AWS Application Migration Service 入門:サーバー移行の全体像をわかりやすく解説
はじめに
アノテーションの Shimizu です。
AWS Application Migration Service(以下 MGN)は、オンプレミスや他クラウド上にあるサーバーを AWS 環境の EC2インスタンスに移行できるサービスです。
利用を検討しているものの、まず何から手を付けてよいか分からない、という方も多いと思います。筆者も公式ドキュメントを一読しただけでは、イメージをつかめませんでした。
そこで本記事では、これから MGN を利用する方が「サーバー移行の全体像をつかむ」ことを目的に、必要なステップや用語をできるだけシンプルに解説してみました。
MGN の構成要素
MGN は大まかに以下の要素で構成されます。
| 用語 | 用途 |
|---|---|
| ソースサーバー | 移行元のサーバー。MGN 移行プロセスの起点となるリソース |
| レプリケーションエージェント | 移行元サーバーにインストールするソフトウェア。AWS 環境にデータを送信する役割 |
| レプリケーションサーバー | 移行の過程で自動作成される一時的な EC2 インスタンス。ソースサーバーのデータを受信し、移行したサーバーに同期する。 |
| テストインスタンス | ソースサーバーを移行した一時的な EC2 インスタンス。動作確認・テストを行う目的。 |
| カットオーバーインスタンス | ソースサーバーを移行した最終的な EC2 インスタンス。本番稼働させるための最終環境。 |
サーバー移行の大まかな流れ
ざっくりとですが、以下のような流れになります。
- まず AWS アカウントに IAM 認証情報を設定する
- 認証情報を使用して、ソースサーバーにレプリケーションエージェントをインストールする
- AWS アカウント上でテストインスタンスを起動する
- テストが完了したらカットオーバーインスタンスを起動する
- 移行過程で作成される一時的なリソースを削除して、移行完了
やってみた
実際にサーバー移行の流れをイメージしやすいよう、AWSコンソール画面のスクリーンショット付きで各ステップを解説してみました。
(検証のため EC2 → EC2 への移行を行なっています)
1.エージェントのインストール
まず移行元のソースサーバー上で、レプリケーションエージェントをインストールするコマンドを実行します。
インストールが完了するまでしばらく待つと、MGN のコンソール上にソースサーバーが追加されます。初期のステータスは「準備ができていません」になります。

同時にレプリケーションサーバーの EC2 インスタンスが自動で起動し、ソースサーバーからデータをレプリケーションするための準備が開始されます。

しばらく待ってライフサイクル状態が「準備ができていません」から「テストの準備完了」になれば、レプリケーションの準備は完了です。

次はテストインスタンスの起動ステップです。
2.テストインスタンスの起動
「テストインスタンスを起動」を実行すると、ライフサイクル状態が「テストが進行中」に遷移します。起動ステータスが「待機中」から「起動済み」になるまで待ちます。

ステータスが「起動済み」になったら EC2 コンソールを確認すると、オンプレミスからデータをレプリケーションしたテスト EC2 インスタンスが起動しています。
ユーザー側でこのテストインスタンスを用いて、動作テストなどを行います。

動作テストが完了したら任意のタイミングで「カットオーバーの準備完了としてマーク」を実行すると、次のステップに進みます。

3.カットオーバーインスタンス起動
「カットオーバーインスタンスを起動」を実行すると、ライフサイクルが「カットオーバーが進行中」に遷移します。起動ステータスが「待機中」から「起動済み」になるまで待ちます。

ステータスが「起動済み」になったら EC2 コンソールを確認すると、テストインスタンスが削除され、入れ替わりでカットオーバーインスタンスが起動しています。
これが移行後のインスタンスになるので、最終的な動作テストを行います。

動作テストが完了したら任意のタイミングで「カットオーバーを最終処理」を実行します。

ライフサイクルが「カットオーバー完了」になり、データのレプリケーションは切断されます。

これでカットオーバーインスタンスが本番稼働状態になり、サーバーの移行プロセスは完了です。
4.リソースのクリーンアップ
最後の後片付けとしてソースサーバーに対し「アーカイブ済みとしてマーク」を実行します。

するとソースサーバーがアーカイブされ、コンソールの一覧から削除されます。
同時に、カットオーバーインスタンス以外の自動作成されたリソース(レプリケーションサーバー等)も自動削除されます。

以上で、MGN の一連のライフサイクルは完了です。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
MGN によるサーバー移行の一連の流れが、何となくイメージできたかと思います。
実際にオンプレミスサーバーからの移行を検討する場合は、気軽に検証をすることも難しいと思いますので、事前に大まかなイメージをつかむ助けになればと思い、本記事を執筆しました。
本記事ではざっくりと MGN サービスの全体像をつかむことに焦点を当てていますが、システム要件や詳しい設定については参考資料 *1 〜 *5 でより詳しく解説されているので、併せてご確認いただければと思います。
この記事がお役に立てば幸いです!
参考資料まとめ
- *1 What Is AWS Application Migration Service? - Application Migration Service
- *2 AWS入門ブログリレー2024 〜Application Migration Service編〜 | DevelopersIO
- *3【Application Migration Service(MGN)】概要と仕組みについて - サーバーワークスエンジニアブログ
- *4 AWS Application Migration Service(AWS MGN)のアーキテクチャとライフサイクルの関係、使い方の注意点まとめ − AWS Server Migration Service(AWS SMS)との違いも含めて - NRIネットコムBlog
- *5 AWS Application Migration Serviceの紹介 - APC 技術ブログ
おまけ:MGNサービスの概要をアメコミ風にしてみた
本記事の執筆にあたり筆者自身が MGN サービスを理解するため、別記事で紹介している方法で AI を利用し、MGN の概要をアメコミ風のわかりやすい絵本にしてみました。
AWS の公式な内容ではないため、あくまでも参考ですがご紹介します。楽しんでいただけると幸いです。
MGN サービスを解説したアメコミ絵本











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