用不可

現時点でS3が非サポートなのは気を付けた方が良いかもしれません。

確認してみた

さすがにOutposts Rack現物を注文することはできないので、マネジメントコンソールから設定画面だけ確認してみます。

第二世代を注文可能なバージニア北部リージョンでOutpostsカタログを確認すると下図の通りいい感じに第二世代の構成がリストアップされています。[1]

aws-outposts-rack-2nd-generation-released-01
バージニア北部リージョンでは第二世代Outposts Rackが注文可能

東京リージョンでは残念ながら第二世代は注文できません。

aws-outposts-rack-2nd-generation-released-02
東京リージョンでは第二世代Outposts Rackは注文不可

最後に

以上となります。

まだ日本では利用できないので期待して待ちましょう。
リリースされたばかりで不明点も結構あったので今後も情報を集めていきたいと思います。

脚注
  1. 料金ページに無い複数インスタンスタイプ混在の構成もリストアップされていますが...ちょっとよくわからないです ↩︎

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