【事例紹介】MLBのGoogle Cloud活用とコスト最適化の全貌 OPS101 #GoogleCloudNext

MLBで実際に行われた「クラウドの監視×請求の管理×分析」を掛け合わせたとても内容の濃い事例紹介でした!!!
2024.04.11

セッション内容

概要と要約

今回のセッションはメジャーリーグベースボール(MLB)がどのようにしてGoogle Cloud(GCP)を活用しているかにフォーカスが当てられていました。

MLBでは150以上のGKEクラスターを構築し、6000ものアプリケーションを34のビジネスユニット(事業)で運用し、さらにはすべてのメジャーリーグパークにAnthosを展開しています。

彼らのクラウド監視スイートは、ログやモニタリング、トレース情報を一元化し、BigQueryを活用してこれらのデータを深く分析しているようです。

コスト管理においては、FinOpsのアプローチを取り入れ、詳細な請求データをBigQueryにエクスポートしています。

これにより、コストの割り当てと最適化が可能になり、MLBは効率的なクラウド運用を実現しています。

さらに、GitHub Actionsパイプラインのコスト分析と最適化のデモを通じて、MLBがどのようにして技術的洞察を得ているかが示されておりました。

【GitHub Actions × 課金 デモ画面】

MLBとGoogle Cloudのパートナーシップ&その取り組みは、私たちのような異なる業種においても大いに参考になるものでした。

クラウド技術とメジャーリーグベースボール(MLB)の統合

登壇者はRupa Patel氏Frank Dice氏、そしてJoy Wang氏。Rupa Patel氏とFrank Dice氏はそれぞれ、クラウドの請求管理やMLB(メジャーリーグベースボール)でのGoogle Cloud上のフットプリント、ウェブアナリティクス、ソフトウェアリンク、そしてトランスポートケースの実用例とライブデモを合わせてセッションを展開してくれました。

また、MLBがGoogle Cloudとどのように協業してベースボール(野球)を前進させているかについて、実際の体験をベースとした内容はとても参考になるものです。

MLBは、通常シーズンに約2430試合を実施し、2023年には合計で7億人以上の観客を動員するほど人気があります。

【メジャーリーグの動員実績】

MLBとGoogle Cloudのパートナーシップは2020年に始まったようで、現在では150以上のGKEクラスターで6000以上のアプリケーションを稼働させており、34のビジネスユニット(事業)が全メジャーリーグパークを通じてこれらのサービスを利用しています。

【Google Cloud リソース】

さらに、クラウドの可観測性アーキテクチャー(状態を監視、測定、理解)についても触れられ、ビジネスユニット(事業)ごとに個々のプロジェクトが設定され、その中でリージョナルKubernetesクラスターGCECloud SQLなどが管理されていると紹介されていました。

クラウドの可観測性に関しては、Google CloudのLoggingMonitoringCloudTraceなど、Operations Suiteの機能を用いてデータを一箇所に集約し、より厳密な分析を可能にするということを強調されていました。

【Operations Suite内の3つ】

【分析アーキテクチャ】

また、Joy氏はクラウドの可観測性と分析、特にBigQueryを中心とした管理プラットフォームで、どのようにしてより高度な分析やイベントベースのユースケースに対して対応できるかについて語っていました。

【BigQueryの活用】

それはログ、メトリクス、トレースデータビジネスデータを組み合わせて分析を行い、そこから洞察を得る方法があるとのこと。(2つ前の画像参照)

最後に、Rupa氏からGoogle Cloudの請求ファイナンス運用(FinOps)チームがどのようにコスト管理とその最適化に取り組んでいるのか、具体的なツールと特徴について説明しておりました。

これは、BigQueryへの請求エクスポート機能や、クラウドコストの詳細な分析と最適化のための各種サポートの詳細を説明されていました。

【BigQueryエクスポート】

観測可能性と分析力

このセクションでは、観測可能性(Observability)に関するデモを通じて得られた知見を開発者から経営層に至るまでの組織全体で活用できるダッシュボードについての話がメインでした。

紹介されたダッシュボードは、関連する情報を一箇所でリアルタイムに確認できるように自動で更新される仕組みとなっています。

【リアルタム更新-Pipeline】

少し話がサービス機能的なものになりますが、観測可能性分析(Observability analytics)が正式に一般提供開始されたことと、プライベートプレビューの使用方法について解説されておりました。

【プライベートプレビュー】

また、観測可能性と分析ツールを構築する際のチーム間役割分担についても言及しており、特にダッシュボードの開発プロセスやSREチームとの協力が重要であったといいます。

データ分析用のツールやテンプレートの利点、特定のクラウドサービスに対するサポートの拡充、請求データの透明性を高める取り組みなどを話されていました。

コスト管理と最適化

ここでは、クラウドの請求データを効率よく分析し、理解するためのツールや手法について解説されていました。

【重要要素3つ】

特に、BigQueryビューを用いてGoogle CloudのデータをFOCUS(FinOps Open Cost and Usage Specification)の標準フォーマットで閲覧可能になった点が強調されており、これにより詳細な請求情報と価格データを追加コストなしで確認できるようになったようです。

【BigQuery × Billing】

また、このセクションでは、MLB(メジャーリーグベースボール)の技術的な心臓部であるGitHub Actionsが担うビルドパイプラインの見える化をどう強化するかがメインテーマにもなっており、このツールを取り入れることで、MLBは他のアプリケーションをスムーズに監視ツールに組み込むことができ、サービスの動向を隅々まで把握できるようになったのです。

デモンストレーションでは、Google Kubernetes Engine(GKE)がフル稼働しているときに生じる膨大なデータやメトリクスの取り扱い方が紹介されました。
また、特定のワークロードをより深く理解するためにメトリクスをどのように利用し、ビルドの情報を請求データと関連付けるかの手法も説明されていました。

【GKEデモ画面】

また、コストデータを状況に応じて考慮することの重要性が説明され、詳細なログ分析によって更に深い洞察を行えることが紹介されました。

GKEで運用されるクラスターのCPU使用率メモリ使用率など、リソースの消費状況とそれに基づくコスト効率の改善の機会が視覚的に表され、これはリソース配分の調整コスト削減の検討に役立てられました。

【GitHub Actions × 課金 デモ画面】

まとめ

MLBの裏側でGoogle Cloudが活躍しているとは驚きでした。
さらに、150以上のGKEクラスターを駆使して、6000を超えるアプリケーションを34の事業部門でスムーズに管理しているという事実は、大規模なシステム運用の効率性についての貴重な示唆を与えてくれたと思います。

MLBのアーキテクチャでは、クラウド監視ツールを一元化し、BigQueryでデータを深く分析しています。

そしてコスト管理では、FinOpsアプローチを取り入れ、BigQueryに請求データをエクスポートし、コスト割り当てと最適化を実現させ、GitHub Actionsパイプラインのコスト分析と最適化のデモを通じて技術的洞察を得る方法も披露されました。

MLBの取り組みは異業種にも参考になるようなとても濃い内容でした。

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