【レポート】コンテナだけどサーバーレス! AWS Lambda の最新機能をご紹介 #AWSSummit

Lambdaのコンテナイメージサポートについてデモを交えながら解説してくれるセッションです まだコンテナイメージ形式のLambdaを試したことの無い人にオススメです
2021.05.17

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この記事はDeveloper Zoneのセッション「コンテナだけどサーバーレス ! - AWS Lambda の最新機能をご紹介 -」のレポートとなります。

セッション概要

2020 年 12 月、AWS Lambda はコンテナイメージのサポート開始を発表しました。これにより、最大 10 GB までのコンテナイメージをサーバーレスな基盤上で動作させることが可能となり、より便利に AWS Lambda をご利用いただけるようになりました。この動画では、本機能の使いどころに加えて、AWS SAM CLI を利用し実際に開発およびデプロイする様子を、デモを通してご覧いただきます。

スピーカー

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 プロトタイプソリューションアーキテクト 今村 優太氏

セッション動画

コンテナだけどサーバーレス! - AWS Lambda の最新機能をご紹介 -

セッション内容

Lambdaのコンテナイメージサポートについて

Lambda関数のデプロイ方法

  • マネコンからソースコードを編集する
  • ZIPファイルをアップロードする
  • S3に配置したZIPファイルをデプロイする

昨年末のアップデートにより、上記の3つに加えてECRに配置したコンテナイメージをデプロイする方式が利用可能に

コンテナサポート機能の特徴

  • デプロイ可能なファイルサイズが大きい
    • ZIPパッケージは解凍後に250Mが上限
    • コンテナイメージの場合は最大10GBまでデプロイ可能
  • AWSが以下ランタイムのベースイメージを提供しており、非コンテナのLambdaと同様の言語が選択可能
    • Node.js
    • Python
    • Java
    • .NET
    • Go
    • Ruby
  • ベースイメージ以外をもとにしたイメージも起動可能
    • LambdaランタイムAPIに準拠した実装が必要
    • プログラミングモデルはLambdaのモデルに則る必要がある
  • ベースイメージはLambdaのサービス基盤にキャッシュされているため、ベースイメージ以外と比較してコールドスタート時間が早い

ユースケース

  • ファイルサイズが大きい場合
    • 従来Lambdaで大容量ファイルを扱う場合はS3から/tmpにファイルをDLするようなアーキテクチャが選択されていた
    • /tmpディレクトリの利用可能な上限は512MBまでに制限されている
    • コンテナイメージ形式の場合は事前に大容量ファイルをコンテナイメージ内に含めることができ、イメージサイズの上限も10GBと比較的大きい
  • 学習済みのモデルを利用する機械学習、計算系ライブラリを利用するようなデータ分析のワークロードに最適

  • パッケージマネージャを利用してOSにインストールするようなソフトウェア、ミドルウェアが必要な場合

  • Lambdaがサポートしていないバージョンや言語を利用したい場合

デモ

デモで実現する内容

  • OCR(Optical Character Recognition)をテーマにしたサンプルアプリ
  • Amazon Textractは現状日本語に対応していないため、日本語のOCRをサポートするOSSを利用して、Lambda上でテキストデータの抽出処理を実現する
  • Tesseract OCRを利用

    • PyOCRというPythonのライブラリ経由で利用
    • dnfやyumを使ってコンテナイメージにインストールして利用
  • SAM CLIを利用したコンテナイメージのビルド/デプロイ

  • S3に画像をアップロードするとLambdaが起動、画像からテキストを抽出してCloudWatchにログを出力する

開発の流れ

  • sam init でひな形作成
    • ベースイメージの選択
    • プロジェクト名の設定
    • ひな形のアプリケーションテンプレート選択
  • SAMテンプレートの編集
    • S3バケットの作成
    • LambdaとS3のイベントを紐付け
    • S3の読み取り権限追加
  • Dockerfileの編集
    • yumによるTesseractのインストール処理を追加
    • requirements.txtに必要なライブラリを追加
  • Lambdaの処理を実装
    • 非コンテナイメージのLambdaと全く同様のプログラミングモデル
    • SAM CLIの generate-eventを使うと簡単にイベントデータの構造が確認できる
    • sam local generate-event s3 put
  • コンテナイメージのビルド
    • sam buildコマンドを実行するだけでコンテナイメージをビルド可能
  • ECRのリポジトリを作成
    • リポジトリのURLはデプロイ時に利用
  • SAM CLIでデプロイ
    • sam deploy --guided
    • 対話形式で諸々のパラメータを指定 ECRのリポジトリURIもここで指定
    • ビルドが完了するとコンテナイメージがECRにプッシュされる
    • プッシュが完了するとCFnテンプレートのデプロイが実行される

動作確認

  • Lambdaのドキュメントの画像を切り出してS3にアップロードし、日本語を検出できるかテストする
  • ドキュメントの日本語がほぼそのままログに出力できている
  • 初期化に6秒、OCR処理に17秒ほどの処理時間
  • 非コールドスタートの場合は初期化の約6秒のオーバーヘッドが削減される

まとめ

  • Lambdaのパッケージフォーマットとしてコンテナイメージを選択することで、よりサイズの大きなライブラリや、OSにインストールが必要なライブラリが利用できるようになった
  • プログラミングモデルは非コンテナイメージのLambdaと同様なので、従来通りの開発が可能
  • コンテナイメージのサポートによってLambdaが利用できるワークロードの幅がさらに広がった

所感

re:invent2020で発表されたLambdaのコンテナイメージサポートについておさらいできるセッションでした。 今回紹介されていたようなユースケース以外でも、ECSをメインの基盤に採用しつつもAWSサービスとの連携部分だけ一部Lambdaを利用したいといったケースでコンテナイメージが有効に利用できそうです。 例えばですがFargate上でRuby on Railsのアプリを動かしつつ、一部のユースケースではS3へのPutObjectをトリガーにLambdaを起動してなにかしらのビジネスロジックを実行したいとします。Lambdaがコンテナイメージをサポートしたことで、PutObjectをトリガーにRIC(AWS Lambda Runtime Interface Clients)導入済のRailsコンテナが起動できるので、Lambda上で動かすビジネスロジックからRailsの豊富な機能が利用できるのです。

また、個人的に興味深かったのが、AWSが提供するベースイメージはLambdaのサービス基盤にあらかじめキャッシュされているという点です。以前コンテナイメージからデプロイしたLambdaのコールドスタート時間を計測した時に、予想よりもはるかに高速に起動するという結果が出たのですが、ベースイメージを利用していたことが要因の1つとして挙げられそうです。また別のイメージを使って検証してみたいと思います。

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