[動画公開] アマゾンのクラウドサービス(AWS)でコンピュータ将棋を動かしてみよう #devio2021

2021.10.18

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

クラスメソッドオンラインイベントのDevelopersIO 2021 Decadeで「アマゾンのクラウドサービス(AWS)でコンピュータ将棋を動かしてみよう」というテーマでお話ししましたので、内容を簡単にご紹介します。

登壇資料

内容

藤井聡太三冠の大活躍や観る将(将棋は指さず、観戦が専門のファン)の広まりも相まって、インターネット上で将棋の記事や棋戦を見かける機会が以前よりも大幅に増えました。

そんな中、今年の8月に渡辺明名人が将棋研究のために130万円もするコンピュータを購入したという松本博文さんの一連の記事を見かけました。

高額なのは、現在の将棋ソフトはCPU系とGPU系の2大派閥があり、CPU・GPUともにコンシューマー向けの最高峰のものを取り揃えたからでした。

記事を読むと、囲碁ソフトの実行環境としてアマゾンのパブリッククラウドサービス AWS を使っている囲碁棋士もいるという話題が出てきて、その一方で、いざ将棋とAWSの話になると、必要以上に難しく語られているように感じました。

自分のPCのWindowsで水匠を動かす難易度が5だとすると、AWSを使わず自分のPC上でdlshogiを動かすだけでも難易度は1000くらいありそうですが

...

さらに、AWS上でdlshogiや水匠を動かし、それをssh接続などを使って自分のPC上で動かす。それは難易度53万くらいあるんじゃないでしょうか。

...

フリーザ様の戦闘力(笑)

「将棋で強くなるためには高いコンピュータが必要なの?」観る将棋ファンのためのコンピュータ講座(3)(松本博文) - 個人 - Yahoo!ニュース

コンピューターに関しては素人の囲碁棋士がAWSを使えるなら、普通の将棋ファンも使えていいはずだということで、 AWSの開始方法から、AWS上で将棋ソフトを動かすところまでを紹介しました。

AWS有段者を目指す場合、次のステップとしては

  • スポットインスタンスの利用
  • AWSセキュリティの強化
  • エンジン(AWS)とGUI(クライアント)の分離
  • コンテナ・Lambdaを使ってサーバーレス化

あたりがおすすめです。

将棋ソフトの棋力は人間を遥かに凌駕しているため、平凡なラップトップで実行させて困るようなケースはレアと思いますが

  • 例外的な棋力を持った人
  • コンピュータ将棋大会でクラウドを利用したいけれど、飛び込めていない人
  • 「AI超え」や「神の手」と称されるような手が本当なのか、高性能な計算機で自ら検証しないと納得できないという人

などにはクラウドは便利かもしれません。

とはいえ、NVIDIA DGX A100を自社で何台も所有する企業が、AI将棋 as a Serviceをサービス提供してくれそうな雰囲気です。

一般人がエンジニアリングを頑張らなくても、最強将棋AIで将棋の真髄を学べるようになる未来は近そうです。

本セッションはAWSの初歩を軸足においているため、もう少し 将棋 X テクノロジーに踏み込んだトピックに興味がある場合、現役棋士による次の PyConJP 2021 基調講演が面白いかもしれません。

PyConJP 2021 将棋とPythonの素敵な出会い - 谷合 廣紀

谷合四段は現役の棋士でありながら、東大博士課程にも在籍中で、BERT-モンテカルロ木探索(MCTS)ベースのAI将棋を数日でシュッと作ってしまうほどのつよつよエンジニアでもあります。

調べ物をしながら、昨年夏からやっている HPC x CUDA 案件の経験が思わぬ形で役に立ったのは良かったです。

それでは。

参考