
【セッションレポート】 VMwareワークロードをAWSに。既存環境を活かして迅速に移行できる新たな選択肢(AWS-29) #AWSSummit
こんにちは、クラウド事業本部 コンサルティング部の荒平(@eiraces)です。
AWS Summit Japan 2025 に参加しましたので、[AWS-29] VMwareワークロードをAWSに。既存環境を活かして迅速に移行できる新たな選択肢
のセッションレポートをお届けいたします。
本セッションの想定レベルはL200です!ただ、AWSの知識よりはVMware製品の単語について理解が必要です。
(VMwareワークロード対象のセッションなので当然なのですが)
スピーカー・概要
スピーカー:
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
サービススペシャリスト統括本部 アプリケーション開発技術本部
シニアパートナーソリューションアーキテクト 豊田真行
セッション概要(引用):
VMware ワークロードを取り巻く市場の変化に伴い、AWS への移行ニーズが高まる一方で、VMware の環境に中長期的に留まる選択をされるお客様も多くいます。そうした中で、データセンターのクローズが迫っているためできるだけ迅速かつダウンタイムを最小化してクラウドに移行したい、古い OS をそのまま移行したい、IP アドレスを変更せずに移行したいー。こうしたお客様の課題を解決する新サービスである Amazon Elastic VMware Service (Amazon EVS) をご紹介します。本セッションでは、実際のデモを交えながら、既存の VMware の知見やツールをそのまま活用しつつクラウドのメリットを享受する方法をご説明いたします。
動画
AWS公式から動画がアップされ次第、こちらに掲載します。
本レポートは全文書き起こしではないので、詳細は動画を御覧ください。
ざっくりまとめ
忙しい方のために、3行でまとめます。(記事下部にスピーカーによるまとめスライドがあるので、そちらも是非)
- VMwareワークロードのままクラウド化する理由は様々あり、代表例は時間的制約や技術的負債
- VMware Cloud on AWSは引き続き提供しているが、Amazon Working Backwordsに基づいてAmazon Elastic VMware Service (Amazon EVS)という新たなサービスを提供
- 従来の課題であった仮想環境の権限をユーザー側で管理することが可能に
セッション内容
イントロダクション
このセッションは「モダナイゼーション(V2Cなどを指す)の始まり」について触れるセッションで、スピーカーは弊社でも度々イベントの開催などお世話になっている、AWSにてVMware スペシャリストSAとして活躍されている豊田さん(VMware vExpert)です。
従来のVMware Cloud on AWSや、新しいサービスであるAmazon EVSについても携わられています。
このセッションでは、VMwareワークロードの新たな選択肢を紹介し、聴講している方がAmazon EVSの基本概念を知ることがねらいです。
VMwareワークロードをクラウドで実行する理由
色々選択肢がある中で、クラウドで実行する理由は大きく4つあり、AWSとして様々なお客様と会話する中で時間的制約が大きいと感じているそうです。
例えば顧客によっては半年で数百〜数千VMを移行することもあります。そうなると、IPアドレスがハードコーディングされており、アプリケーションベンダーが撤退済みである場合には選択肢を取りづらい、などの理由からアプリケーションをそのまま移行したいという要件が生じたりすることも。
とってもよくある話ですね。近年ではハードウェアの寿命がトリガーとなってクラウド化を検討するパターンも多いです。
ちなみに、これまでAWSではVMware Cloud on AWSというサービスを提供していましたが、BroadcomによるVMware社の買収完了後は、Broadcomが上記VMware Cloud on AWSの管理をしています。
AWSは、Working Backwards(お客様起点に考える) を重視してサービスを設計しているそうです。
VMware Cloud on AWSを数年サービスインするなかで、「VMwareで本当に必要な機能はなにか」「どういった機能を改善するべきか」などという質問から見えてきた観点を整理し、良い点と悪い点を詳らかにしたといいます。
顧客が良いと感じている点:
- シンプルさ(オンプレミスより遥かにシンプル、そしてAWSの各リソースとの連携もすぐできる)
- スピード(ハードウェアの調達性に優れている、QuickStartが可能)
- 拡張性(ホストやネットワークの追加がすぐに可能)
顧客が改善を求める点:
- コントロール(VMware Cloud on AWSでは、オンプレミスと違い管理者権限がなかった)
- 柔軟性(より柔軟な運用オプションを。フルマネージドからセルフマネージドまで求める声は様々)
- 選択肢(インスタンスタイプなど)
そこで、先日パブリックプレビューになった、Amazon Elastic VMware Service が登場しました。
VMware Cloud on AWSの良い部分を継承しつつ、セルフマネージドであるという特徴を持っています。
Amazon EVSでは、サーバインフラをAWSが担当し、VMware環境を顧客やパートナーによって自由に操作することが可能。
そしてもちろん、従来のVMware Cloud on AWSも、Broadcom経由で利用することは可能です。
VCFをベースとしたカスタムのアーキテクチャではなく、標準仕様のVCFをそのままAWSで使うことができます。 ライセンスについては、VCF License Includedを一般提供時に選べるよう準備を進めていると仰っていたので、期待したいですね。
Technical overview
Amazon EVSはAWSのグローバルインフラストラクチャを利用しており、かつ、VMwareで現在利用できているvSphare HAやvMotionなど一通りの機能を問題なく利用できます。
オンプレミスのマシンをダウンタイム無しでEVS環境に移行することも可能。
小話ですが、Amazon VPC上でVMware NSXを動作させることは相当チャレンジングだったようで、VMware Cloud on AWS時代にカスタムの作り込みが発生した部分を、Amazon EVSでは、大規模なエンジニアリングを実施して、Amazon VPC上でVMware NSXがネイティヴに動作するようにしたそうです。
Amazon EVSでは、AWSのマネジメントコンソールからホストの追加・削除を含む操作を実行できます。
IAMの権限に依存する部分なので、ここも設計ポイントのひとつと見ました。
とにかく、仮想マシンなどの操作はユーザーが慣れ親しんでいるであろう、vSphere Clientを使えるところが嬉しいポイントだと思います。
Amazon EVSのビルディングブロック
Amazon EVSは顧客ののVPCにデプロイされます。
※ VMware Cloud on AWSでは、VMwareが所持するVPCにデプロイされていたのでここは違っています
Amazon EVSのマネジメントコンソールにて入力したデータをCloud Builderに送って、VCF5.2.1 = vSphere 8.0U3 相当のバージョンでデプロイが実施されます。
コンピューティングは、まず i4i.metal を利用可能です。
今後もi4i.metalだけか?と言われるとそれは違っており、お客様に複数の選択肢をもたらすために準備中とのこと。
ストレージはVMware vSANがプライマリなので、i4i.metalに付随したNVMe SSDを複数台で抽象化したストレージを利用することになります。
オプションで、外部ストレージとしてFSx for NetApp ONTAPやPure Cloud Block Storeが利用可能。これもユーザーに選択をもたらすものですね。
ネットワークはVPCに完全に統合された形で展開されます。
VMware環境専用のLayer-2ネットワークを新たに設計し、VLAN IDを持った通信が可能に。
今まで知っているVPCとはかなり異なっていますね。
Amazon EVSと、オンプレミスや他のVPCとの通信は、Transit Gatewayを通過することで利用できます。
デモ
ここから、Amazon EVSのデモに入ります。動画公開を見たほうが早そうなので、デモ自体に言及できることはあまりないのですが、SDDC Manager, NSX Manager, vSphere Clientへの接続もコンソールにリンクがあって使いやすそうでした。
新たな学び:
- ホストにはそれぞれキーペアが設定可能
- サービスアクセスサブネットは、EVSのコントロールブレーンが利用する
- 通常のAWS VPCサブネットにVLAN IDを追加している
- それぞれの管理アプライアンスの認証についてはSecrets Managerにて管理されている
Amazon EVSのデプロイについては以下の記事もご覧ください!
まとめ
VMware アーキテクチャーのままクラウド移行する理由として代表的なのは、時間的制約(HW老朽化、ライセンス更新、サポート切れなど)
フルVCFがAWSで動作するので、その選択肢を是非知ってもらいたいと熱い思いが伝わってきました。
近い将来、アップデートをAWS公式ブログなどを通じて共有予定だそうです!楽しみですね。
いつかVPC Overlay Networkの話も聞いてみたいです。
このエントリが誰かの助けになれば幸いです。
それでは、クラウド事業本部 コンサルティング部の荒平がお送りしました!