オリジナルカレー作りから見る標準化の進め方

2019.10.29

お料理大好きかめです。
過去のブログでもお伝えしましたが、独身時代はスパイスから作るオリジナルカレーのレシピ研究なんぞをしておりました。

さて、今回は、私のオリジナルカレー作りのステップ例をご紹介しつつ、世界一簡単な(と自負している)標準化の始め方をお伝えしたいと思います。

そもそも標準化って必要?属人化はだめ?

前職でも現職でも、よく「標準化」が課題という声を耳にしています。
実際、標準化して、業務を分散することは重要だと思うのですが、最近の私は、なんでもかんでも標準化する必要はないかなと考えています。(以前は、何のために標準化するのかをすっ飛ばして、標準化おばさんというくらい、色々と標準化しようとしていました)

例えば、ノーベル賞を受賞したような研究について、研究の仕方や考え方のコツをまとめて標準化したところで、既存のやり方を見直すきっかけにはなるかもしれませんが、新たなノーベル賞を取得するような成果は出にくいと思います。

このように、ある程度、自由な発想や、変則的な対応をした方が成果が出るクリエイティブ系のものについては、無理に標準化する必要はないと考えるようになりました。
逆に、以下に当てはまるものは標準化の目的次第ですが、どんどん標準化(可能であれば自動化まで)を進めた方が良いと考えています。

  • ある程度、やり方が確立されている、もしくは確立できる(同じやり方を反復している)
  • 複数人で対応している
  • 品質(作業結果など)を一定に保ちたい

標準化のステップ

標準化についてお話しする前に、標準化のステップ例として CMMI のプロセスの成熟度モデルをご紹介します。
プロセスの成熟度モデルは、私が大好きな ITIL や COBIT などのフレームワークでも紹介されているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

プロセスって何?という方は、こちらをご覧ください。

レベル 状態 説明
0 存在しない プロセスとして存在しないので、実行されないこともあるような状態
1 初期 場当たり的、もしくは属人的ではあるものの、対応はされる状態
2 管理された(反復できる) 手順の文書化などで、同じ手順やプロセスなどを反復(再現)できる状態
3 定義された(標準化) 基本となるプロセスが定義(標準化)されている状態
4 定量的に管理された(測定できる) プロセスの状態を定量的に測定できる状態
5 最適化している 測定したプロセスの状態を基に継続的な改善ができる状態

一口に標準化と言っても、まずは、何かの作業が発生した時に、自分自身が同じ手順を反復し、結果を再現できる状態にすることが標準化の第一歩になります。
それでは、オリジナルカレー作りのステップとともに、標準化の進め方をご紹介していきたいと思います。

オリジナルカレー作りから見る標準化の進め方

私は、以下のようなステップでオリジナルカレーのレシピ研究をしていました。

ステップ 0 からステップ 1 へ

前職の同僚が作ったカレーを味見させてもらったり、レシピをもらったりしているうちに、自分もカレーが作りたくなり、レシピ研究を始めることにしました。

仕事に置き換えると、作業依頼がきた、作業が必要な状況になった…などのきっかけでプロセスが存在しない状態から初期状態へ移行します。

ステップ 1 : とにかく作ってみる(初期)

料理本などでレシピや、大まかな調理工程を調べつつ、まずは、とにかく作ってみました。
料理本のレシピをそのまま使うこともあれば、適当に材料やスパイスの配分を変えてみたり、工程の順番や内容を変えてみたり…と毎回、微妙に異なるカレーを作っていました。

仕事に置き換えると、対応方法を Web などで調べたり、検討したりして、手を動かしてみているような状態です。

ステップ 2 : 作業工程や材料の配分をメモに書く(管理された(反復できる))

何度かカレー作りをしているうちに、あの時できたあれは良かったなーと思いつつも再現できないことが出てきたので、材料や工程などをメモに書き始めました。

<メモの例>

  • 玉ねぎ 1 個 粗みじん
  • ニンニク、生姜 みじん切り
  • 鶏モモ 1 枚
  • コンソメ
  • クミンシード、コリアンダー、レッドチリ、ターメリック、ガラムマサラ、シナモン
  • トマト缶

  • クミンシード、ニンニク、生姜で香りだし

  • 玉ねぎを飴色に
  • トマト、コンソメ
  • スパイスを 5 振りくらいつつで味見しつつ、塩

メモを見ながらカレーを作り、前回はこうだったけど、こんな風にしたいからこう変えようなどと、材料や工程を変えて、どんどんメモに反映していったところ、だんだんと配分なども固まってきて、良いと思う味が再現できるようになってきました。

仕事に置き換えると、ある作業を自分が対応する時の手順が自分(または、チーム)の中で固まり、その作業をする時には、毎回、同じ手順で自分自身(または、チーム)が再現できる状態です。
1 人作業の場合は、自分の頭の中がメモがわりになるかもしれませんが、複数人で作業する場合や、この後のことを考えると、最初は自分だけがわかるメモでも良いので、何をやったかを文書化することをオススメします。
障害の調査など、メモを取りながら作業をするのが難しい場合は、画面録画などをしておいて、後で見返しながら作業記録を書き出してみるのも良いと思います。

ステップ 3 : 情報交換(定義された(標準化))

自分の中でベストカレーレシピが固まってきた頃、ステップ 0 できっかけとなった同僚と、相互にレシピ交換や情報交換などをしていきました。
互いに相手のレシピを使ってみると、相互にわかりにくい表現や、暗黙知となっている工程などに気づいたり、辛さを出したいならこのスパイスをこのくらい…などの目安が見えてきたりしました。
それらの気づきをまとめていくうちに、レシピに書いた方が良いポイント、用語のズレ、基本のカレー作りレシピ、アレンジしたい時のポイント(辛さを出したいなどのやりたいことと対応方法)やレシピ例などが出来てきました。

仕事に置き換えると、標準化の目的から考えて対応が必要なことがある場合、手順書を書く時に必ずこれは書こう!、こういうところは認識がズレやすいから認識を合わせるための何かをしよう!(用語集を作るなど)…など、プロセスの定義の仕方が定まり、それに合わせてフローや手順などを整備することで、例えば、ミスを減らして品質を均一にするといった、標準化の目的達成を目指せる状態です。

ステップ 4 : 定量的に管理された(測定できる)

私のカレー作りでは、「オリジナルカレーを作りたい」が目的だったので、ここまでは到達しませんでした。

仕事で考えるなら、標準化の目的とそれを達成できたかを判断する基準 (KPI) を定義し、対象のプロセスについて、月次や四半期ごとの単位などで定量的に状況を測定できるような状態です。

例えば、「ミスを減らして品質を均一にする」ことを目的としていたのであれば、月次でミスの件数を確認することで、今のやり方で良いのか、改善が必要なのかが判断できるようになります。
これを実現するためには、もちろんミスの件数をカウントする仕組みが必要になるので、目的から達成目標と KPI(月次ミス件数は 2 件以内など) 、どのようにミスを記録するのか、ミスの記録対象は何か(ミスの定義)などを決めて、管理するためのプロセスをまわしていきます。

ステップ 5 : 最適化している

ステップ 4 で、目的を達成できたか測定できるようになると、以下のようなパターンが見えてきます。

  • 目標が低すぎて達成できている
  • 目標は適切だが達成できている
  • 目標は適切だが達成できない
  • 目標が高すぎて達成できない

この測定した結果に応じて、目標自体、またはプロセスなどを見直し、改善することを継続的に続けている状態です。
測定結果を基に、どのパターンに該当するのかの判断とそれぞれのパターンの場合にどのような対応をするのかを定義することでこの状態を維持していきます。

一番伝えたいこと

私自身、標準化に関しては失敗したこともたくさんあります。
これからも、まだ失敗はあると思いますが、以下の点をポイントに標準化を進めていきたいなと考えています。

  • 何のために標準化するのかを関係者と意識合わせする
  • 今、どのステップなのかを理解した上で、まずは次のステップを目指す(一気に最適化まで進めない)
  • 自分がやっていることをプロセス化できるように、とにかくメモを残す(まずは、自分がわかるレベルで)
  • 自動化をするとしても、なるべくプロセスを整理して、反復できる状態になってから(プロセスが固まってからの方が修正が少ない、とにかく手を動かして作ってみたい時は趣味の範囲で)