Datadogサイト選びで失敗しないポイントをまとめてみた

Datadogサイト選びで失敗しないポイントをまとめてみた

これから Datadog を利用しようと考えている方に向けてサイト選びで後悔しないためのポイントをまとめました。
Clock Icon2025.07.07

こんにちは。テクニカルサポートチームのShiinaです。

はじめに

Datadog を導入する際、最初に決めなければならない重要な要素の一つとしてサイトの選定があります。
一度選択すると変更できないサイトは、データの保管場所やコスト、運用方法に大きく影響します。
最適なサイトを選ぶポイントを紹介します。

Datadog サイトとは

Datadog がサービスを提供している拠点(データセンター)です。
各サイトは完全に独立しており、サイト間でデータを共有することはできません。
イメージとしては、AWS のリージョンのようなものです。
現時点で利用可能なサイトは次のとおりです。

サイト 所在地
US1 アメリカ
US3 アメリカ
US5 アメリカ
US1-FED アメリカ
EU1 ドイツ
AP1 日本
AP2 オーストラリア

東京に拠点を持つ AP1 サイトは、2023年4月開設された比較的新しいサイトです。
最新のサイト情報についてはドキュメント[1]をご確認ください。

サイトごとの主な違い

機能面
基本的にはどのサイトでも利用できる Datadog の機能に違いはありません。
一部の新機能のベータ版は US1 サイトが先行する可能性はあります。

サイトURL
Datadog コンソール URL がサイトごとに異なります。

各サイトは完全に独立しているため、AP1 で作成したアカウント情報で US1 の URL にはログインできません。
ログインができず、戸惑った経験があるのでご注意ください!

選ぶ際に注意すべきこと

選び直しはできない
サイトは初めて Datadog のアカウントを作成する際に選択します。
作成後にサイトを変更することはできないため、慎重な検討が必要です。
また、データ移行もできないため、US1 で利用中のアカウントを AP1 に移行するといったことはできません。

データ保管先が決まる
サイトの所在地となる国にメトリクスやログといった様々なデータが保管されます。
データの物理的な保管場所が監査やコンプライアンス要件に関わることもあるため、事前に確認が必要です。

サイトの明示的な指定
Datadog では US1 サイトがデフォルトです。
US1 サイトを利用する場合はサイトを意識せずに利用できるメリットがあります。
一方、US1 以外のサイトを利用する場合はパラメータや環境変数による明示的な指定が必要となります。
特に Terraform などのコード管理時にサイト指定を忘れやすいので注意しましょう。
例)

  • 環境変数
    DD_SITE="ap1.datadoghq.com"

  • Datadog エージェントパラメータ

datadog.yaml
site: ap1.datadoghq.com

Datadog の料金が異なる
サイトごとにサービス料金が異なります。
代表的なインフラストラクチャー(EC2)の比較は次のとおりです。
Proプラン;1ホストあたりの料金

  • US1:15ドル
  • AP1:18.75ドル

US1 サイトの方が安く設定されています。
最新料金についてはドキュメント[2]を参照ください。

データ転送料金に差がでる
オブザーバビリティの観点から様々データを取り込む時代になっているため、データ転送量がコストに与える影響も大きくなっています。
例えば、AWS 東京リージョンで Datadog の US1 サイトを利用した場合、メトリクスやログデータをインターネット経由もしくは AWS リージョン間で米国まで転送する必要があります。
一方、AP1 サイトを利用した場合、AWS PrivateLink を利用したプライベートネットワーク経由でデータを送信することができます。

  • インターネット経由(東京→米国東部):1GBあたり 0.09ドル
  • AWS PrivateLink 経由:1GBあたり 0.01ドル

AWS PrivateLink 経由にすると 約89% のデータ転送コスト削減が可能です。
APM やログ管理を本格的に活用する場合、月額数万円から数十万円の差が生まれることもあります。

AWS PrivateLink の使い方については下記記事もご参照ください。
https://dev.classmethod.jp/articles/datadog-aws-privatelink-ap1/

サイトの選び方(フローチャート)

利用シーンごとに最適なサイトを選べるよう、質問形式で選び方をまとめてみました。

Q1:GDPRなどの法規制(例:EU一般データ保護規則)に準拠する必要があるか?
→ はい:EU1(ドイツ)サイトなど、該当する法規制に対応したサイトを選択
→ いいえ:次へ

Q2:「データを日本国外に保管できない」などの社内セキュリティ規定があるか?
→ はい:AP1(東京)サイトを選択
→ いいえ:次へ

Q3:メインで利用している AWS リージョンは東京か?
→ はい:AP1(東京)サイトを選択
→ いいえ:次へ

Q4:Datadog の料金を重視したい?
→ はい:US1(アメリカ)サイトを選択
→ いいえ:任意のサイトを選択

まとめ

Datadog のサイト選びは、一度決めると変更できないため慎重な検討が必要です。
特にデータ転送料金は使ってみてから気が付くことが多いです!
これから Datadog の利用を検討される方の参考になれば幸いです。

参考

https://docs.datadoghq.com/ja/logs/guide/reduce_data_transfer_fees/

脚注
  1. https://docs.datadoghq.com/getting_started/site/ ↩︎

  2. https://www.datadoghq.com/ja/pricing/ ↩︎

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