プロスポーツにおけるクラウドを利用したライブ配信とデータ活用の事例を聞いてきた #AWSreInvent #MAE201
はじめに
データ事業本部のおざわです。re:Invent 2024最終日のセッションレポートです。
今回は、スポーツにおけるクラウドを使ったライブ配信やデータ活用の事例に関するセッションに参加してきました!本セッションは、アメリカとカナダのチームから構成されるプロのアイスホッケーリーグ、NHL(National Hockey League)の取り組みについてです。今回はデータ活用に関わる部分を中心にご紹介したいと思います。
ちなみにクラスメソッドは東京ヴェルディ様とオフィシャルパートナーになってますので、スポーツと無関係ではありません!いつの日か、本セッションのような熱い取り組みにクラスメソッドが関わる日がくるかもしれないとワクワクしながら見ていたセッションでした。
セッション概要
タイトル
NHL Unlocked Live cloud production, sports data, and alternate feeds
概要
原文
As the first professional sports league in North America to produce and distribute a live game entirely in the cloud, the NHL is on the cutting edge of sports production innovation―lowering costs, reducing carbon emissions, and increasing flexibility and creativity. Join this session to hear how the NHL’s investment in live cloud production and the development of engaging analytics allows them to nimbly provide new, creative, and engaging content for fans.
日本語(機械翻訳)
NHLは、北米で初めてライブゲームを完全にクラウドで制作・配信したプロスポーツリーグとして、スポーツ制作のイノベーションの最先端に立っています。本セッションでは、NHLがクラウドライブ制作と魅力的なアナリティクスの開発に投資することで、どのように新しく、クリエイティブで、魅力的なコンテンツをファンに提供できるようになったかをご紹介します。
Speakers
- Brant Berglund, Sr. Director of Coaching and GM Technologies, National Hockey League
- Andrew Reich, Sr. Industry Specialist BD, Amazon Web Services
- Grant Nodine, Senior Vice President, Technology, National Hockey League
- Julie Souza, Global Head of Sports, Amazon Web Services
NHLのデータ(NHL EDGE IQ)
NHLではゲーム中に各種センサーからデータを取得することで、ほぼリアルタイムでパックの位置、各選手のフィールド上での動き追うことができます。ここまでデータが取れると、アイスホッケーだけでなく他のスポーツでも戦術の立て方などいろいろ変わってきそうです。
いったいどこにセンサーにあるのかというと、各選手のユニフォームの肩口に縫い込まれたセンサーがあり、パックの中にもセンサーが埋め込まれているそうです。また、センサーだけでなくスタジアム内にさまざまな角度で設置された20個以上のカメラも同時に使用しており、これで選手とパックの正確な位置を把握しています。これらのセンサーやカメラによって、各選手の移動スピードやパックのスピード、選手がフィールド上でどのくらいの距離を移動しているか、シュート時点の位置といったデータがコーチや選手だけでなくファンにも見ることができるようになっています。通常、1日に10試合が開催されますので、各種センサーから集まるデータは15億件を超えるという話でした。
参考:
アーキテクチャ図:
以下、セッションでも紹介されていた代表的な指標の4つです。
Shot and Save Analytics
Shot Analyticsはシュートを放ったフィールドプレイヤーのその時のフィールド上の位置、その位置からのゴール成功率がわかります。試合ごとの成功率はもちろん、シーズンを通した成功率も確認できます。Save Analyticsは逆に各位置から放たれたシュートに対するゴーリーの防御率を表します。どの位置からのシュートに弱いのか、などが分析できるのでチームの戦い方も変わってきそうです。
Shot and Save Analyticsはこちらの記事でも紹介されています。
Face-Off Probability
フェイスオフは試合を開始、または再開する際に選手同士が審判の落としたパックを取り合うプレーです。バスケでいうジャンプボールですね。このフェイスオフでどちらがパックを取るのか、フェイスオフ直前にどちらのプレイヤーが勝つ確率が高いか予測が出せるようになっています。
Face-off Probabilityに関してはAWSブログの記事にもなっていましたのでこちらもご参照ください
Opportunity Analytics
Opportunity Analyticsはシュート直前までに収集されたリアルタイムのデータとこれまでのデータからシュート成功率を予想します。シュート直前までのパックの動き、ゴーリーの位置、シュートの位置、シューターとゴーリーまでのフィールド内の混雑状況など、さまざまな情報を使ってリアルタイムにシュート成功率を算出します。
Ice Tilt
Ice Tiltはどちらのチームが有利に試合を運んでいるかをリアルタイムに表します。
マーケティング関連
マーケティングの観点からも面白い話が聞けましたのでご紹介します。
クラウド化とセンサーの導入でリアルタイムに選手の動きが追えるようになったため、このデータを使って選手をアニメ化し、実際の試合をDisneyチャンネルで配信したという話がありました。この配信によって、視聴者の平均年齢が20歳下がり、いままでまったくアイスホッケーに興味がなかったティーン年代の女子をファンにすることができたそうです。
また、DATACASTとして様々なデータを公開することで、いままでとは異なるファン層を獲得できたという話も語られていました。興味深いですね。
おわりに
プロスポーツにおいても、チームの勝敗やマーケティングにおいてデータが重要になってくることがわかるセッションでした。本ブログで紹介した内容以外にも、NHLではリアルタイムの手話解説を取り入れた配信、英語以外の言語による配信も行っており、クラウド化でデータを活用することにより、多くの人にアイスホッケーの魅力を伝える取り組みを強化していることが伝わってきました!
本セッションの模様は今日から動画で確認することができますので、ぜひご覧になってみてください!以上、セッションレポートでした。最後までお読みいただきありがとうございました。
参考リンク