【アップデート】Google Cloud Next '26 の裏でこっそり追加された Cloud Hub のコスト分析機能を Gemini Cloud Assist で試してみた

【アップデート】Google Cloud Next '26 の裏でこっそり追加された Cloud Hub のコスト分析機能を Gemini Cloud Assist で試してみた

2026.04.26

はじめに

こんにちは。
クラウド事業本部コンサルティング部の渡邉です。

2026年4月22日、Google Cloud Next '26の裏でこっそりとCloud Hub に Gemini Cloud Assist を活用した コスト変更の説明リソース使用量関連の変更インサイト 機能が追加されました。

https://docs.cloud.google.com/release-notes#April_22_2026

https://docs.cloud.google.com/hub/docs/optimize-gemini

「先月からコストが急に上がったけど原因がわからない」「どのリソースが無駄なコストを生んでいるのか把握したい」そんな課題に対して、Gemini が自然言語でコスト変化の根本原因の分析・要約・アクションの提案まで行ってくれる機能です。

Cloud Hub とは

Cloud Hub は、DevOps・SRE チームが Google Cloud のアプリケーションとリソースに関する運用データとインサイトを一元的に確認できるダッシュボードです。バラバラになりがちなモニタリング・セキュリティ・コスト・メンテナンス情報を単一の画面に集約し、重要な問題・傾向・パターンに素早くアクションを取れるようにします。

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Cloud Hubのホーム画面

Cloud Hub は以下のページで構成されています。

ページ 内容
ホーム 各カテゴリのサマリーを 1 ページで確認
デプロイメント アプリデプロイの失敗・利用可能なアップデート
健全性とトラブルシューティング Cloud Monitoring アラート・メトリクス・GCP インシデント
セキュリティとコンプライアンス(Preview) Security Command Center の検出結果・コンプライアンス状況
最適化 コスト・使用率の最適化推奨事項(今回の対象)
クォータと予約 クォータ使用率・Compute Engine リソース予測
メンテナンス 予定・進行中メンテナンスの確認・スケジュール変更
サポート オープン中のサポートケース一覧
アプリトポロジー(Preview) リソース・アプリの関係をグラフで可視化

また、Cloud Hub は App Hub と連携しており、プロジェクト単位だけでなく、複数プロジェクトにまたがるアプリケーション単位(App Hub アプリケーション)でデータを確認できます。たとえば EC サイトを構成する複数サービス(フロントエンド、バックエンド、DB)を 1 つのアプリケーションとして定義しておくと、そのアプリ全体のコストや健全性をまとめて把握できます。

Cloud Hub 最適化 とは

Cloud Hub の 最適化 ページは、プロジェクトや App Hub アプリケーション単位でコストと使用率の最適化推奨事項を確認できるダッシュボードです。Compute Engine・GKE・Cloud Run・Cloud SQL などのリソースの使用率データと、コスト最適化レコメンデーションを一元的に確認できます。

今回、このページに Gemini Cloud Assist のチャット機能が統合され、自然言語でコストに関する質問や分析が行えるようになりました。

追加された機能

コスト変更の説明

コストが増加・減少した際に、その根本原因を自動分析して説明します。Gemini Cloud Assist は以下を分析します。

  • どのプロジェクト・サービスがコスト変化の主要因か
  • コスト変化を引き起こしたインフラの変更(リソース数の増加・SKUの変更など)
  • 変更を行ったユーザー・サービスアカウントの特定

リソース使用量関連の変更インサイト

コスト変化に寄与したリソース使用状況の変化を自動的に要約して提示します。Optimization ページの「Insights generated by Gemini」セクションに表示され、直近 7 日間のコスト変化とそれに関連するリソース使用状況の変化をまとめて確認できます。

使い方

Gemini Cloud Assist チャットで質問する

Cloud Hub の Optimization ページ(または任意のページ)のツールバーから Gemini Cloud Assist チャットを開き、自然言語で質問します。

質問時の注意事項

  • 質問できるのは1回につき1プロジェクトまたは1アプリケーション
  • 日付範囲を指定しない場合は過去7日間がデフォルト
  • アプリケーション名は表示名ではなく一意の識別子(例: web-store)を指定する

やってみた

Cloud Hub の Optimization ページで Gemini Cloud Assist チャットを使ってコスト分析を試してみます。

前提条件(必要な IAM ロール)

Gemini Cloud Assist によるコスト分析を利用するには、以下の IAM ロールが必要です。

IAM ロール 用途
roles/cloudhub.operator Cloud Hub のデータ参照(Cloud Monitoring・Cloud Logging・Active Assist 推奨事項等を含む)
roles/viewer コストデータの参照(または billing.resourceCosts.get 権限を持つカスタムロール)
roles/geminicloudassist.user Gemini Cloud Assist チャットの利用

API の有効化

作業に必要なAPIを有効化していきます。
Cloud Hub を初めて開くと、「Cloud Hub へようこそ」という文字が表示されます。

Cloud Hub ホーム画面(初回アクセス時)

右上に表示されている 「API を有効にする」 ボタンをクリックします。

「API を有効にする」ボタン

「Cloud Hub の設定」ダイアログが表示されます。Cloud Hub の各機能が使用する API がカテゴリ別に一覧表示されるので、必要なものにチェックを入れて 「有効にする」 をクリックします。

Cloud Hub の設定ダイアログ

今回のコスト分析機能を使うために必要な API は 「最適化」 カテゴリの以下の 2 つです。

API 用途
App Optimize API Gemini Cloud Assist へのコスト・使用率データの提供
Recommender API Active Assist によるコスト最適化推奨事項の生成

その他のカテゴリ(容量・健全性・デプロイ・メンテナンス)の API は Cloud Hub の別ページ向けです。最適化ページのみ使う場合でも、まとめて有効化しておくと Cloud Hub をフル活用できます。

最適化 ページを開く

Google Cloud Console の左メニューから Cloud Hub最適化 を選択します。

Gemini 生成インサイトを確認する

最適化 ページを開くと、ページ内に 「Insights generated by Gemini」 という折りたたみセクションが表示されます。

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このセクションを展開すると、Gemini Cloud Assist が直近 7 日間のコスト変化とリソース使用状況の要約を自動生成して表示します。

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たとえば上記のキャプチャでは、以下の内容が要約として記載されています。

  • 4月23日に xxxxx@example.com によって vm01 と vm02 が作成された後、日次コストは約10倍に急増しました。
  • Compute Engine と Cloud Monitoring が主要なコスト要因となっており、Network Intelligence Center と Security Command Center のプレミアム機能に対する新たな費用も発生しています。
  • 新たに追加された Compute Engine リソースは極めて低い使用率を示しており、アクティブなインスタンス全体の vCPU 平均使用率はわずか1.4%となっています。

といった形で、ドリルダウン不要で概況を把握できます。

インサイトについて詳しく知りたい場合は、セクション内の 「Ask a follow up question」 をクリックするとチャットパネルが開き、追加質問を続けられます。

Gemini Cloud Assist チャットを開く

ページ右上(または任意のページのツールバー)にある Gemini アイコン(✦) をクリックすると、Gemini Cloud Assist チャットパネルが右側に展開されます。

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コスト増加の原因を質問してみる

シナリオ 1:コスト急増の原因を調査する

先月に比べてコストが増えていると感じたとき、まず全体像を把握する質問から入ります。

先月と比べてコストが増加しているサービスを教えて

Gemini はコスト変化の主要因となったサービス(例:BigQuery、Compute Engine)、増加額の概算、原因として考えられるリソース変化(インスタンス数の増加、SKU変更など)を要約して回答します。

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追加で原因を深堀りしたいときはそのままチャットを続けます。

Compute Engine のコスト増加について詳しく教えて

Gemini Cloud Assist によるコスト増加の詳細分析

Gemini は以下の内容を分析して回答してくれます。

  • 直接原因: 4月23日に asia-northeast1-b で e2-micro インスタンス(vm01・vm02)が 2 台作成された
  • 作成者: 監査ログから作成を実行したアカウントを特定
  • 構成の詳細: 各インスタンスは 10GB 標準永続ディスク(pd-standard)付きで、Persistent Disk のコストも増加
  • 継続的な影響: インスタンスが稼働し続ける限り、1 日あたり約 88 円程度のコストが継続発生

さらに詳しく確認したい場合は 「View full analysis」 をクリックすると、より詳細な Cost Analysis 画面が開きます。

Cost Analysis フル分析画面
Cost Analysis フル分析画面

Cost Analysis 画面では以下が確認できます。

セクション 内容
概要 コスト増加の原因サマリーと影響範囲
実施した調査 Gemini が行った分析(コスト推移・リソース特定・SKU 分析・監査ログ確認)の一覧
ワークロードとサービス別のコスト リソース名・タイプ・日次コストの内訳(vm01, vm02 それぞれの金額)
SKU レベルのコスト分析 E2 Instance Core / Ram など SKU 単位での費用内訳
ログデータとの相関 監査ログ(Cloud Audit Logs)を確認したイベント内容
結論 レポートの結論

画面上部の Important Notice(「Gemini can make mistakes」)が示す通り、分析結果は参考情報として活用し、実際の対応前に Billing レポートや監査ログで内容を確認することをおすすめします。

Cost Analysis フル分析の画面キャプチャでは全文を載せることができなかったので、全文を以下に載せておきます。

> ⚠️ **Important Notice**
> Gemini can make mistakes. Saving costs or other improvements are not guaranteed. Verify any solution before implementing.

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## 概要

2026年4月23日にCompute Engineのコストが大幅に増加しました。調査の結果、同日に新しいVMインスタンスが2台作成されたことが主な要因であることが判明しました。

主な変更点は以下の通りです:

- **コストの増加:** 4月23日の約28.67円から、翌24日には82.47円に上昇しました。
- **原因:** 2つの新しいe2-microインスタンス(vm01およびvm02)の作成。
- **実行者:** xxxxx@example.com 氏による操作。

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## 実施した調査

1. **コストデータの取得:** 直近30日間のCompute EngineおよびPersistent Diskのコスト推移を確認しました。
2. **リソースごとの内訳:** 増加したコストの要因となっているリソースを特定しました。
3. **SKU分析:** E2インスタンスのコアおよびメモリの利用料が増加していることを確認しました。
4. **監査ログの確認:** リソースの作成日時および実行者を特定しました。

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## ワークロードとサービス別のコスト

| リソース名 | 製品 | タイプ | 4/23-4/24 合計コスト |
|-----------|------|--------|---------------------|
| vm01 | Compute Engine | Instance | 55.58 JPY |
| vm02 | Compute Engine | Instance | 55.56 JPY |

また、これに伴い **Persistent Disk** の利用料も1日あたり約0.43円から **5.97円** に増加しています。

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## SKUレベルのコスト分析

以下のSKUがコスト増加の主要な要因です:

- **E2 Instance Core running in Japan:** 合計 72.47 JPY
- **E2 Instance Ram running in Japan:** 合計 38.67 JPY

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## ログデータとの相関

監査ログ(Cloud Audit Logs)を確認したところ、以下のイベントが記録されていました:

| 日時 (UTC) | イベント | 操作 |
|-----------|---------|------|
| 2026-04-23 22:38:57 | vm01 の作成 | v1.compute.instances.insert |
| 2026-04-23 22:39:24 | vm02 の作成 | v1.compute.instances.insert |

**実行者:** xxxxx@example.com

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## 結論

今回のコスト増加は、**東京リージョン(asia-northeast1-b)** における2台のVMインスタンス(e2-micro)の新規作成によるものです。これらのインスタンスは現在も稼働中であり、今後も1日あたり合計で約 **88円**(Compute Engine + Disk)程度のコストが発生し続けることが予想されます。

シナリオ 2:特定リージョン・サービスのコストを確認する

2026-03-01 から 2026-03-31 の asia-northeast1 のリソースのコストを教えて

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日付範囲を指定しない場合は過去 7 日間がデフォルトです。月次コストを確認したい場合は「先月の」または具体的な日付範囲を明示します。「前の週の」と書くと直前の月曜〜日曜の期間が対象になります。

先月の Cloud Run の費用を教えて

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先月のプロジェクトのCloud Run費用も調査して報告してくれます。

シナリオ 3:無駄なリソースを特定する

最もアイドル状態になっているリソースと削減できるコストの試算を教えて

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Gemini は Compute Engine・GKE・Cloud SQL・Cloud Run の使用率データを元に、削減候補リソースと月次削減見込み額を提示します。

プロンプトを書くコツ

Gemini Cloud Assist は自然言語で質問できますが、より精度の高い回答を得るにはいくつかのコツがあります。特に「どのプロジェクト・期間か」を明確にすることが重要で、曖昧なプロンプトだとデフォルト(過去 7 日・現在選択中のプロジェクト)が使われます。

ポイント 説明
1 質問 = 1 プロジェクト 1 回のプロンプトで複数プロジェクトの横断比較はできません。プロジェクトを絞って質問してください
日付範囲を明示する 指定なしは過去 7 日間。月次比較には「先月の」または 2025-10-01 to 2025-10-31 形式で指定
アプリ名は ID で指定 App Hub のアプリケーションは表示名ではなく一意の識別子(例:web-store)を使う
フォローアップにはプロジェクト ID を含める 複数プロジェクトを連続して質問する際は、都度プロジェクト ID を明記する

Gemini Cloud Assist でコストを確認できる範囲

Gemini Cloud Assist はバックエンドで App Optimize API を使用しており、Cloud Hub の Optimization ページと同じデータソースに基づいて回答します。そのため、Optimization ページで表示できる範囲のコスト・使用率データは基本的に質問で引き出せます。一方、複数プロジェクトをまたぐ横断集計Committed Use Discounts(CUD)の推奨は対象外です。

質問の種類 対応
プロジェクト全体の月次コスト
特定リージョンのリソースコスト
特定 GKE クラスターのコスト
App Hub アプリケーション単位のコスト
オーバープロビジョニングリソースの特定
コスト異常の根本原因分析
複数プロジェクト横断の比較 ❌(1回1プロジェクトまで)

関連機能:Proactive cost optimization(Private Preview)

より進んだ機能として、Proactive Mode による自動コスト異常調査が Private Preview で提供されています(利用には Premium Support 契約が必要)。

https://docs.cloud.google.com/cloud-assist/proactive-cost-optimization?hl=ja

通常の Gemini Cloud Assist チャットがユーザーの質問に答える「受動的」な機能であるのに対し、Proactive Mode は Cloud Billing がコスト異常を検出した際に Gemini が自動的に根本原因調査を開始する という「能動的」な機能です。

  • バックグラウンドで課金データを監視
  • コスト異常(Cost Anomaly)を検出したら自動調査(1日1プロジェクトまで)
  • 調査完了後、Cloud Hub Optimization ページで根本原因の分析と修正提案を確認可能
  • Eventarc と連携して調査完了通知を自動化することも可能

現時点では Private Preview かつ Premium Support 契約が必要ですが、今後 GA されることを期待したいと思います。

まとめ

今回は、Cloud Hub の Optimization ページに追加された Gemini Cloud Assist によるコスト分析機能について紹介しました。

項目 内容
追加日 2026年4月22日
機能 コスト変更の説明・リソース使用量関連の変更インサイト
利用場所 Cloud Hub Optimization ページ
操作方法 Gemini Cloud Assist チャットに自然言語で質問

コスト増加の原因調査はこれまで BigQuery Export のクエリや Billing レポートの手動分析が必要でしたが、Gemini Cloud Assist に自然言語で聞くだけで根本原因の仮説提示まで一気に行えるようになりました。「コストが増えた気がするけど原因が追いきれていない」という方はぜひ Cloud Hub の Optimization ページから試してみてください。

この記事が誰かの助けになれば幸いです。

以上、クラウド事業本部コンサルティング部の渡邉でした!

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