【書籍紹介】[PM&スタートアップのための] はじめてのクラウドコスト管理――インフラコスト×会計の基本

【書籍紹介】[PM&スタートアップのための] はじめてのクラウドコスト管理――インフラコスト×会計の基本

Clock Icon2025.04.07

今回は、3月19日に発売された [PM&スタートアップのための] はじめてのクラウドコスト管理――インフラコスト×会計の基本 を紹介していきます。

https://gihyo.jp/book/2025/978-4-297-14788-4

実は3月19日は、もう一つクラウドコストに関する書籍 「クラウドFinOps 第2版」 も発売されています。(同日に発売するとは、なんと懐が痛い) クラウドコストに関する書籍はまだまだ少ないため、ありがたいですね。

https://www.oreilly.co.jp/books/9784814401086/

本記事では [PM&スタートアップのための] はじめてのクラウドコスト管理――インフラコスト×会計の基本 を紹介していきます。

書籍紹介

概要

企業会計の基礎知識を盛り込んだクラウドコスト管理の入門書。

製品/サービスの開発/提供にあたり、会計知識に基づいたコスト管理は欠かせません。しかし、従来の各種IT関連コストと比べて、クラウドサービスのコスト管理は格段に複雑です。

本書では、中小の企業規模をおもに想定し、プロジェクトマネージャー(PM)やスタートアップの方々向けにクラウドサービスのコスト管理の基本事項を丁寧に解説します。
メジャーなクラウドサービス Amazon Web Services(AWS), Microsoft Azure, Google Cloud に対応し、オンプレミスとの比較も押さえ、幅広いインフラ/サービスで応用可能な点が特徴です。

技術知識および会計知識に関してそれぞれの専門家のレビューを経て1冊にまとめました。広くクラウドにまつわる開発に携わる方々へ向けて、インフラのコスト管理およびコスト削減のための実践的かつ着実に結果につながる知識&ノウハウを凝縮してお届けします。

引用元:https://gihyo.jp/book/2025/978-4-297-14788-4

「企業会計の基礎知識」 に関する部分は、他の書籍にはない(もしくは記載があっても多くはない)ユニークな部分で、私が本書を購入した理由でもあります。
書籍内でも触れられていますが、役割や担当領域によっては、意識することが少ない部分ではありますが、クラウドコスト管理を実践する中では重要な観点の一つでもあります。

目次

1章 [ゼロからはじめる]クラウドコスト管理の基礎知識
2章 ソフトウェア開発・運用における会計の基本
3章 コスト最適化の進め方
4章 コスト可視化
5章 コスト最適化の計画
6章 コンピュートコストの最適化
7章 ストレージコストの最適化
8章 データベースコストの最適化
9章 運用コストの最適化
10章 継続的コスト最適化

引用元:引用元:https://gihyo.jp/book/2025/978-4-297-14788-4

詳細な目次は 出版社サイト をご確認ください。

全10章で構成されていて、最初にクラウドとオンプレミスに関して技術面だけではない比較やクラウドコスト管理の重要性と課題を改めて確認し、全体的なアプローチが紹介されています。
後半に入るとクラウドコストの多くを占めるサービスにおける最適化のアプローチについて、最後に単発のコスト削減に終わらない継続的なコスト最適化を実践するためのポイントが紹介されています。

所感

個人的にとても参考となったのは以下の3点です。

  • 企業会計としてのクラウドコスト
  • 実践的な役割想定
  • 特定クラウドサービスに限定しない方法論

企業会計としてのクラウドコスト

一つの章を割いて、企業会計の観点でのクラウドコストが紹介されています。

Capex から Opex へ変化する中で、財務三表(P/L, B/S, キャッシュフロー)や法人における税金での扱いといった知っているようで知らない世界が丁寧に説明されていて、技術以外の面におけるクラウドのメリットや特性を改めて知ることができます。

実践的な組織設定

書籍の中で、想定する環境としてシステムと共に組織構造を事業部制と想定して「全社組織横断(情報システム部門、CCoE)」と「各プロジェクト(事業部)」が設定されています。

マルチアカウント、マルチクラウドが増えている中で、同じような体制で管理を行なっている。または行うことが期待されている企業は少なくないと思います。
そんな似た境遇の方々にとって、書籍内ではコスト最適化の計画や特定サービスのコスト最適の章で、設定した組織内の役割ごとに、どのようなアクションが取れるのかを紹介されています。

もちろん絶対的な正解はないとはいえ、特に全社組織横断を担う部門の方にとっては、どこまで自組織で行い、各プロジェクトに任せるべきかを悩まれることもあるかと思います。そんな時に一つの参考例となるのではないかと思います。

特定クラウドサービスに限定しない方法論

書籍内で画面イメージや代表例として、メジャーなクラウドサービス(AWS, Azure, Google Cloud)が紹介されていますが、基本的には特定のクラウドサービスに限定しない内容が紹介されています。

書籍のタイトルの通り "はじめて" クラウドコスト管理に取り組む場合やガイドラインのような広く適用可能なアウトプットが必要が場合には、適した内容となっているのではないかと思います。

各クラウドサービスの具体的な操作や詳細な情報を期待した場合には、物足りないと感じるかもしれません。その場合は、各社クラウドサービスプロバイダーのドキュメントやホワイトペーパーを参照するか AWS なら「AWSコスト最適化ガイドブック」や「もっと絞れる AWSコスト超削減術」などの書籍がお勧めです。

さいごに

今回は、クラウドコスト管理に関する書籍 [PM&スタートアップのための] はじめてのクラウドコスト管理――インフラコスト×会計の基本 を紹介しました。

クラウドコスト関連の書籍は多くはない中で、他書籍とはまた違った観点での内容が含まれていて、新しい観点や再認識する点など参考となる部分も多かったです。

コスト最適化や FinOps とか最近聞くからちょっと興味がある、または新しいチームや組織となって、クラウドコスト管理がミッションとなったという方がいれば、少し気が早いですが、ゴールデンウィークの課題図書として、手に取ってみるのも良いかもしれません!

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