オンラインとリアルのハイブリッドな場でのファシリテーションのノウハウ

コロナ禍の環境が変化してきています。今後オンラインとリアルな場の両方をつなぐハイブリッドな場のファシリテーションが求められる様になるでしょう。リアルな場とオンラインの場をどううまく繋いでいくか?そんな話を経験に基づいて書きました。
2021.12.01

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このブログはアドベントカレンダー2021のファシリテーターの投稿になります。

ここ最近の状況からファシリテーションする場がリモート一辺倒からオフラインなリアルな場でのファシリテーションも増えてきました。そして今回のテーマでもある一部の人がオンラインから参加するということもあり、ハイブリッドな場も始まりました。

一言にハイブリットと言ってもファシリテーションのポイントからもいくつかのパタンに分かれます。 ポイントは「情報量」で、具体的には人数の割合の話、リアルな場側の環境(マイクとスピーカー、PCの数)になります。

リアル会場側が多い場合

そもそもお互いに発言しながらの会議であれば、10人いたらそもそも話しずらいという事もありますが、ハイブリッドな場では、その割合も大事なポイントになります。リアル会議室の方の参加者が多い場合、まずはファシリテーターはオンラインからの方が良いと考えています。場からもらえるフィードバックの情報量はリアルとオンラインではもちろん差があり、リアルに慣れ親しんでいる以上、リアルからの情報からの影響が大きくなります。その影響がオンライン側に不足を感じさせて、ファシリテーションがリアル会場に合わせたものになりやすくなります。例えば、「メモを取っている」と判断するのは、ペンを持ってノートに書いている姿が見えていればわかりますが、オンラインだとそのカメラに映った範囲によってはわかりづらく、またカメラオフだと全く推測がつきません。その状態でファシリテーションをすると、「xxさんはメモをとっていて、興味があるんですね。と声をかける事で、より気持ちよくメモを取れるかもしれないし、そのメモを共有してもらうことで参加者の人に思考を促すことができるかもしれない…。

オンライン側が多い場合

では逆にリアル会場側が少なくて、オンライン側が多い場合は、リアル会場も各自PCとイヤホンは用意してもらえると一番良いと考えています。オンラインになって確実に良くなったことの一つに、資料などの共有物の可読性が格段にあがりました。Zoomであれば画面共有が端末の画面いっぱいに表示されたり、そもそも遠くのプロジェクターの画面を見るのではなく、手元の画面を見れるようになったので、しっかりと文字が読めます。手元に紙の資料というのももちろん可読性は高いですが、同じページを見るという共同性が低く、迷子になることもあります。リアル会場側は「マイク」と「スピーカー」が問題(ハウリング)になりやすいのでイヤホンを指すことで軽減できるのと、マイクはオープンマイクを一つ用意すれば、いちいちミュートでの切り替えをせずに会話がスムーズにもなります。一人一台PCが難しい場合は、プロジェクターと椅子、マイクの位置を工夫して可読性と、発言がちゃんと音声として伝わるようにセッティングすることを心がけています。この様に、ただ場と場をオンラインでつなぐだけではなく、どういう情報がどのように伝わり、発信されるかを考えた「場づくり」が大切になります。ただ繋いだだけで、リアル会場の人たちの表情は見えないようなつくりになっていたり、声も遠かったりした場合、リアル側はオンライン側にどう音が伝わっているかは判断しづらいので、どちらかがストレスを抱えた状態で場が進んでしまいます。

ハイブリッドな場の経験

先日、リアル会場がが20人以上、オンラインが2名というワークショップ(推奨と違う形ですが)を開催しましたが、その時は、私(ファシリテーター)のプレゼン資料はZoomの画面で共有して、そのZoomの画面をプロジェクターに表示しました。オンライン側の2名の方の顔も映る形でプロジェクターに映しました。できる限り、「同じ情報」になるようにということです。またそのワークショップではレゴを使ったものだったのですが、オンライン側にもレゴは配布して、出来上がった作品はオンライン上の画像をUPできるツールを利用して、オンライン側もリアル側も全員そこに写真を撮ってUPしてもらうことにしました。リアル会場のマイクは2つ用意して、私がつけるワイヤレスのヘッドセットと、グループワーク時使うワイヤレスのオープンマイクを同じPCに繋いで、講義やインストラクション(説明)の時はヘッドセットで話、グループワークの時は一つのグループだけオンライン、リアルの混合グループになってもらって、そのグループにおいたオープンマイクで会話をしてもらいました。

オンラインとリアルと完全に同じ様には無理ですが、ファシリテーターの意識と環境、工夫が「同じ様に関わる」とすることで場はかなり良くなります。もちろんその中で、リアルで得られる経験とオンラインで得られる経験、そして「強み」は違うので、それぞれに強みを使って良いと思います。リアル会場であれば、歩き回って貰えば多様を感じられるたり雰囲気が良い影響を与えることもあるでしょう。周りのグループからの聞き漏れてくる声からインスピレーションをもらうこともあるでしょう。それを否定する必要はありません。そこに、「ではオンラインは…」と考えれば、PCを持ち歩いてカメラでリアルな場の雰囲気をつたえることもできますし、声も漏れ聞こえるようにグループワーク中は音が拾える様におけばよいのです。オンラインの利点は、おそらくは自分の部屋などで一人で参加されていることが多いので、そもそもリラックスされていることでしょう。さらに周りの音を消すことで集中することもできます。であれば「集中して作成したい時は、ヘッドホンを外して、もしくは音量をゼロにしても良いですよ」とファシリテーターが一言伝えるだけで、オンライン側の場の感じも変わってくることでしょう。

私のファシリテーションはかなり「経験」から作っていることが多いので、これらのオンラインでの経験、そしてリアル会場での経験、ハイブリッドの時の「ストレスだなぁ」と感じるポイントなど、経験に基づいてファシリテーションしています。これは「私の感覚」なので、他の人は違っているかもしれないと常に考えていて、そのあたりはファシリテーションの結果というか、ふるまいの後のフィードバックからいろいろ変えてやっています。多くの体験とその体験をふりかえったりして自分の「意識下」におく。そうやっていくことで今後のハイブリッドの場も良くなっていくと思っています。