DGX Spark の Qwen3.8 と GLM-5.3-Flash、4 構成を用途別に比べてみた

DGX Spark の Qwen3.8 と GLM-5.3-Flash、4 構成を用途別に比べてみた

DGX Spark で Qwen3.8 と GLM-5.3-Flash の 1 台・2 台構成を用途別に比較しました。Flash-Next は日本語の機械判定 9/9、Qwen3.8-27B は 8 並列合計 136 tok/s でした。回答完了までの待ち時間やツール呼び出しの制約、運用面の違いから選び方を紹介します。
2026.09.06

はじめに

こんにちは、クラスメソッド製造ビジネステクノロジー部の森茂です。

GLM-5.3-Flash を DGX Spark 1 台の 2-bit で動かし、続けて 2 台の NVFP4 で動かす記事を書きました。どちらも最後は「2 台目を買う価値はどこにあるか」に着地しています。ただ、自分が本当に切り分けたかったのは、手元の 1 台に何を載せれば自分の用途に足りるのか、そして速度が速いことだけが答えなのか、というところでした。

https://huggingface.co/Qwen/Qwen3.8-Flash-Next

そこへ Qwen3.8-Flash-Next の登場です。125B の MoE ですがアクティブパラメータ(1 トークンの処理で実際に使う重み)は 6B で、51B の n-gram 埋め込み表を持つ変わった構造です。公開直後の試算では NVFP4 の checkpoint が 122 GiB あり、1 台の 128GB には載らないと書きました。ところが公開から 1 週間ほどで、その埋め込み表を NVMe から mmap で読む vLLM のパッチがコミュニティから出て、1 台で起動する報告が並びはじめました。320B を 3-bit まで削って 1 台に押し込む GLM-5.3-Flash、mmap のパッチで 1 台に載った Qwen3.8-Flash-Next、そもそも小さい Qwen3.8-27B。1 台の選択肢が 3 つ揃ったので、GLM の 2 台構成を基準線にして、同じハーネスで横に並べることにしました。GLM の 3-bit は 1 台編ではロードだけ試していたもので、今回はじめて本戦を回しています。

先に結論を書いておくと、1 人で日本語を書き、長い文書を読ませる用途なら Flash-Next 1 台が、機械判定 9 課題をすべて通し、単発 28.0 tok/s、200K トークンの最初の応答まで 101 秒で、2 台の GLM より速いです。ただし思考が長いぶん、日本語 10 課題を終えるまでの時間は GLM 2 台の 46 秒に対して 219 秒かかります。数人で共有するなら Qwen3.8-27B が 8 並列合計 136 tok/s で最も余裕があり、コードを書いて直す用途は 4 構成とも直しきりました。

1 台編(2026-08-30 時点の記事です)と 2 台編(2026-09-02 時点の記事です)の GLM 2 台の数値は、そのまま比較列に使っています。GLM 3-bit の列は今回、Qwen の 2 本とは別の DGX Spark で同じ日に測った結果です。

https://dev.classmethod.jp/articles/dgx-spark-glm-5-3-flash-first-touch/

https://dev.classmethod.jp/articles/dgx-spark-2node-glm-5-3-flash-nvfp4-vllm/

この記事では、DGX Spark 1 台に載る 3 つの構成を 2 台の GLM と同じ課題で測り、数字と数字に出ない差の両方から、用途ごとにどれを選ぶかの線引きを紹介します。1 台の DGX Spark を持っていて、次に何を載せようか迷っている人に刺さるといいなと思っています。

4 つの構成と測り方

比べたのは次の 4 構成です。1 台の 3 つはそれぞれ、量子化を深くして同じ 320B を押し込む GLM 3-bit、MoE のアクティブパラメータ(1 トークンの処理で実際に使う重み)を 6B に絞った Qwen3.8-Flash-Next、総パラメータ数そのものが小さい Qwen3.8-27B で、「量子化で削る」「1 トークンで使う重みを絞る」「モデルを小さくする」の代表です。2 台の GLM は前回までの基準線です。

構成 モデル 量子化と checkpoint エンジン 機体 常駐メモリ KV プール
GLM × 2 台 GLM-5.3-Flash(320B、アクティブ 18B) NVFP4、RedHatAI 版 vLLM TP=2 2 113〜115 GB × 2 1.15M トークン(fp8)
GLM 3-bit × 1 台 同上 UD-IQ3_XXS GGUF、120.4 GB llama.cpp 1 118 GiB、空き 3 GiB 65,536 × 8 スロット
Qwen3.8-Flash-Next × 1 台 Qwen3.8-Flash-Next(125B、アクティブ 6B) NVFP4、RadixArk 版、122 GiB vLLM + PLE mmap パッチ 1 79.4 GiB 646K トークン(bf16)
Qwen3.8-27B × 1 台 Qwen3.8-27B NVFP4、RadixArk 版、21.9 GB vLLM 1 18.9 GiB 1.27M トークン(bf16)

課題は GLM の 2 記事と同じ自前のハーネスです。日本語 10 課題(自由記述は目で読み、残る 9 課題を機械判定)、コード生成 5 問、テストが落ちるリポジトリの修正、ツール呼び出し、エージェント適性のプローブ、10 ターンの壁打ちと 12,000 字の文書を読ませる 8 問、合言葉を埋めた長文の 5 サイズ。速度は強制長 256 トークンの greedy で、C=1 は 3 回の中央値です。

思考の強さは、GLM が max、high、low の 3 水準、Qwen が xhigh、medium、low の 3 水準と名前が違います。この記事では GLM の max と Qwen の xhigh を「最も強い思考」、low 同士を「弱い思考」として並べています。コンテキストは Qwen の 2 本が 262,144、GLM は 65,536(長文の章だけ 131,072 と 262,144)で、KV キャッシュの型は GLM 2 台だけ fp8 です。

判定の基準は GLM の記事と同じで、ハーネスの課題を落とさないこと、待ち時間が用途に見合うこと、tool_choice=required のようなツール呼び出しの指定に従うこと、文字が壊れないことの 4 つです。エージェント適性は、ハーネスが依存する能力を個別に突くプローブであって、エージェント本体を動かした結果ではありません。

GLM 3-bit の列については 1 つだけ先に書いておきます。Unsloth のドキュメントは 3-bit の UD-IQ3_XXS を 128GB のマシンで動く推奨量子化としていて、DGX Spark 1 台にも載りました。ただし空きは 3 GiB しかなく、llama-server の既定のままだと 8,192 トークン級の生成を続ける途中でホストのメモリが尽きます。--cache-ram 0 --ctx-checkpoints 0 を付けて完走した数値がこの記事の 3-bit の列です。

122 GiB の Flash-Next が 1 台に載る仕掛け

Flash-Next の checkpoint は 122 GiB で、そのうち 47.7 GiB が n-gram 埋め込み表です。この表は 1 トークンの処理で 16 行しか読まないので、常駐させる必要がありません。blazux さんのレシピは vLLM の公式 image にパッチを当て、この表を NVMe 上のファイルとして mmap し、必要な行だけ page cache 経由で引きます。

https://github.com/blazux/qwen3.8-Flash-DGX

起動するとモデルのロードで 79.4 GiB を使い、KV キャッシュには 645,945 トークン分が残りました。262K のリクエストなら同時に 2.5 本です。起動は 866 秒で、GLM 2 台の 542〜608 秒より長く、重みの読み込みだけで 608 秒かかります。長文の章で prefill が 2,000 tok/s 近く出ているので、表を外から引く読み方が速度の足を引いてはいないようです。

NVIDIA 公式の NVFP4 checkpoint は、公式カードの対応ハードが B200 と B300 だけです。同じ image では MTP ヘッドの FP8 block-scale を読む段で落ち、MTP を切れば起動して、速度は RadixArk 版の MTP なしと同じ 17.5 tok/s、日本語は弱い思考で 8/9 でした。レシピの hybrid モード(側層を fp8 に変換)は単発 32.4 tok/s と KV 777,742 トークンに伸びますが、日本語で 1 課題落としていて品質は 1 回の測定では判断を保留し、本記事の本線は変換なしの NVFP4 です。

1 人で書く、読ませる

1 人で使うときに効くのは、単発の速度と、長い文書を読み切るまでの待ち時間です。

構成 C=1 tok/s TTFT 秒 投機デコード
GLM × 2 台 26.05 0.346 DFlash2 k=7
GLM 3-bit × 1 台 15.19 0.441 なし
Qwen3.8-Flash-Next × 1 台 28.01 0.243 内蔵 MTP k=2
Qwen3.8-Flash-Next × 1 台(投機なし) 17.51 0.201 なし
Qwen3.8-27B × 1 台 20.79 0.224 内蔵 MTP k=2
Qwen3.8-27B × 1 台(投機なし) 12.37 0.118 なし

投機なし同士で見ると、Flash-Next の 17.5 は GLM 3-bit の 15.2 と Qwen3.8-27B の 12.4 の上で、投機なし同士では最も速い値でした。投機を入れると Flash-Next は 28.0 で 2 台の GLM を上回りました。Qwen3.8-27B は投機で 1.7 倍伸びて 20.8 になりますが、Flash-Next には届きません。GLM 3-bit は本家に MTP がマージされていないため、この記事では投機なしの数字です。

日本語 10 課題は、弱い思考と、最も強い思考を 16K の予算で回した行を並べます。

構成 弱い思考(low) 最も強い思考、16K 予算
GLM × 2 台 7/9、45.7 秒。50 字制約と固有名詞 8/9、577.5 秒。固有名詞
GLM 3-bit × 1 台 7/9、108.9 秒。50 字制約と固有名詞 6/9、1,994.6 秒。50 字制約、指定語、固有名詞
Qwen3.8-Flash-Next × 1 台 9/9、218.5 秒 9/9、641.2 秒
Qwen3.8-27B × 1 台 8/9、419.7 秒。固有名詞 7/9、2,706.0 秒。数値転記、敬語

Flash-Next だけが 2 水準とも機械判定の 9 課題をすべて通りました。GLM が設定によって落としていた 50 字制約と指定語を、Flash-Next は 2 水準とも通しています。一方で GLM は弱い思考でも 46 秒と 109 秒で終わるのに対し、Flash-Next は 219 秒、Qwen3.8-27B は 420 秒かかります。Qwen の 2 本は low でも思考が長く、出力トークンが GLM の 1,044〜1,092 に対して 6,324 と 5,083 あるためです。合否では Flash-Next、待ち時間では GLM 2 台という結果でした。

長い文書を読ませる用途は、合言葉を 50% の深さに埋めた干し草で TTFT と prefill を測っています。

prompt tok GLM × 2 台 TTFT 秒 GLM 3-bit TTFT 秒 Qwen3.8-Flash-Next TTFT 秒 Qwen3.8-27B TTFT 秒
32,768 22.3 197.8 21.0 16.0
131,072 90.4(131,072) 921.5(120,000) 63.0 96.7
200,000 139.4 100.9 186.0

GLM の 2 列は 2 台編と 3-bit の実測で、3-bit の 2 行目は 120,000 トークンのプロンプトです。TTFT と prefill は投機デコードの影響を受けないので、投機ありの構成もそのまま並べています。

合言葉は 4 構成とも、測ったすべてのサイズで正答でした。今回の合言葉抽出では差が出ず、要約や複数箇所の統合まで同じかは未確認です。違いが出たのは待ち時間です。Flash-Next は 200K を 101 秒で読み切り、prefill は 1,982 tok/s でした。GLM 2 台の 139 秒より 40 秒近く速く、1 台でこの数字が出るのは、疎な注意機構で長い文脈の計算を間引いているためだと理解しています。Qwen3.8-27B は 32K までは最速ですが、文脈が伸びるほど遅くなり、200K では 186 秒でした。GLM 3-bit は空きメモリを確保するためにバッチを小さくしていて、120K で 15 分待ちます。長い文書を毎日読ませる人にとって、ここは 1 台の中で最も差が開く項目です。

コードを書く、直す、エージェントに繋ぐ

コード生成 5 問は、4 構成のどれも 5 問完答、49 テスト全通過の行がありました。Flash-Next の最も強い思考は 8,192 の予算だと 1 問が思考で打ち切られて 4/5 で、16,384 の予算で 5/5 です。予算を足せばここで差はつきません。差が見えたのは、テストが落ちるリポジトリを直させる課題と、ツール呼び出しの指定に従うかどうかです。

構成 コード修正(最も強い思考) tool_choice=required 適性プローブで落ちた項目
GLM × 2 台 5/5、5 ターン、10 ツール実行、38.1 秒 遵守 多ツール選択。max は言語固定も
GLM 3-bit × 1 台 5/5、7 ターン、14 ツール実行、108.9 秒 遵守 多ツール選択。high はテンプレ安定、low は長い system prompt も
Qwen3.8-Flash-Next × 1 台 5/5、11 ターン、14 ツール実行、86.6 秒 受理して 0 件 多ツール選択。low はテンプレ安定も
Qwen3.8-27B × 1 台 5/5、5 ターン、11 ツール実行、119.4 秒 遵守 多ツール選択、テンプレ安定、言語固定。low は長い system prompt も

修正はどれも直しきりますが、GLM 2 台の 38 秒に対して 1 台の 3 構成は 87〜119 秒で、2 倍から 3 倍待ちます。Flash-Next は 11 ターン回っていて、1 回の測定なので手数の差を断定はしませんが、単発が速いのに修正が速くならないのは、ターン数で相殺されているためです。

ツール呼び出しの単発 5 問と、1 メッセージに複数の呼び出しを並べる形、擬似ファイルシステムの課題は 4 構成とも同じ結果でした。違ったのは tool_choice=required で、Flash-Next だけが要求を受理しながら呼び出しを 0 件で返しています。強い思考でも弱い思考でも同じでした。エージェントのハーネスは required を前提に組まれていることが多いので、Flash-Next をエージェントに繋ぐならここは先に確認しておきたい点です。40 個の似たツールから 1 つを選ぶプローブは 4 構成とも落ちました。原因は切り分けていませんが、モデルを替えても量子化を変えても動かなかった項目です。

壁打ちは 10 ターンの企画相談と、12,000 字の文書を読ませて 8 問重ねるシナリオで、想起の照合は Qwen3.8-27B と GLM の 3 構成が全問正解でした。Flash-Next は最も強い思考の 8,192 予算で、8 ターン中 1 ターンが思考で予算を使い切って本文が空になり、その空回答が履歴に残った後の 2 ターンも空で終わり、想起は 10 問中 5 問でした。同じ条件で 2 回測り直すと 16 ターンすべて本文が返って想起も全問正解でしたが、弱い思考の企画相談でも 10 ターン中 1 ターンが空になっています。長い会話を続けるなら予算を 16K に上げるのが有力ですが、それで消えるかは測っていません。Qwen3.8-27B と GLM では 36 ターン以上回して 1 度も起きていません。

みんなで使う

数人で 1 台を共有するときは、8 並列の合計と、1 本あたりに残る速度、そして KV プールの大きさが効きます。

構成 C=8 合計 tok/s 1 本あたり KV プール 262K の同時本数
GLM × 2 台 59.42 13.38 1.15M(fp8、2 台) 4.4
GLM 3-bit × 1 台 51.41 6.75 65,536 × 8
Qwen3.8-Flash-Next × 1 台 92.11 12.19 646K(bf16) 2.5
Qwen3.8-Flash-Next × 1 台(投機なし) 102.91 13.72 973K(bf16) 3.7
Qwen3.8-27B × 1 台 135.98 18.42 1.16M(bf16) 4.4

Qwen3.8-27B の KV プールは投機ありの値で、投機なしでは 1.27M トークンです。GLM 3-bit は 65,536 × 8 スロットの固定割り当てで、262K は載せていません。

Qwen3.8-27B の 136 tok/s は 4 構成で最も高く、1 本あたりも 18.4 tok/s 残ります。モデルの読み込みが 18.9 GiB なので残りを KV に回せて、262K の文脈を 4 本同時に抱えられます。Flash-Next は投機を入れた方が並列の合計が下がる逆転が起きていて、MTP の draft が 8 本分の計算を食うためだと見ています。共有サーバーにするなら Flash-Next は投機なし、それでも Qwen3.8-27B には届きません。GLM 2 台の 59.4 は 2 台編の DFlash2 の行で、投機を内蔵 MTP に替えると 76.2 まで上がりますが、それでも 1 台の Qwen3.8-27B の方が上でした。

数字に出ない差

表の数字だけで選ぶと見落とす差も書いておきます。

起動と運用の余裕です。Flash-Next は起動に 14 分かかり、常駐 79 GiB に KV を足すとホストの空きは 10 GiB 前後で推移します。Qwen3.8-27B は 7 分で上がり、モデルの読み込みは 18.9 GiB です。今回は KV に 85% を割り当てたので空きは Flash-Next と同じ 10 GiB 前後でしたが、割り当てを下げれば別の常駐と同居させる余地があります。同居の動作は確認していません。GLM 3-bit は空き 3 GiB で、上の壁のとおり運用の余裕がありません。2 台の GLM は 2 台分の電源と配線と、両方を落とす手順がついてきます。

動かすものが公式かどうかも違います。Qwen3.8-27B は vLLM の公式 image に checkpoint を渡すだけで起動します。Flash-Next はコミュニティのパッチ 9 本を当てた image と、上流に取り込まれていない mmap の PR に依存していて、vLLM が更新されたときに追従できるかはレシピの作者次第です。GLM 3-bit も Unsloth のブランチで本家未マージのビルドです。半年後に同じ手順で動くかは、Qwen3.8-27B が最も確からしいと思います。

ライセンスも並べておきます。Qwen3.8-27B は Apache-2.0、GLM-5.3-Flash は MIT ですが、Qwen3.8-Flash-Next は Qwen Community License 1.0 で、月間ユーザー数と収益に条件があります。社内で使うだけなら気にする場面は少ないものの、製品に組み込むなら Flash-Next だけ確認事項が増えます。

出力の手触りは、日本語の自由記述を並べると近い印象でした。リモートワークの利点と欠点を 2 つずつ挙げる課題では、4 構成とも通勤時間、場所の自由、コミュニケーションの減少、仕事と生活の境界の 4 点を見出しと段落で返しています。Flash-Next は 293 字で、GLM の 280〜351 字と近い長さ、Qwen3.8-27B は 355 字でした。Qwen3.8-27B の回答には有効時間が「increas し」と英単語が混ざった箇所が 1 つあり、弱い思考の Qwen3.8-27B は日本語の中に英語が漏れることがあります。GLM の 2 構成は設定によって、50 字制約に文字数の自己申告を足して超過し、禁止語を名指しして不合格になることがあり、Flash-Next にはその癖が出ませんでした。

思考の長さも体感に出ます。弱い思考でも Qwen の 2 本は GLM の 5〜6 倍のトークンを考えてから答えるので、合否が良い分だけ待ちます。Flash-Next の本文が空になる件は前の章のとおりで、長い会話では予算の設定が運用の前提になります。

用途別にどれを選ぶか

1 台の 3 構成に 2 台の GLM を並べて、用途ごとにどれを選ぶかを表にしました。判定の基準は「4 つの構成と測り方」の 4 つです。

用途 GLM × 2 台 GLM 3-bit × 1 台 Qwen3.8-Flash-Next × 1 台 Qwen3.8-27B × 1 台 1 台なら
1 人で使う、日本語で書く ✅ 使える ✅ 足りる ✅ 使える ✅ 使える Flash-Next。機械判定 9/9 で唯一の全通過。10 課題を終える時間は GLM 2 台が最短
1 人で長い文書を読ませる、壁打ちする ✅ 使える 🟡 条件付き 🟡 条件付き 🟡 条件付き Flash-Next。200K の TTFT 101 秒。最も強い思考の長い会話は予算 16K が前提
1 人でコードを書く、直す ✅ 使える 🟡 条件付き 🟡 条件付き 🟡 条件付き どれも直しきる。待ち時間は 2 台の 2〜3 倍、Flash-Next の最強思考は予算 16K
エージェントに繋ぐ 🟡 条件付き 🟡 条件付き ❌ required 不履行 🟡 条件付き Qwen3.8-27B か GLM 3-bit。多ツール選択のプローブは 4 構成とも落ちる
数人から多人数で共有する ✅ 使える ❌ 余力がない 🟡 条件付き ✅ 使える Qwen3.8-27B。合計 136 tok/s で 2 台の GLM より上
画像を混ぜる 🟡 VISION 構成 ❌ mmproj なし ✅ 使える ✅ 使える 図表 4/4、OCR 誤り率 0.0。保護具は機械判定が落とすが回答は正しい(目視)

1 台で 1 人が使うなら Flash-Next、1 台をみんなで使うなら Qwen3.8-27B、というのが現時点での数字から引ける線です。GLM 3-bit は合否では並びますが、空きが 3 GiB で prefill が 1 桁遅く、1 人で日本語を書く用途以外は条件付きになります。2 台の GLM が優っているのは、修正 38.1 秒の待ち時間の短さと required の遵守、そして画像を同居させられる余裕で、速度の倍率ではありませんでした。

画像は Flash-Next と Qwen3.8-27B を vision 込みで起動し直して、棒グラフの数値読み取り、点検記録の OCR、作業者の保護具の列挙の 3 課題を回しました。どちらも図表 4/4、OCR の文字誤り率 0.0 でした。保護具はハーネスの機械判定が両者を不合格にしましたが、回答を読むとヘルメットとベストの 2 点を列挙し、写っていない手袋やゴーグルを「描かれていない」と断っていて、否定文を幻覚と数える判定側の偽陽性です。1 台編の GLM 2-bit も図表 4/4、OCR 0.0 だったので、画像を混ぜる用途は 1 台のどれでも足り、GLM 3-bit だけが mmproj を外した分で対象外です。

GLM を 1 台で使い続けるなら、3-bit ではなく 2-bit のままで良さそうです。1 台編の 2-bit と今回の 3-bit を並べると、3-bit で一貫して良くなった項目はなく、コード生成の弱い思考は 3-bit が 4/5、2-bit が 5/5 でした。単発は 17.7 から 15.2 tok/s に 14% 落ち、空きは 11 GiB から 3 GiB に減ります。保持率が 3 ポイント上がる分は、この課題の粒度では見えませんでした。

個人的には、Flash-Next が機械判定の 9 課題を全問通したことより、Qwen3.8-27B が共有サーバーとして 2 台の GLM を上回ったことの方に驚きました。320B の看板を追いかけていた 2 記事のあとで、用途によっては小さいモデルを 1 台で回す方が正解だと数字に言われた形です。

まとめ

DGX Spark 1 台に載る 3 つの構成、GLM-5.3-Flash の 3-bit、Qwen3.8-Flash-Next の NVFP4、Qwen3.8-27B の NVFP4 を、2 台の GLM と同じハーネスで測りました。

Flash-Next は 122 GiB の checkpoint を n-gram 表の mmap で 1 台に載せ、常駐 79.4 GiB、単発 28.0 tok/s、200K の TTFT 101 秒で、機械判定の日本語 9 課題を唯一すべて通しました。思考が長いぶん課題を終える時間は GLM 2 台より長く、最も強い思考では予算を 16K にする前提がつきます。Qwen3.8-27B は 8 並列で合計 136 tok/s、262K を 4 本同時に抱えられて、共有サーバーとしては 4 構成で最も余裕があります。コード生成と修正は 4 構成とも直しきり、2 台の GLM は修正 38.1 秒と required の遵守で差をつけました。

限界も書いておきます。Flash-Next の tool_choice=required の不履行と、最も強い思考で本文が空になる件は、今回の 1 台編で新しく見えた壁で、原因の切り分けは途中です。hybrid モードと公式 NVIDIA 版の品質、画像の 3 課題は 1 回ずつしか測っていません。4 構成の条件は揃っておらず、コンテキスト長、KV の型、投機デコードの有無、思考の水準の名前が違う点は各表の脚注どおりです。

次は、Flash-Next の required の不履行がパーサ側の問題かモデルの癖かを切り分けたいところです。llama.cpp の v0.4.0 に Flash-Next の初期対応が入ったので、GGUF で 1 台に載せる経路を同じ課題で測るのと、公式 NVIDIA 版の MTP を新しい vLLM で動かす件、GLM 3-bit に MTP が乗ったときの再測も試してみたいですね。

参考リンク


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