【アップデート】Cost Anomaly Detection のAWS管理モニターが拡張。リンクアカウント、コスト配分タグ、コストカテゴリの監視に対応しました
以下のアップデートを紹介します。
Cost Anomaly Detection は、機械学習を使用してAWSコストの異常を検知するサービスです。 無料で利用でき、 モニターを設定することで、 設定された基準で自動でコスト推移を把握してくれます。 異常なコスト推移があった場合には、 事前に設定した通知先へ連携されます。
今回の更新でAWS管理モニターが拡張されました。 リンクアカウント、コスト配分タグ、コストカテゴリの監視に対応しています。

AWS Organizations 組織内のコストについて、 漏れなく・効率的に異常検知の基盤を構築したい時に役立ちます。
本ブログでその内容を紹介します。
何が嬉しい?
そもそも Cost Anomaly Detection のモニターには「AWS管理」と「顧客管理」の2種類があります。 AWS管理モニターはAWSが自動で対象リソースを追跡し、顧客管理モニターは監視対象を手動で指定する方式です。

AWS管理のモニター

顧客管理のモニター
たとえば、「特定のコスト配分タグに基づくコスト」を追跡したい場合を考えてみます。 今までの顧客管理モニターでも追跡は可能でしたが、 タグの値を明示的に指定しないといけませんでした。 なおかつ指定できるタグの値は10個までです。[ここが辛みポイント]

今回のアップデートで、たとえば AWS管理のコスト配分タグモニターは 特定コスト配分タグの すべてのタグ値を自動追跡できます(最大5,000個)[嬉しいポイント!] 。 複数アカウント/複数プロジェクトで、 タグ値のバリエーションがスケールし続けるような環境では、 とても嬉しい機能だと思います。
他の種類のモニター(リンクアカウント、コストカテゴリ)も 同じような自動追跡が可能です。 まとめて表にするとこんな感じ。
| 監視する軸 | AWS管理モニター | 顧客管理モニター |
|---|---|---|
| AWSサービス | すべてのサービスを自動追跡 | (そもそも非対応) |
| リンクアカウント | new! すべてのアカウントを自動追跡(最大5,000) | 最大10個を手動選択 |
| コスト配分タグ | new! 全タグ値を自動追跡(最大5,000) | 最大10個のタグ値を手動選択 |
| コストカテゴリ | new! 全カテゴリ値を自動追跡(最大5,000) | 1個のカテゴリ値を手動選択 |
モニターを作ってみる
今回はAWS管理の "コスト配分タグ" モニターを作ってみます。
コスト異常検出の [コストモニター] タブから [モニターを作成] を選択します。

モニター名とモニタリング方式を選択します。 AWS管理の [コスト配分タグ] モニターは コスト配分タグキーを選択します。 (タグキーの値は選択しなくても良い!)

あとはアラートサブスクリプションを設定して、作成します。 ここは他のモニター作成手順と変わりません。

アラートサブスクリプションの作成(今回は新規作成)

作成後のモニター画面
なお 作成した直後であり、特に異常は出ていないので 通知サンプルは載せられませんでした🙇♂️
実際の動作イメージは以下ブログが丁寧に解説されているので参考ください。
制約1: 作成できるモニターディメンションは1つのみ
リンクアカウント、コスト配分タグ、コストカテゴリのうち、 1つのみ のAWS管理モニターを作成できます。 たとえばAWS管理の "タグ" モニターを作った後に、 "連結アカウント" モニターを作ろうとすると、以下のようなエラーが出ます。

エラー: コストカテゴリ、コスト配分タグ、または連結アカウントタイプの AWS 管理モニターは 1 つしか使用できません。
制約2: メンバーアカウントでは作れない
メンバーアカウントで作ろうと思うと作成時にエラーが出ます。 メンバーアカウントで作れるAWS管理モニターは "サービス別" のみです。

エラー: モニターを作成できませんでした。メンバーアカウントの場合は、AWS のサービスのモニターのみ作成できます。カスタムモニタリング (連結アカウント、コストカテゴリ、コスト配分タグ) はオプションとして使用できません。
おわりに
以上、Cost Anomaly Detection のアップデートを紹介しました。
多数のAWSアカウントを管理している環境や、 コスト配分タグ値(またはコストカテゴリ)のバリエーションが多い環境では 特に恩恵があると思います。 規模の拡大に追従して、メンテナンスフリーなコスト異常検知基盤を構築できそうですね。
以上、参考になれば幸いです。






