【書評】『Linuxのしくみ』 は手を動かしながらLinuxの裏側を学ぶにはピッタリの一冊
クラウドの活用が広まり、インフラやOSの知識が弱くても、CPUアーキテクチャやランタイムを指定するだけで、いい感じにアプリケーションを動かせる世の中になりました。同時に、各種サービスの抽象化が進み、ブラックボックス化も進んでいます。
とはいえ、サービスを使いこなしたり、トラブルシュートやパフォーマンスチューニングの際には、サービス基盤への深い理解が必要です。
そんなときにぴったりなのが『[試して理解]Linuxのしくみ ―実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】』です。
- シグナルハンドラーって何?
- ダーティーページって何?
$ free
コマンドでメモリ使用量を取得できるけど、各フィールドの意味は?
本書を読めば、プロセスやメモリやストレージなど、普段あまり意識していないOSやハードウェアのトピックについて、実験を通して、原理・動作を具体的に学べます。
また、近年は、物理サーバーを仮想化させたり、コンテナを利用したり、リソース管理された環境を間借りする機会が増えています。そのようなプラットフォームを支える仮想化機能、コンテナ、cgroupといった現代的なトピックも盛り込まれています。
つまるところ、無味乾燥で古典的なOS・コンピュータアーキテクチャの本ではなく、実務家が具体的・身近に感じられる現代的なLinuxカーネル・ハードウェア本に仕上がっています。
実験用のプログラムはPython/Goで提供されているため、開発スキルは不要です。 面倒くさがらずに、手を動かしましょう。 実験結果の考察は本書の醍醐味の一つです。
トピックは多岐に渡ります。 ポップな装丁にも関わらず、硬派で情報量も多いです。読書会で不明点をディスカッションしながら読み進めると、理解が深まると思います。
書籍情報
- タイトル :[試して理解]Linuxのしくみ ―実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】
- 著者 : 武内 覚
- 出版社 : 技術評論社
- 出版日 : 2022/10/17
著者による書籍紹介
「[試して理解]Linuxのしくみ ~実験と図解で学ぶOS、仮想マシン、コンテナの基礎知識【増補改訂版】」が発売されます - 覚書
目次
- Linuxの概要
- プロセス管理(基礎編)
- プロセススケジューラ
- メモリ管理システム
- プロセス管理(応用編)
- デバイスアクセス
- ファイルシステム
- 記憶階層
- ブロック層
- 仮想化機能
- コンテナ
- cgroup