FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年4月

FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2025年4月

Clock Icon2025.05.01

近年、クラウドコストに関する課題が注目を集めています。私自身も注目してキャッチアップしているテーマです。そんな中で、同じ関心ごとをお持ちの方のお役に立てればと思い、個人的に気になった記事をシェアしています。

早速、2025年4月頃に見かけた記事を紹介していきます。

【Classmethod Cloud Guidebook】 AWSコスト最適化ガイドの紹介・活用方法

https://dev.classmethod.jp/articles/ccg-contents-cost-optimization/

クラスメソッドメンバーズをご契約中のお客様向けに公開しているナレッジ集である Classmethod Cloud Guidebook に、コスト最適化に関するガイドが追加されました。クラスメソッドメンバーズのお客様は、ご参照いただけますと幸いです。

Bedrock Inline AgentでPerplexityなど複数のMCPサーバを使うサンプルを試してみる

https://dev.classmethod.jp/articles/bedrock-inline-agent-multi-mcp/

関連記事:Harness the power of MCP servers with Amazon Bedrock Agents

Amazon Bedrock Agent を利用して Cost Explorer や CloudWatch から情報を取得し、Perplexity で考察するソリューションを検証された記事となります。複数の MCP Server をシームレスに利用することで、それぞれの得意な領域でより精度高く、一連の処理で実施することが出来るようです。

AWS MCPサーバーでTerraformコードを分析しコスト見積もりと構成図を自動生成してみた

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-mcp-server-terraform-cost-analysis-diagram/

関連記事:Introducing AWS MCP Servers for code assistants (Part 1)

AWS から公開されている AWS MCP Server の AWS Diagram MCP Server と Cost Analysis MCP Server を検証された記事となります。

Cost Analysis MCP Server は、これから作成するリソースに関するコストを見積る機能のようです。不要なコスト発生を未然に防止する Shift Left の領域で、類似する製品として InfraCost があります。あわせて、公開されている他の MCP Server と組み合わせて利用することで、環境構築の場面などで活躍しそうです。

DuckDB MCPサーバーでAWSコストを分析、自然言語のみでレポートを作ってみた #catalks

https://dev.classmethod.jp/articles/duckdb-mcp-aws-catalks/

こちらは発生後のコストデータである CUR を用いて DuckDB(MotherDuck)が提供する MCP サーバーと連携して分析、自然言語でのレポート作成(with AWS Documentation MCP Server)を検証された記事となります。自然言語で分析やレポート作成まで行えるため、クエリが苦手な方やクエリを検討するための足掛かりとしても利用できそうです。

How to publish Power BI reports with a privately configured hub instance

(非公開構成のハブインスタンスでPower BIレポートを公開する方法)

https://techcommunity.microsoft.com/blog/finopsblog/how-to-publish-power-bi-reports-with-a-privately-configured-hub-instance/4383053

記事の中で、コスト概要レポートやレート最適化レポート(下記の画像)などのテンプレート(FinOpsツールキットのPower BIレポート)へのリンクが紹介されています。Power BI 及び Azure 向けですが、他クラウド利用中でもレポートやダッシュボードで表示する項目の参考となるものがありそうです。

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[小ネタ] OpenSearch Service のコスト削減やパフォーマンス向上に関する Tips

https://dev.classmethod.jp/articles/opensearch-service-cost-performance-optimization/

最初に全体のコンポーネントを理解した上で、最適化ポイントが紹介されていて、かつ図解付きで、とてもわかりやすく OpenSearch Service のコスト最適化ポイントが理解できる記事です。

HeavyUsage とは何か?RDS のリザーブドインスタンス(RI)料金明細をじっくり見て購入余地を探る

https://dev.classmethod.jp/articles/heavyusage-rds-ri/

RDS RI の料金明細を解説された記事となります。RDS はマルチAZがあることで、料金明細を見て、直感的に状況が把握できないこともあるので、その点も含めて詳細に紐解いてくださっています。今回は購入余地を探すことが目的ですが、購入後に想定した内容で、RI が適用されているかをチェックする際にも活躍しそうな記事です。ブックマークしておきたい記事です。

Cost Optimization Hub supports DynamoDB and MemoryDB reservation recommendations

(コスト最適化ハブは DynamoDB と MemoryDB の予約推奨をサポートします)

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/04/cost-optimization-hub-dynamodb-memorydb-reservation/

DynamoDB と MemoryDB の リザーブドキャパシティやノードが、Cost Optimization Hub の推奨事項に追加されました。見るべき場所が統一されることで、全体の把握や優先順位付けがより実施しやすくなるので、ありがたいですね。

Amazon Bedrock announces general availability of prompt caching

(Amazon Bedrock がプロンプトキャッシュの一般提供を発表)

https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2025/04/amazon-bedrock-general-availability-prompt-caching/

生成 AI 利用が活発になる中で、コスト最適化にも有益な機能が一般提供されるのは、ありがたいですね。あわせて Amazon Bedrock Intelligent Prompt Routing や Prompt Optimization も一般提供が開始されています。適切に利用してコストが理由でブレーキがかからないようにしながら、積極的に生成 AI を利用していき、成果を得たいですね。

[アップデート] Amazon S3 Express One Zoneの料金が下がりました

https://dev.classmethod.jp/articles/update-amazon-s3-express-one-zone-pricing/

関連記事:Amazon S3 Express One Zone の最大 85% の価格引き下げを発表

定期的な値引き、素晴らしいですね。
データアップロードと取り出しは以前は512KBを超える部分について追加料金でしたが、今回からサイズに関係なく課金対象となるようです。

EBA FinOps Party 事例:Sky株式会社様が短期的施策であるクイックウィン最適化により、ワークショップ参加チームにおいて年間 20% のコスト最適化見込み

https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/sky-eba-finops-party-case-study/

コスト最適化実践ワークショップである EBA FinOps Party 事例紹介の記事となります。時おり、事例が紹介されていますが、とても興味深いワークショップです。個人的には Cost Explorer のハンズオンやコスト最適化施策の報告会のパートが気になります。

Exploring Data Transfer Costs for AWS Network Load Balancers

(AWS ネットワークロードバランサーのデータ転送コストの調査)

https://aws.amazon.com/blogs/networking-and-content-delivery/exploring-data-transfer-costs-for-aws-network-load-balancers/

こちらはデータ転送料金の中でも NLB に焦点をあてた記事となります。過去には ALB や CLB 版の記事もあるようです。データ転送料金の理解は難解な面もありますが、図解付きでシナリオがあり、理解しやすい内容となっています。

The frugal HPC architect – ensuring effective FinOps for HPC workloads at scale

(質素な HPC アーキテクト – 大規模な HPC ワークロードに効果的な FinOps を実現する)

https://aws.amazon.com/blogs/hpc/the-frugal-hpc-architect-ensuring-effective-finops-for-hpc-workloads-at-scale/

The Frugal Architect の観点から HPC ワークロードについて考察する記事となります。The Frugal Architect がシンプルで多くを語らない面があるため、特定のワークロードをテーマに書かれているため、具体的なイメージがつかみやすいのではないかと思います。

久しぶりに The Frugal Architect へアクセスしたところ、レイアウト変更やポッドキャストなどのコンテンツが追加されていました。

https://www.thefrugalarchitect.com/

Savings Plans【AWS Black Belt】

https://www.youtube.com/watch?v=Sad1aSix9Ls
https://pages.awscloud.com/rs/112-TZM-766/images/AWS-Black-Belt_2025_SavingsPlans_0430_v1.pdf

AWS 公式の Savings Plans に関する最新のウェビナーです。組織内での割引共有や適用順序、購入計画、購入後のモニタリングまで網羅されていて、これから Savings Plans の購入を検討されている方や最近のアップデートを把握したい方にお勧めです。

Savings Plans に限らず、コスト関連の機能検証や仕様の解釈は確証を得るのが難しい部分もあるため、公式で詳細な情報が提供されるのはありがたいですね。個人的には PDF も良いですが YouTube の方が文脈を理解できるのでお勧めです。

Spring cleaning with FinOps Hub 2.0

(FinOps Hub 2.0 で春の大掃除)

https://cloud.google.com/blog/topics/cost-management/spring-cleaning-with-finops-hub?hl=en

先日開催された Google Cloud Next 2025 でアップデートされた FinOps Hub 2.0 の機能が紹介されています。

  • 最適化の機会検出のための使用率分析機能
  • Gemini Cloud Assist によるレポート作成や分析情報の要約
  • 新しいアクセス制御による適切な情報の開示

以下の記事でも「Spring Cleaning(春の大掃除)」というワードがタイトルにありましたが、欧米では春の大掃除が定番のようですね。こちらの記事では定期的な最適化はコスト以外の目的にもつながることや代表的な AWS サービスでのチェック項目が紹介されています。

Step Functions + AWS SDKで運用コストを最適化

https://zenn.dev/rehabforjapan/articles/sre-operational-costs-20250414

コスト最適化の鉄板な取り組みの一つでもある利用しない環境や時間帯でのリソース停止(起動)を Step Functions + AWS SDK で実装された記事となります。個人的には、運用コストを検討項目として Lambda と比較した結果 Step Functions + AWS SDK を採用されている点が参考となりました。ちょっとした処理であれば、多くの情報が公開されている Lambda での実装が容易な反面、後々のランタイムの EOL など運用コストに目を向けるとトレードオフもあります。

ジョブ実行であれば、弊社が提供している opswitch のようなソリューションを利用することで、実行環境すら持たないという選択肢も良いかもしれません。

QuickSight 新料金プランについてまとめてみた

https://dev.classmethod.jp/articles/QuickSight-New-Pricing-Plans-Summarized/

5月1日から新料金プランが開始されています。QuickSight を常時利用している方はもちろん、私のように検証などで必要な時のみ利用している方も要注意です。既に対応済みの方もそうでない方も身に覚えがある方は今一度確認をしておきましょう。

Amazon Redshift Serverless 新しい割引価格オプション Serverless Reservations を発表しました

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-redshift-serverless-serverless-reservations/

関連記事:Announcing Serverless Reservations, a new discounted pricing option for Amazon Redshift Serverless

Amazon Redshift Serverless 向けの新しい購入オプションが提供開始されました。Serverless の良さは活かしつつ、コスト削減とコスト予測性の向上が見込まれます。まずは現状の RPU の傾向を確認した上で、購入検討をするのが良いかと思います。

Optimizing cost for using foundational models with Amazon Bedrock

(Amazon Bedrock で基礎モデルを使用するコストを最適化する)

https://aws.amazon.com/blogs/aws-cloud-financial-management/optimizing-cost-for-using-foundational-models-with-amazon-bedrock/

3月から始まっている AWS での生成 AI コスト最適化シリーズの3回目の記事となります。今回は Amazon Bedrock がテーマで、昨年から色々な機能がリリースされている中で、コスト最適化に有効な内容が紹介されているため、絶賛 Bedrock 利用中という方には、参考となる情報があるかもしれません。

電子署名するだけにAWS CloudHSMは高すぎる!~AWS CloudHSM 環境復元の自動化でコスト99%削減~

https://tech-blog.optim.co.jp/entry/2025/04/14/100000

CloudHSM を常設するとそれなりの金額となり費用対効果が得られないため、既存の CI/CD へ取り込み、必要な時のみ利用するように変更されたことで、コスト最適化を実現された記事となります。常にあることが当たり前だったオンプレ時代と比べ、利用に合わせて調達ができるクラウドの特性を活かした最適化の取り組みだと思いました。あれ?このリソース、常に必要かな?という視点で既存リソースを確認してみるのも良いかもしれません。

The Do's and Don'ts of Dashboarding | The Keys to AWS Optimization | S13 E1

(ダッシュボード作成の注意点)

https://www.youtube.com/watch?v=M_IGpPvcH90

英語の動画(字幕あり)はタイトルだけでは概要の判断つかず、また理解するのも大変なので NotebookLM でサマリーを確認して取捨選択して、時間に余裕が出来たタイミングで視聴するようにしています。精度としても下記のサマリー記事に大きな違和感はなかったです。お勧めです。音声概要も試してみたいですね。
こちらは、まだ視聴できていませんが、ゴールデンウィークにのんびり視聴予定の動画です。

関連記事:Top Tips from Experts on Building Effective Dashboards

【アップデート】 AWS Budgets が追加のコストメトリクスとフィルタリング機能をサポートしました

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-budgets-cost-metrics-filtering-capabilities/

関連記事:Improving accuracy for your cloud budgeting with new features in AWS Budgets

AWS Budgets でより柔軟な条件が指定可能となる追加のメトリクスとフィルタリング機能がリリースされました。記事の中で各用語やユースケースを紹介してくださっているので、とても理解が捗ります。

AWS Lambda standardizes billing for INIT Phase

(AWS Lambda が INIT フェーズの課金を標準化)

https://aws.amazon.com/blogs/compute/aws-lambda-standardizes-billing-for-init-phase/

2025年8月から、一部ではカスタムランタイム等で既に含まれていた初期化(INIT)フェーズが全ての場合で、実行時間に含まれるようになるとのことです。ほとんどの利用者にとって、大きなインパクトにはならないとのことですが、init_duration メトリクスで現在の状況が確認可能のため、事前に確認をして、必要に応じて対策を講じるのが良さそうです。

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Generally available: Enhanced Cost Management exports

(一般提供開始: コスト管理エクスポートの強化)

https://techcommunity.microsoft.com/blog/finopsblog/generally-available-enhanced-cost-management-exports/4407748

Azure に関するコストデータのエクスポート機能がアップデートされたとのことです。ユニークな点として、利用データとともに「価格表、予約推奨事項、予約詳細、予約取引といった拡張データセット」が一緒に出力できるようです。他にも FOCUS への対応やスキーマの選択などが行えるようです。

Identifying resources driving Amazon CloudWatch GetMetricData charges using AWS CloudTrail

(AWS CloudTrail を使用して Amazon CloudWatch GetMetricData の料金を発生させるリソースを特定する)

https://aws.amazon.com/blogs/mt/identifying-resources-driving-amazon-cloudwatch-getmetricdata-charges-using-aws-cloudtrail/

CloudWatch の利用費で GetMetricData が大きな割合を占めるケースがあります。そんな時に CloudTrail データイベントへの CloudWatch GetMetricData イベントを取得して、要因となっているリソースを特定する方法が紹介されています。気をつけたい事としては、CloudTrail データイベントは有償のため、調査が終わり不要となった場合は、削除するようにしましょう。

関連記事:[アップデート] Amazon CloudWatch の GetMetricData イベントが CloudTrail データイベントで取得出来るようになりました

クラウドFinOps 第2版―協調的でリアルタイムなクラウド価値の意思決定

https://www.youtube.com/live/NdgHQD_ZutU?si=kBse-qGtzvDC-00O

4月28日に、先月発売された 「クラウドFinOps 第2版 ―協調的でリアルタイムなクラウド価値の意思決定」に関連したイベントが開催され、既に動画が公開されています。

さいごに

4月は、ご紹介した以外にも MCP を中心に生成 AI 関連の記事が多く見られました。生成 AI の流れがクラウドコストの領域にも着実に来ている印象です。既存業務の効率化や新しい取り組みの障壁を下げるなどのユースケースで役立ちそうです。一方で扱うデータの性質上、取り扱いには注意も必要と個人的には考えています。

また2025年6月18日開催予定の FinOps X Days Tokyo への登録が開始されました。
(厳選された参加基準と記載があり、解釈に悩んでいます...)

https://x.finops.org/x-days/tokyo/

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