CopilotKitとMastraのクイックスタートを試してみた

CopilotKitとMastraのクイックスタートを試してみた

CopilotKitとMastraのクイックスタートを試してみました。AG-UIの今後が楽しみです。
2025.09.18

CopilotKitとMastraを利用したクイックスタートを試してみます。LLM ProviderとしてAmazon Bedrockを用います。

データの流れ

今回用いるCopilotKit <> Mastra Starterにおけるデータの流れと各コンポーネントを見てみます。

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フロントエンド(ブラウザ)

CopilotSidebar

  • チャットインターフェイスとしてCopilotSidebarを使用
  • ユーザーとの対話を提供
  • サイドバーでなく、シンプルなチャットインターフェイスはCopilotChatもあります

CopilotKit Provider

  • アプリケーションの状態を読み取り、理解し、コンテキスト認識アクションを実行
  • フロントエンドツール(useCopilotAction)とエージェントとの状態共有(useCoAgent)を管理

CopilotKit Hooks

  • useCopilotAction: フロントエンド側で実行可能なツールを定義
    • 定義したツールはチャット時にエージェントに渡されます。エージェントがツール呼び出しを行った際にはフロントエンドで指定のツールが実行されます。
  • useCoAgent: エージェントと共有する状態を管理
    • useStateのようなインターフェスで、フロントエンド、エージェントともに状態を参照・編集が可能

今回使うもの以外にも色々なUIコンポーネントやフックなどがあります。詳細はドキュメントを参照ください。

API層

Next.js API Route(/api/copilotkit)

  • CopilotKitからのリクエストを受け付けるエンドポイント

GraphQL Yoga Server

  • CopilotRuntimeNextJSAppRouterEndpointとして動作
  • GraphQLクエリの処理とルーティングを担当

MastraAgent(AG-UIとMastraの相互変換用ラッパー)

  • AG-UIとMastraの間のデータ変換を担当
  • 異なるフレームワーク間の互換性を提供

Mastra層

Mastraインスタンス

  • エージェント、ツール、メモリなどが登録されたMastraインスタンス
  • インスタンスを介してエージェントを呼び出し

Mastra Tools(weatherTool)

Mastra Memory(LibSQL Store)

  • エージェントの会話履歴や状態を保存
  • libSQLベースの永続化ストレージ
  • PostgreSQLなど他のストレージも利用可能

試してみる

セットアップ

CopilotKit <> Mastra Starterをクローンします。

			
			gh repo clone CopilotKit/with-mastra

		

pnpmでパッケージをインストールします。

			
			pnpm install

		

LLMプロバイダはBedrockを用いるため、OpenAI用AI SDKを削除し、Bedrock用をインストールします。執筆時点において、AG-UIのMastra用アダプタがMastraのstreamVNextに対応していないため、@ai-sdk/amazon-bedrockは2系を利用します。
※ 9/23にstreamVNextがstreamに置き換わるようです。 参考: mastra/coreのCHANGELOGで置き換えを9/23に延期するという記載

			
			pnpm rm @ai-sdk/openai && pnpm add @ai-sdk/amazon-bedrock@2

		

.envファイルを作成し、BedrockへのアクセスのためにAWSの認証情報を環境変数に設定します。今回はアクセスキーIDとシークレットアクセスキーを利用します。@ai-sdk/amazon-bedrockのバージョンが3以降であれば、APIキーでの利用も可能です。

			
			AWS_ACCESS_KEY_ID=your-access-key-id
AWS_SECRET_ACCESS_KEY=your-secret-access-key
AWS_REGION=your-region

		

LLMプロバイダとしてBedrockを使うように変更

AI SDKのBedrockプロバイダを利用するように変更します。

src/mastra/agents/weather-agent.ts
			
			@@ -1 +1 @@
-import { openai } from "@ai-sdk/openai";
+import { bedrock } from "@ai-sdk/amazon-bedrock";
@@ -15 +15 @@
-  model: openai("gpt-4o"),
+  model: bedrock("apac.anthropic.claude-sonnet-4-20250514-v1:0"),

		

エージェント(mastra)の動作確認

MastraのLocal Dev Playgroundを利用して、Bedrockへのリクエストが可能かなどエージェントの動作を確認してみます。

以下のコマンドでmastraサーバーを起動します。

			
			pnpm dev:agent

		

http://localhost:4111/ にアクセスすることで、Local Dev Playgroundを表示できます。

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エージェントを選択すると、該当エージェントとやり取りができる画面が開きます。画面下部のメッセージを入力して、Bedrockへリクエストができることを確認してみます。

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動作してそうです。

天気を聞いてみて、ツールが動作してることも確認してみます。

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動作してそうです。

ツールの呼び出し状況も確認できます。2回同じツールを呼び出してるのは一度目で東京でだめだったので、次はTokyoで試したようです。このように実際のLLMにつなぎこんでツールが意図した通りに動いてることが確認できるのは便利ですね。

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その他にもLocal Dev Playgroundでは、Toolsやエージェントの評価、ワークフローの可視化なども可能なようです。フロントエンドとは別でエージェント単体で動作確認できるため、開発時には便利そうです。

フロントエンドを含めた動作確認

次はNext.jsを動かし、フロントエンドを含めて動作確認してみます。

			
			pnpm dev

		

http://localhost:3000/ にアクセスすると、画面が表示されます。

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画面左下のボタンを押すと、CopilotKitのInspector画面が表示されます。layout.tsxのCopilotKitにライセンスキーを設定してる場合は、Inspector画面を使えるようになります。

このようにaction(tool)の一覧やメッセージなどを確認できます。

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チャットを入力してみます。入力したメッセージは表示されますが、AIの回答は表示されません。

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調べてみると、エラーログもでていなさそうですが、トレースを有効にしてみたところ、Bedrockへのリクエスト時にエラーになっていることがわかりました。

エラー内容は次のとおりです。

			
			undefined: 1 validation error detected: Value '' at 'toolConfig.tools.3.member.toolSpec.description' failed to satisfy constraint: Member must have length greater than or equal to 1

		

以下のように、フロントエンドツールのdescriptionを記載します。

src/app/page.tsx
			
			@@ -15,25 +15,33 @@
export default function CopilotKitPage() {
   // 🪁 Frontend Actions: https://docs.copilotkit.ai/guides/frontend-actions
   useCopilotAction({
     name: "setThemeColor",
-    parameters: [{
-      name: "themeColor",
-      description: "The theme color to set. Make sure to pick nice colors.",
-      required: true,
-    }],
+    description: "Set the theme color of the application",
+    parameters: [
+      {

		

改めて、動作を確認してみます。
テーマの色変更を試してみます。

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動いてます! useCopilotActionを用いて、フロントエンド側のテーマの色変更が実行されています。Mastraにおいてワーキングメモリの更新のためにupdateWorkingMemoryツールが使われるようです。フロントエンド側でuseCopilotActionで同名のツールが定義されています。エージェント側のログを見たところ、LLMに渡されているツールは['weatherTool', 'updateWorkingMemory', 'setThemeColor' ]でした。該当ツールが呼び出された場合にフロントエンド側で同じツールが実行されているようです。

続いて、Proverbsの更新を試してみます。

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useCoAgentによってエージェント側のstateでproverbsが追加され、フロントエンド側でも表示されています。

天気の取得も試してみます。

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動いていそうです。weatherToolもupdateWorkingMemory同様にuseCopilotActionで定義されているため、呼び出されると、カードが表示されるようになっています。

補足: ハイドレーションエラー

CopilotSidebarでハイドレーションエラーが発生することがあります。コンポーネントが大きいことで起きており、dynamic importを利用することで解消できるようです。

※ 試した際、最初はエラーがでていたんですが、ライセンスキーを設定後はエラーがでなくなりました。

さいごに

CopilotKitとMastraを利用したクイックスタートを試してみました。CopilotKitによって、エージェントとフロントエンド双方のデータやり取りや処理などが楽に行えるため、エージェントアプリの開発を楽にできそうです。UIコンポーネントを使わず、フックだけを利用することで、エージェントとのやり取りを楽にするというメリットを得つつ、プロダクトに合わせた柔軟なUIを作成することも可能そうです。

CopilotKitが主導している、エージェントとフロントエンド間のやりとりをプロトコルとして定めたAG-UIにより、エージェントフレームワーク間の相互運用性を高めることにつながります。エージェントごとにフレームワークが異なる場合や利用するフレームワークを変更する場合などに活きてきそうです。フロントエンド側のフレームワークとしても、エージェントフレームワークごとの対応コストが減るため、フロントエンドコミュニティの活性化にも繋がりそうです。AG-UIは仕様改善だけでなく、新たなエージェントフレームワークへの対応も随時行われています。ロードマップで状況を確認できるため、今後の動向にも注目していきたいと思います。

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