全体像を掴んでチームの認識を合わせるインセプションデッキ
チームで何かを始める時にまず何をしますか? キックオフの場では何について話しましょうか。そんな時にインセプションデッキが役立ってくれます。
インセプションデッキとは
11の質問に答えることで、プロジェクトやプロダクト開発の全体像を掴み、より具現化させるためのツールです。
- 我われはなぜここにいるのか?
- エレベーターピッチ
- パッケージ デザイン
- やらないことリスト
- 「ご近所さん」を探せ
- 解決案を描く
- 夜も眠れない問題
- 俺たちのAチーム
- 期間を見極める
- 何を諦めるのかをはっきりさせる
- 何がどれだけ必要なのか
(Jonathan Rasmussonによる古いスライドを発見しました)
The Agile Inception Deck | The Agile Warriorや、 アジャイルサムライ――達人開発者への道 で知った人も多いはずです。少なくとも14年も前からあるツールになるんですね。元々はThoughtWorks社のRobin Gibsonによって作成されたようです。
このブログを書くにあたって、改めてアジャイルサムライの”みんなをバスに乗せる”(インセプションデッキを紹介してる)の章を読んでみました。
ここでの問題は、プロジェクトの開始時点で関係者の認識が揃っていないこと じゃない(それはむしろ自然なことだ)。問題は、関係者全員でプロジェクトにつ いて話し合うよりも前にプロジェクトを始めてしまうことにある。
特にソフトウェア開発は最新の共通認識を作り続けるゲーム、という側面もあります。最初の段階で全体や根幹に関わる部分の認識にズレがあれば、あとはどんどんそのズレは広がるばかり。作ってから修正するよりも、はじめに時間を使ってでも共通認識を作った方が全然コスパは良いです。
手ごわい質問は先に 済ませておこう。それを手助けするツールがインセプションデッキだ。
- そもそもこれを始める理由は何か?
- 予算がどれだけあるか?
など、慣れないと "気になるけどちょっと質問しにくいからとりあえず今はいいや" 、と思ってしまうような質問をしないままにしてしまう事があります。これらの質問は実はすごく重要で、先に知っておくと後の判断に役立つ事が多くあります。
どんな場面で使えるか
多くはソフトウェア開発を始める時や、その節目節目に使っていますが、社内コミュニティを始めるとき、フロア退去プロジェクト、イベント設営プロジェクト等、ソフトウェア開発以外のチームで何かのゴールを目指す場面でも活用できます。
ポイント
多くの人を巻き込む
例えば、マネジメントメンバー、コンテンツの運用者、法務関係者など関、広く関わる方を呼ぶことで、コアなメンバーとは違った立場からの見方や、知らなかった情報を得られるかもしれません。また、協力する場面でも根幹の部分での認識のズレは少なくなりそうですね。
大枠の話だけする
全体像を掴んで具現化させるのが目的ですが、詳細まで話し込むと時間がいくらあっても足りません。特にやらないことリストや解決案を描くは概要レベルにとどめましょう。
共通の認識を作るために使う
綺麗で全てが網羅された資料を作成するのが目的ではなく、インセプションデッキを元に、関係者で会話をして、根幹を理解し、全体像を掴んで関係者がスタートライン共通の認識を作ることを目的にします。 もちろん必要であれば、ポンチ絵やメモも記録して、この場のことを思い出せるようにしましょう。
期限を定める
多くのドキュメントと同様に、メンテナンスしなければ誰も見なくなり、何の価値も無くなります。プロダクト開発など、長期に及ぶ場合は有効期限を決めて、定期的に見直しましょう。改めて状況が変わった事を認識できるはずです。
進めかた
と書きましたが、特にルールはありません。自分がキックオフで使う場合は、持ってる情報でドラフトを書いてしまいます。何か情報があれば、それをベースに認識が違うとか派生した情報を連想して共有したりもできます。規模やモノに寄りますが、キックオフ自体は2時間程度使う事が多いです。 時間がより多く取れれば、関係者が集まったその場でそれぞれ個人で書いて、それをマージしていく方法も、多くの人の違った考えを取り入れられるようです。
まとめ
インセプションデッキはかなり好きだし便利なツールで、特に何かを始める時には必ず使っています。もし、まだ試してない方は、チームで何かゴールに向かって取り組む際に試しに使ってみてはいかがでしょうか?テンプレートはこちらにあるので、まずは質問に答えてみましょう。
盲信し ちゃだめだ。ためらうことなく自分たちに合わせて改変してほしい。
こちらも忘れずに。