[CeBIT2017] 5Gと自動運転 – 世界一のIT見本市・CeBIT #cebit17

2017.03.24

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ベルリンの半瀬です。

はじめに

クラスメソッドは、世界最大規模のIT見本市「CeBIT」(セビット)に参加しています。

BMVI(Bundesministerium für Verkehr und digitale Infrastruktur) 連邦交通・デジタル通信基盤省(直訳)というお役所の展示を見てきました。
5Gと言うキーワードが単に目について気になっただけなのですが、ドイツに住む上でもどんなことをやっているのか知っておきたいな、という思いもあったとかなかったとか。

以下、ドイツの5G戦略について知ったことをまとめます。一部ドイツ語の取り違えもあるかもしれませんが、「俺なりの解釈(キリッ)」というところで白い目で見てください。

参考:5G | Wikipedia

背景とか

将来におけるモバイル通信とネットワークテクノロジーの基盤

現在標準化が進んでいる5Gは、4G(LTE-Advanced)に比べて、

  • 1000倍のキャパシティ
  • 100倍の高密度
  • およそ10倍のスピード
  • 10分の1のレイテンシ

を実現します。このためには、最大10-20Gbpsのデータ転送速度が必要だそうです。
また、補足的に以下のような目標があります。

  • 100%のネットワークカバレッジと可用性
  • ネットワーク上のいかなる点においても、最低1Gbpsを供給
  • エネルギー効率性の向上により、エネルギー消費を10分の1に
  • IoT発展の基盤として、およそ10年間の使用を見込んで整備をする

政府としての大きな目標は、ドイツが5Gの市場をリードするポジションを確立すること、5Gテクノロジーの迅速な導入を成功させることにあるんだそうです。

以下は展示にあったLTEと5Gの比較表です。
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5Gと自動運転

昨今よく話題にあがる自動運転技術も5Gを想定した高速通信によって、開発が進んでいます。特にドイツは自動車産業が強みなので、(フォルクスワーゲンとか、BMWとか、メルセデスとか、でしょうか)緊密な関係があります。
また、具体的な運転サポート機能としては、以下のようなものがよく知られているかと思います。

  • 渋滞時のブレーキとアクセルサポートによって、流動の効率を上げる
  • 道路上に出現する予期できないオブジェクト(ボール、小動物)に対する回避行動に、周囲の走行車両が連動して危険を回避する

これらの実現には、走行中に車両に搭載されたセンサーで周囲の車両とデータ交換をすることが必要で、10msecから1msec以下の低レイテンシが目標とされるそうです。

センサーを搭載したミニカーの展示。交差点で互いにスピード調整をし、ぶつからない
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実践とか

A9での走行シミュレーション

自動運転の実現のためには、「ミニカーでワーイ」では不十分で、実際の走行道路上でテストしなければないけません。
2015年12月頃から、BMVIはバイエルン州の アウトバーン9(A9) で具体的なテスト走行を実現しています。

Google様にチラっとお伺いをたてると、以下のような記事がたくさん出てきました(知らなかった)。

参考記事にある「ジャック」君なのかどうかはわかりませんが、アウディ社によるコンセプトカーの展示がありました。
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インテリジェントアウトバーン

テスト走行は、アウトバーン(A9)に設置されたたくさんのレーダーによって実現されているそうです。もちろん、一般のドライバーの運転を阻害しないような工夫がされています。
このレーダーには、

  • テスト走行車両からは完璧に自分の位置を把握する
  • 他の一般車両を含めた交通量のデータを中央システムで分析し、テスト車両に送る

といった仕事があり、テストアウトバーン上での安全かつスムーズな自動運転の実現に寄与しているとのことです。
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実際に使用されているレーダーのサンプルです。
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革新的なインフラストラクチャによって構築された、「インテリジェントアウトバーン」と言えます。

インフラ整備

5Gを実現するためのブロードバンドをより効率良く普及するための、効果的なプロセスを踏む検討が必要です。
ポイントとしては、

  • 既存のケーブルインフラストラクチャを利用して、コストと時間節約をする
  • 特に、下水管やその他のパイプラインの空きスペースを利用する
  • 電気や水道菅のための土木工事と光ファイバーケーブルの敷設において、分野横断的な連携を行う
  • 工事が住民の生活に与える影響を最小限に抑える
  • 例えばマイクロトレンチング(こういった工程だそうです)といった現代的な敷説手順を採用する
  • 政府だけにとどめない、官民一体の取り組み
  • 大学や企業への補助金、新しいビジネスアイデアを生み出すスタートアップへのサポート

など多岐に及ぶようです。難しい
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その他

ドライバーアシスタントシステムの開発におけるシミュレーションシステム 実際の交通状況におけるより複雑な車両機能を再現したり、異なる機能コンセプトを可視化し、比較することができるそうです。
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その他会場の雰囲気。
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コーヒーを一杯いただいて帰りました。

まとめ

スケールの大きな話題となりました。
wikipediaによるとMBVIという連邦省は2013年に「交通・建設・都市開発省」に、通信インフラを兼ねさせて新しく編成されたものなのだそうです。日本でいう、国土交通省と、総務省の一部を組み合わせたような省庁のようです。
ドイツの強みである自動車産業と、情報通信産業は密接に関わるという見通しに対して、それを生かすための課題認識、国策としてどのように取り組んでいくのか、という点が垣間見えました。
税金無駄に使ってませんよ、という点もしっかり伝わりました。

CeBITは明日が最終日です。当ブログでも、引き続きCeBITシリーズをアップしていきます。

それではまた。