【バックオフィス業務のテレワーク化】全社員が出社しないで事業継続する具体的な方法を紹介します
はじめに
総務部の渡邉です。2019年10月に総務部を立ち上げて、IT活用による業務改善やより良いオフィス環境作りを進めています。
当社は、ブログ・セミナー・ウェビナ―などを通じてテレワークを推奨しており、社内には当たり前のようにテレワークのしくみとともに、人事制度やカルチャーも整備済みです。新型コロナウィルス対策として2020年1月末より原則テレワークとなり、全てのオフィスを閉鎖し、98%の社員がテレワークで働いています。(残り2%の半分以上をバックオフィス業務(以下BO業務)が占めています)
今回は、これまで出社必要としていたBO業務改善の取り組みとともに、当社のBO業務全般のテレワーク化について紹介します。
クラスメソッドのテレワークの取り組み
当社はSaaSの組み合わせとAPI等の連携によって、テレワーク可能なしくみを提供しています。
Before コロナ:2020年1月時点
テレワーク可能なしくみは既に整備され、実際に総務部内の半分くらいのメンバがテレワークを利用していましたが、拠点総務チームは、文字通り各オフィスへ出社する前提で業務を組み立てていました。
❏この時点でテレワーク可能なBO業務と主なしくみ
コロナ対策(オフィス閉鎖・原則テレワーク):2020年2月時点
中国武漢での感染拡大や国内初感染とともにBO業務の整理とテレワーク化の検討・準備を開始しました。オフィス閉鎖に伴い、必要なくなる業務/テレワーク可能な業務/出社必要な業務に分けて対応しました。(この時点で98%社員テレワークを達成)
❏2月から新たにテレワーク可能としたBO業務と主なしくみ
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- 代表電話 [Amazon Connect、モバチョ] 補足:曜日別時間帯別に3名にて受付(呼出2コールタイムアウトで次の方へ転送) Amazon Connectは迷惑電話対策、他拠点受付、効率化などを目的として2019年導入
- 入場オリエンテーション、全社員参加型イベント [Google Meet、Zoom]
With コロナ:2020年4月時点
新型コロナウィルスの完全終息まで1-2年かかることを前提に、出社せずに事業継続していくことを必達目標として、更なるBO業務の自動化/電子化/テレワーク化を企画導入しました。
また、オフィス閉鎖に伴って変化した業務量調整のため、メンバの再配置とともに、従来からの課題を新たな業務として創出して100%業務アサイン可能な状態にしました。
❏4月から新たにテレワーク可能としたBO業務と主なしくみ
バックオフィス業務テレワーク化の残課題
これまでの対応により、毎週決まった曜日に時間差出勤して対応していたメンバ全員がテレワーク可能となりましたが、全てをやりつくせたわけではありません。今後も詳細な業務整理、状況の見える化、業務の見直しを諦めずに行ってテレワーク化を推進していくつもりです。
❏BO業務テレワーク100%に向けた残課題
- 本社以外への宛先変更が難しい郵便物の対応(改善検討中)
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- 送り主 税務署、労基署など(洗い出し中)
- これらによって、本社宛郵便物すべてを郵便仕分け担当者自宅へ転送することが難しく、現時点では、近隣総務担当者が公共交通機関を利用せずに低頻度に出社して郵便受取・仕分けを行い、労務・経理担当者が低頻度に出社対応しています
- ビルセキュリティカードの貸出管理(After コロナに向けて)
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- 急な出張や最終退出者が所持していない場合など、拠点総務メンバ不在でも貸出・施錠できるようにしたい(→しくみ候補あり、オフィス出社可能となってから検証開始予定)
テレワーク化を進めていく上で想定以上に手間取った点
これまでの自動化/電子化/業務改善などを通じて、想定以上に手間取ったり苦労した点を記します。今後同様な取り組みを検討推進される方々へ参考になればと思います。
❏電子帳簿保存について、税務署へ申告必要な書類/しくみとは?
Ans)様々資料ありますが、国税庁HPのQ&A内の補足資料が最も信頼できてわかりやすいと思います。基本的に、取引先から紙で入手した書類をスキャナ処理してpdf化したものを保存する場合は申告必要。SaaSやEDIなどの電子取引は申告不要ですが、使用方法や使用相手などによって異なるようなので、必ず各社の税理士へ相談ください。
出典:国税庁HP 電子帳簿保存法一問一答(電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係)
❏捺印業務はすべて電子化できる?
Ans)当社では未だできていません。当社の顧客や取引先との契約書は、基本的に電子化することで締結期間の短縮、コスト削減(印紙・郵送・事務処理)、捺印による出社不要などお互いにメリットあると思いますが、保険の申込書など含めて一部捺印業務は残っています。今後は世の中の印鑑レスの動きとともに、電子契約できる取引先を選定基準の1つとするなど、更なる電子化を推進していくつもりですが、現時点では、営業事務担当者の自宅で事務処理できるようにしています。
❏郵便物受取をテレワーク化する方法とは?
Ans) 当社は3つの方法から私設私書箱を選択しました。
案1:郵便転送 毎日無料で転送可能です。本来は転居時のみ1年間利用可だが、コロナ特別対応として個人宅へも転送可と電話確認しましたが、実際に転送申込時点で会社役員以上でないと転送不可と発覚して当社は断念しました。 ※HPなど記載見当たらず、問合せ時期や郵便局により対応異なる可能性もあるため、最寄りの郵便局へお問合せください。
案2:郵便私書箱 郵便局での受取必要なため当社ではNGとしました。
案3:私設私書箱 書留受取不可、転送先変更不可、転送1回ごと課金など様々制約/条件とともに個人事業主や企業情報など開示不可の企業が多く、安心してお任せできそうな所を探すのに少し時間を要しました。当社ではオフィス近くに店舗があるMAIL BOXES を利用していますが、より良い方法があれば変えていくつもりです。
最後に
半年くらい前に総務部の責任者となり、オフィスの視察、マニュアルなどの成果物、メンバとのインタビューなどを通じて、整理整頓・顧客視点での改善・簡潔な企画書など個々人が自発的に行って成果を上げている模範的なこと(年初に表彰しました)とともに、例えば、郵便物受理1件ごとに1行Excel管理するなど、少し過剰気味かなと思えるような状態も見つけました。今回改善をスムーズに進められたのは、こうした少し過剰とも思われる日々の労力の積み重ねが業務内容や具体的な件数といった事実の見える化となり、迷いや手戻り無く改善を進めることができたと確信しています。今後も見える化・測れる化といった地道な活動をしっかりやっていきたいと考えています。
新型コロナウィルスをある意味良い機会としてとらえ、社員と家族を大切にする当社のカルチャ―を原動力に、出社ゼロでの事業継続を必達目標として取り組んできましたが、まだ道半ばであり今後も失敗を恐れずに様々チャレンジしていきたいと思います。
当社のバックオフィスメンバは、各領域の専門家はクラスメソッド、それ以外のチームリーダやメンバはより多様な働き方が可能なアノテーションという2社のメンバで構成しています。このような会社・部署で働いてみたいという方、いつでも募集しています。